第101話 ゲームマスター ㉚
モニターに高木刑事とオミズさんが激しく愛し合っている様子が映っています。もちろん会場の巨大モニターにも映っています。
連絡はしないと言いましたが、カメラを切るとは言ってませんからね。
「高木刑事は堅物そうだったのでオミズさんの誘いを断るかと思ったのですが、チョロく
「一時間後には死ぬかもしれない状況で、共に死線を乗り越えてきた女性に誘われたら断れる男は少ないさ」
それでももうちょっと葛藤とかあって良いと思いますが。
「ここまででオミズが好感度を上げていたのも大きい要因だな」
「怪しい言動チラホラありましたけど」
「女性目線ならそうなのかもな、男性目線では中々気づけないものだ」
妙に高木刑事の肩を持ちますね…というより…。
「音重さんもそういったご経験が?」
「…結婚するよりずっと昔の話だがな」
自分も同じ境遇にあった事があるから言い訳染みた言葉になってるわけですか。
「高木刑事は独身で交際している女性もいないのだろ」
「調べた限りここ数年交際相手はいませんね。女っ気がなくて「氷川刑事とデキてるのでは?」なんて噂がありましたけど」
「ふっ、噂が本当だったら最終ミッションは二対一になっていたな」
「それならそれでスリルある楽しい展開だったんですけどね。高木刑事と一対一で戦っても私が負ける可能性は零ですから」
「油断は禁物だ。それに今回は殺戮拷問ショーだからな、紅が楽しむのは諦めろ」
「そうですね」
あれ、高木刑事の動きが止まった……、
「え、もしかして…終わりですか?」
「終わったようだな」
「早くないですか、トータルで10分ぐらいですよ」
「こんな状況だからな」
困りましたね、30分は尺を稼げると思っていたのですが…。
「二回戦とかしないですかね…?」
「これ以上体力消耗はさせないだろ。ん…早乙女から連絡だ」
音重さんからスマホを受け取る。
『紅さ〜ん、あの刑事チョロ過ぎで早過ぎじゃない』
「ですよねー」
『あの刑事、ポンコツな上に童貞だったんじゃないの?』
「どうですかね、学生時代は交際していた女性がいたらしいですけど…」
警察官になって彼女と会う時間が激減して破局。以降仕事一筋、風俗に行くタイプには思えないので童貞だったの可能性は無きにしも非ずかな…。これは今考えても意味無いですね。
「お客さんの反応はどうです?」
『笑ってる観客もいるけど、つまらなそうな顔してる観客が多いわ。裏があるとはいえ純愛系だから、そこは予想通りだけど』
和姦より強姦の方がウケるというのは企画段階で議題上がってましたからね。強姦もラストにはお見せ出来るとは良いんですが…。
「デスゲーム愛好派と殺戮拷問ショー愛好派とで、反応の違いとか今の時点で分かります?」
「う~ん…反応の違いと言うか、なんか論争が会場のあちらこちらで起こってるのよね…」
「論争……『面白いか、面白くないか』で言い争ってるんですか?」
「そうじゃなくて今回のが『デスゲームか、殺戮拷問ショーか』で言い争ってるみたいなの」
それは…どう評価されてるのか解釈が難しいですね。
「今まででデスゲーム型殺戮拷問ショーを行った時もそんな論争起きたりしたんですか?」
「起きたことないわ。そもそもデスゲームっぽいショーでも、殺戮ショーとしか銘打たないもの」
題名の問題でしょうか…?
『まぁ、意見を言い合ってるだけで、モメてるわけじゃないから進行の妨げにはならないと思うわ』
「…なら大丈夫そうですね」
『でもこのままだと観客が退屈するから、紅さん早目にこっち来てくれる。ゲームマスターを直に見たいって声は多いから』
「分かりました。今から向かいます」
『待ってるわねー』
通話を切り音重さんにスマホを返す。
「さて、ポンコツ早漏刑事のせいでお客さんが退屈しそうなので、私達も早目に会場へ向かうとしましょう」
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