07 助かった
闘志と気力はあるが、それだけ。
力は及ばず、運にも見放された。
絶体絶命かと思った。
だが、その時。
「勉強の時間になっても部屋にいねぇと思ったら、こんなところで油うってやがるのかよ」
男性の声がした。
たまに、幼馴染(お嬢様)に向かって「やられる前にやれ、気力でまけたら死ぬ」みたいな戦闘の心構えを教え腐っている野郎だ。
お嬢様のお屋敷に通って、勉強を教えているらしいが、その素性はまったく不明。
とにかく怪しい男性だった。
けど、今は助かった。
よし、こいつなら心が痛まないから、囮にして逃げよう。
尊い犠牲(予定)に心の中で手をあわせる僕だったが。
「今から、この不良ガキに説教してやるからよ。犬っころはお呼びじゃねぇんだ。とっとと失せろ」
「きゃいん」
勉強の教師が白狼をにらみつけたとたん、状況は一気にひっくり返った。
白狼が、おびえた声を出して、逃げていったからだ。
え、助かったの?
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