女神の一番長い日 9
隊長は呼吸を整え、宇宙人に優しく話しかけました。
「8年前と5年前、この星はユミル星人と呼ばれる宇宙人に猛攻撃を喰らったことがあった。それでたくさんの人が死んだ。ここにいる4人は、そのとき天涯孤独になった者から選抜されたんだ。だから宇宙人に対しては、あまりいい印象がないんだ。
我々は宇宙から来る侵略者に耐えず眼を光らせてる。そのための宇宙基地もある。そこに君が乗った船が来た。たぶんまた侵略者が来たと思って、無警告で攻撃してしまったんだと思う。悪気はなかった。わかって欲しい」
それを聞いて一つ眼の宇宙人は黙り込んでしまいました。ここで隊長の左手首についてるバンテージのような装置が突然振動を始めました。隊長は無線機を口に持っていき、
「なんだ?」
すると、無線機の向こうから、
「隊長、警察庁の人が来ました!」
それは通信員の女性隊員の声です。隊長は無線機に、
「なんだ? えっ、宇宙人の身柄をよこせってか? ちっ・・・ おい、そいつら、絶対ここに入れんなよ!」
「それが・・・ もうそっちに向かってます」
「何?」
突然ドアがバーンと開き、3人の黒スーツ姿の男が現れました。
「お邪魔しますよ」
今発言した真ん中の人は、地位が高い人のようです。両側の人は、彼のボディガードて感じ。
隊長は心の中で「ちっ!」と舌打ちをしました。けど、そんなことは口に出さずに、警察の3人を見ました。
「おい、こっちはまだ取り調べ中だぞ。だいたい宇宙人が来襲してきたら、第一に防衛する組織は、我々テレストリアルガードじゃないのか?」
「おやおや、何を言うかと思えば・・・
確かに宇宙人の侵略行為があった場合は、まずはあなたたちテレストリアルガードの出番ですが、身柄を拘束した宇宙人をどの組織がどのように扱えばいいのか、特に規定は設けてないはずですが?」
「てことは、テレストリアルガードが宇宙人を取り調べしても、別に問題ないってことだな」
「ふふ、ご冗談を。こんな倉庫代わりの部屋で何を取り調べするんですか?」
警察の偉い人は、両側にいた2人にあごで指図しました。
「おい」
2人の男は宇宙人を挟むようにして、その両腕を掴みました。この瞬間宇宙人の身体に激しい嫌悪感が走りました。巨大化して逃げる。反射的にそんな手段が頭をよぎりました。
でも、巨大化してもテレストリアルガードに勝つ見込みはありません。痛い目に遭うのはもうまっぴらごめんです。
じゃ、どうする? 今私の目の前にいる隊長と呼ばれている男。この男は自分を庇ってるように見える。今は彼を信じてみることにしよう・・・
するとその期待の男は、その期待に応えてくれるようです。かなり強い口調で隊長が発言しました。
「おい、ちょっと待てよ!」
警察の偉い人が振り返り、隊長を見ました。
「ん、まだ何か?」
隊長は得意顔を見せ、
「実はその宇宙人、テレストリアルガードの隊員なんだ」
そのセリフを聞いて警察の3人はもちろん、テレストリアルガードの隊員たちも口をあんぐりとしました。
「た、隊長?・・・」
隊長。
「実は30分前に総理大臣に申請書を出していてなあ」
警察の偉い人は笑いました。
「あはは、こいつはお笑いだ。テレストリアルガードが宇宙人を雇うだと? そんな規定があるわけないだろ!」
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