生活
猫る歩き人
生活
コンビニのおにぎりを食べ終えた僕は帰路に着く。時刻は19時を回っていた。
(早く帰らねば。彼女に怒られてしまう)
足早に家を目指す。既に日は沈みかかっている。道の狭さも相まって、幾度となく通った帰り道は、いつも通り不気味な雰囲気を醸し出していた。こんな場所だから好んで通る人はほとんど居ない。閑散としてして、道路を蹴る音が一定のリズムで刻まれている。閑散とした道路を、僕は歩く。
僕の住む家は、アパートの2階、1番手前の部屋だ。足を踏み出す度、古びた階段は、不快な金属音を響かせる。僕はできる限り音を鳴らさないよう、静かに階段をのぼり、部屋に入った。鍵を閉め、自分の個室に行き、横開きの戸を閉めた。
僕の個室は狭く、窓がないため全体的に薄暗いが、僕はこの空間が気に入っていた。暗いから朝までぐっすり眠れるし、1人で作業するのにも適している。まるで僕のためにあるような部屋だ。
暫くすると階段を登る音が聞こえてきた。彼女が帰ってきたようだ。時刻は20時半、予想通りだ。
鍵を開ける音、扉が開く音、扉が閉じる音、鍵を閉める音が連続して聞こえる。しかし、彼女からは帰宅を告げる声がないため、僕も「おかえり」とは言わない。
(最近、不機嫌なんだよなぁ)
彼女が僕の隣の部屋で食事を始める。彼女は今日もカップ麺の様だ。栄養のバランスが偏ってるって前にも言ったんだけど、そしたら彼女は怒り出したから、もう言わないようにしてる。
今日は余程疲れたのか、彼女は、食事と入浴を済ませると、すぐ寝てしまった。スマートフォンの充電も無くなってしまったし、僕も寝ようとしよう。
おやすみ。また明日も平凡な1日が訪れますように。
生活 猫る歩き人 @Nekoruarukibito
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます