女神の一番長い日 10
「アメリカじゃ、投降したエイリアンを中心に作られた部隊があってな。それにならってあえてテレストリアルガード法には、テレストリアルガードの隊員は地球人に限るという文言は入れてないんだ。
テレストリアルガードの隊員はいろいろと身分が保証されていてなあ。今引っ張っていくと、あとあと面倒なことになるんじゃないのか?」
「ふふ、ああ言えばこう言うだな。
テレストリアルガードは総理大臣直属の機関。新規隊員を加入させる場合は総理大臣の許可を取らないといけないが、常識的に考えてその承認は、最低1週間はかかるんじゃないか?」
「さあねぇ、もう承認は下りてるんじゃないのか? まあ、もうちょっと待てや」
「小賢しい。そんな言い訳は聞きたくはないわ!」
警察の偉い人は2人の部下を見て命令しました。
「いくぞ」
「はい」
いよいよ3人は宇宙人を連行する気のようです。が、ここで携帯電話の着信音が。それは警察の偉い人の携帯電話でした。警察の偉い人はスーツの内ポケットから携帯電話を取り出し、電話に出ました。
「はい、もしもし・・・ ええ、警察庁総監?・・・」
この一言で部屋の空気が変わりました。
「わ、わかりました・・・」
警察の人は携帯を切り、つぶやきました。
「ふっ、こんなにも早く承認が下りるとはな」
警察の偉い人は、2人の部下に声をかけました。
「おい」
2人は宇宙人の腕にかけた手を離しました。警察の偉い人は横目で隊長を見て、
「ふっ」
と言って、2人の部下を伴って、部屋を出て行きました。
バタン ドアが閉まると、今度は隊員の1人、ヘロン号のベテランの隊員が隊長に喰ってかかりました。隊員は1つ眼の宇宙人を横目で見て、
「隊長! ほんとうにこいつをうちに入れる気ですか?」
「ああ、そのつもりだ」
「こいつはエイリアンですよ!」
「なんだ、嫌か?」
「ああ、嫌です!」
ベテランの隊員は巨大化して光線を撃ってる一つ眼の宇宙人を思い浮かべ、さらに現在の宇宙人を横目で見て、
「隊長、こいつが巨大化して破壊光線撃ったの、見たでしょ? もしあれを街でやられたら、とんでもないことになりますよ!」
「そんときゃ、またオレたちが止めればいいだろ」
「オレたちが止めるって・・・ 我々が止めるまでどれだけの人が死ぬと思ってんですか? どれだけ街が破壊されると思ってんですか!」
ベテランの隊員は再び横目で宇宙人を見て、
「だいたい隊長はこいつに甘過ぎです! オレたちはみんな家族をエイリアンに殺されてるんですよ!」
「お前の家族を殺した宇宙人は一つ眼だったのか?」
ベテランの隊員はその質問になんら窮することなく、さらに語気を荒げて反論します。
「宇宙人に変わりはないでしょ!」
「なんだよ、そりゃ? 屁理屈ばっかり並べやがってなぁ!
そんなにオレの云うことが聞けなっていうのなら、お前、テレストリアルガード辞めろ! はっきり言って不愉快なんだよ、お前は!」
その一言に残りの2人の隊員も反応してしまいました。
「た、隊長?・・・」
「オレは総理大臣からテレストリアルガードの隊長の重責を任せられてるんだ。オレの命令は絶対なんだよ。オレの命令が聞けないっていうのなら、とっとと辞めちまえっ!」
「ああ、辞めますよ! 辞めりゃいいんだろ!」
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