女神の一番長い日 8

 宇宙人の目の前の天井には、ドーム型の監視カメラがあります。宇宙人はそれを見てるようです。


 その監視カメラが捉えた宇宙人の姿がモニターに映し出されてます。ここはテレストリアルガードサブオペレーションルーム。隊長と3人の隊員がその映像を見ています。隊長がぽつりと発言しました。

「ふ、うちにも取調室が必要だったとはね」

 ストーク号に乗ってた一般隊員が、

「あの・・・ これじゃ、巨大化して逃げ出すような気がするんですが?・・・」

 それを聞いて今度は、ヘロン号に乗ってた若い隊員が、

「平気平気。あの手錠は特別製だ。この状況下で巨大化したら、両手が引きちぎられてしまうよ」

 と応えました。ここで隊長が発言。

「さーて、行くか」

 それに全員が応えました。

「はい!」


 再び会議室です。ドアが開き、テレストリアルガードの隊長と3人の隊員が入ってきました。宇宙人はそれに少し反応しましたが、あえて振り向かないようにしてます。まず、隊長が発言しました。

「手荒いことしてすまなかったな」

 宇宙人はやはり何も反応しません。すると隊長は右手を宇宙人に向かって真っ直ぐ伸ばしました。その手にはリモコンが握られてます。隊長がそのリモコンを押すと、宇宙人の手錠がパカッとはずれました。それを見て3人の隊員がびっくり。ヘロン号に乗ってたベテラン隊員が、

「た、隊長、何をするんですか?」

 と言いながら、さっとレーザーガンを構えました。隊長はそれを見て、

「おい、やめろ」

 と怒声。宇宙人は手錠が痛かったのか、右手首に左手を当ててます。隊長はそれを横目で見ながら、隊員たちに話かけました。

「オレたちは警察じゃないんだ。逮捕状も取ってないし、手錠をかけておく法的理由がないだろ」

「し、しかし・・・」

 宇宙人はフルフェイスのヘルメットを脱ごうとしています。隊長はそれを見て、

「あ、ヘルメットは脱がないでくれ。この星にはいろいろと病原菌があるし、あなたがもってる病原菌もわれわれには猛毒になる可能性があるからな。それにそのヘルメットには自動翻訳機が備わってる。被ってた方が会話しやすいだろ」

 宇宙人はヘルメットにかけた手を離しました。隊長は話を続けます。

「君にはすまないことをした。あの船に数千もの君の同胞が乗ってたなんて、夢にも思わなかった。許せとは言わないが、今は怒りを収めてくれないか」

「ふ、ふざけんな! なんで攻撃した! いくらなんでも攻撃する前に警告するだろ! この星じゃ、警告もなしに撃ってくるわけ?」

 ついに宇宙人が口をききました。溜まり溜まったものを一気に吐き出したようです。それを聞いて危険を感じたのか、さらにもう1人、ヘロン号の若い隊員が、

「ちっ!」

 と舌打ちをして、レーザーガンを構えました。隊長はそれを見ると慌てて両手を広げ、レーザーガンを構えた2人を押さえました。

「おい、やめろと言ってんだろ!」

 ちなみに、テレストリアルガードの隊員服は防弾性や防刃性に優れてます。レーザーガンをマックスで撃っても、突き破れるかどうか微妙なくらい頑丈なつなぎです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る