06 腐れ縁



 魔物は追ってこない。

 僕達を見失ってくれたようだ。これで、逃げ切れる。

 そう思ったけど。


「ギャウギャウ!」


 ほかの魔物と遭遇してしまった。

 そうだよ。魔物の大量発生って聞いてたじゃんか。


 だから、こうならない方が不自然なんだよ。


 僕達は仕方なく戦闘。


 で、その偶然出会った魔物とあれこれ戦っている音が、聞こえてしまったのだろう。


 狼だから、耳も良かったんだ。


 戦闘音を聞きつけた白狼が姿を現した。


 ほかの魔物もまだ倒してきっていないのに。


 すると幼馴染(お嬢様)が、きっと相手を睨みつけて、前に出た


「私が相手になるわ。私がこの中で一番弱いの、だから命を投げ出すなら私が一番合理的でしょ? 他の強い人達は逃げなくちゃ駄目。逃げて立派になって、多くの人を助けるって役目があるんだから」


 幼馴染(お嬢様)はお嬢様のくせにそんな馬鹿な事を言ってくる。

 きっと馬鹿の馬鹿がうつったんだろう。

 普段は聡明なのに、馬鹿といるとたまに馬鹿になってしまうから困ったものだ。


 幼馴染(馬鹿)がその横に並んだ。


「逃げるわけないだろ。好きな女の子見捨てて逃げたら、騎士になる前に人間失格になっちゃうぜ」


 はぁ、もう。

 ここで、逃げてくれるような人間だったら僕も、ここまで付き合う事なかっただろうに。


「まったく世話の焼ける幼馴染共だな。死んだらあの世で恨んでやるからな!」


 逃げる奴はいなかった。


 ここで逃げるくらいなら、とっくの昔にこんな面倒な幼馴染の縁を切ってるよ!


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