女神の一番長い日 7
ストーク号は地面から50mくらいの高さで空中停止。ストーク号の腹にある円形のハッチが2つ開き、そこから真下に淡い光が2条放たれました。その光がまるでエレベーターのシャフトのようになり、隊長と一般隊員がゆっくりと降下してきます。これもヴィーヴルから供与された技術のようです。ただ、ヘロン号にはこの機能はないらしく、焼け野原に直接垂直着陸するようです。
ストーク号の2人は先ほどとは違うフルフェイスのヘルメットを被ってます。この2人が地面に到達しました。と同時に光は消えました。隊長は一般隊員の顔を見て、
「よし、行こっか」
「はい」
2人は歩き出しました。
ストーク号の2人が倒れている宇宙人のところに来ました。うなじにビーム砲を喰らったせいか、宇宙人の長髪はボロボロになってます。隊長が宇宙人の首筋に触れました。
「まだ息はあるな」
隊長は一般隊員を見て、
「毒と放射能は?」
一般隊員は手にしてた計測器を見て、
「ありません」
「何かあるといけないから、ヘルメットは被ったままにしておこう」
「はい」
ここにヘロン号の2人が到着。
「隊長!」
2人は先ほどのヘッドアップディスプレイとは違うフルフェイスのヘルメットを被ってます。ストーク号の2人と同じヘルメットです。隊長がこの2人を見て命令しました。
「収容しろ」
「はい!」
ベテランの隊員は宇宙人の頭の方に、若手の隊員は脚の方に廻りました。ベテランの隊員の手が宇宙人の身体に触れた瞬間、その身体がひっくり返りました。すると地球上には絶対ありえない一つ眼が露わに。ベテランの隊員はその閉じた眼を見て、気分を害したようです。
「うわっ、きも~っ!」
その発言を聞いた隊長は、ベテランの隊員を横目で見ました。フルフェイスのヘルメットのせいでわかりづらいのですが、どうも怒った眼のようです。2人の隊員は宇宙人の両腋の下と両足を持ち、その身体を運んで行きました。
「隊長!」
隊長がその呼びかけに振り返ると、ストーク号の一般隊員が無残な姿を晒した巨大な飛行物体を見てます。その近辺には2mくらいの長さの円筒形のカプセルが複数散らかってます。一般隊員はそのカプセルを見て、
「隊長、これはなんなんでしょう?」
隊長は1つのカプセルの前でしゃがみ込みました。そのカプセルは一部破れていて、子どもらしき肢体が見えます。
「子ども?・・・」
隊長は先ほどの一つ眼の宇宙人のセリフを思い出しました。
「ふざけんな! この船には5000もの難民が乗ってたんだ!」
「この船はほんとうに難民船だったのか?・・・」
その隊長のつぶやきに、一般隊員はびっくり。
「ええ、我々は難民船を攻撃してしまったんですか?」
「ああ、ジェノサイドやっちまったようだな・・・」
ここは小さな会議室。いくつかの折り畳み式の長テーブルが0型に設置されてます。イスはパイプいす。お誕生日席に当たるパイプいすは逆向きに置かれてます。そこにさきほどの宇宙人が座らされています。その両手は後ろ手になってます。よーく見ると、その両手には手錠がかかってます。サポーターのようなものを鎖でつないだ特殊な手錠です。手錠と手錠の間にはテーブルの脚があります。つまり、身動きが取れない状態になってました。
宇宙人は先ほどテレストリアルガードの隊員が被っていたフルフェイスのヘルメットを被ってます。ただ、ガラスの部分は強い偏光グラスになっていて、中の顔を見ることはできません。首から下はテレストリアルガードの隊員服です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます