第83話 ゲームマスター ⑫
『絶対に閉じ込めんなよ。絶対にだぞ』
モニターには、
「今のはフリだぞ、分かってるなオミズ」
『違うわボケ!要らん事言うなクソコスプレ女!』
『安心してください、軽く押さえるだけですから』
閉じる役はオミズさんで、男性三人は力ずくで押し込まれない為に離れさせられています。
ゆっくりと
『あ、もうつっかえてるぞ。無理無理無理』
『もうちょっと頑張っても良いのでは…』
『何を頑張んだよ!』
『うぐぐぅぅ…』
『おいっ!頑張って押してんじゃねぇぞ、ペチャぱいオミズ!』
『うおりゃぁぁ!』
『痛い痛い痛い痛いっ!!』
あれは閉まりそうにないですね。
オミズさんも諦めて開けました。
一応100㎏の体格までは許容範囲内の設計なんですけど、ニートボールさんは身長が160㎝と平均より低めで、+10㎏許容をオーバーしてるので閉まらないようです。
「くくくっ、
『こっちから願い下げだボケ!あと冗談になってねぇぞオミズ!』
『ごめんなさい!でも絶対に入らないって皆に思ってもらう方が良いと思って』
顔を真っ赤にして怒るニートボールさんの手を取るオミズさん。
『これで岡本さんも処刑から除外ですね』
『む……まぁ、今回は仕方ねぇから許してやるよ』
違う意味で赤くなった顔を背けるニートボールさん。オミズさんが誰にも見られないで角度で舌を出しています。
「これで三択になったな、誰を処刑するんだ?」
各自の推論では候補が別れてました、直ぐには決めれないでしょう。
ですが残り時間は半分を切っています。
『ゲームマスター、質問良いですか?』
「何だ?」
『先ほど高木刑事の嘘は別の問題と言ってましたが、裏切り者ではないという意味ですか?』
「それは違う。公平云々とは関係ないという意味だ」
『私は嘘をついていない!ついていると言うならどんな嘘か言ってみろ!』
…オミズさんはこの発言を引き出したかったのでしょうかね。
「全員が嘘の開示に同意するなら構わないぞ」
私の言葉に、
『そりゃ聞きてぇよ』
とニートボールさんが何も考えず手を挙げ、
『当然私も同意する』
『
高木刑事とパチンカスさんも続きます。
しかし、ハチグレさんとオミズさんは手を挙げない。
『あん、何で拒んでんだよ。高木の嘘でより候補が絞れるかもしれねぇだろ』
『それは…』
『そうなんですけど…』
ニートボールさんと違って二人はちゃんと考えてるから悩んでるのですよ。
ですが結局ここは同意するしかないと考えたようで二人も手を挙げる。
「では高木刑事の嘘を開示しよう」
心折れて自ら処刑されたりしないでくださいよ。
「先ほど高木刑事は調査の為に倉庫に不法侵入したと話していた。その倉庫は警察が怪しいと目星をつけていて、高木刑事が調査するように命令されていた…わけではない」
『え、違うんですか!?』
声を出したのはオミズさんだけですが、他3人も驚いている様子。
当の高木刑事は顔色を悪くして、さっきまでの自信はどこえやら状態です。
「高木刑事は真偽の定かでない噂で怪しいと思い込み、警察官としてではなく自分勝手な考えで倉庫に不法侵入したのだ」
『マジかよ!?警察…つか、人として駄目だろそれ」
「さらに倉庫に侵入する際鍵を壊しているので、不法侵入罪だけでなく器物破損罪も犯している」
『いや、壊しては……』
「ではどうやって侵入したんだ?」
『……南京錠を引っ張ったら、取れた…』
『それは壊してるだろ、あんたバカなのか』
「そしてこれは本当に忘れているようだが、倉庫の管理者に見つかり逃げようとして怪我をさせている。言い訳のしようも無い暴行罪だ」
『…最早ただの犯罪』
皆さんお分かりのようですね。
「その通り!警察官としての強引な調査は嘘。人として駄目なバカがただ犯罪を行った。それが真実だ、何か異論はあるかね高木刑事」
聞いても高木刑事は何も答えてくれません。それどころかこちらを見ることもせず、力なく棒立ちで俯いています。……本当にそのままフラフラと
それは困るので、他の人の反応を待たずに次に行きますか。
「では次ニートボール。言っていたように彼は嘘をついていない、見栄は張っていたがな」
『あん、全員のを教えてくれんのか?』
「全員が同意しただろ」
『そういう意味だったんかよ。…まぁ、でも助かるか。高木の反応見るに真実を教えてくれるみたいだしな』
「我としては、高木刑事が名推理を披露して裏切り者と考える1人を処刑する展開を期待していたのだが…、予想以上にバカだったのでな」
『そりゃしゃあねぇな、とんだポンコツ刑事だ』
呑気に私と会話するニートボールさんもポンコツですけどね。自分は嘘をついておらず、体型から処刑を除外されたので余裕が生まれたのでしょうけど、ゲームマスターはラスボスですから。
「次はパチンカス。彼の嘘は先ほど暴露させられていた、他に便乗して力づくで連れてこられたように話していたが、ギャンブルで作った借金の返済の為に賞金目当てで出場している。それがパチンカスの真実だ」
『…その通りなのだが、何で
「私服姿が地味過ぎたから、作業着で特徴を持たせたかっただけだ」
『そ、そうなのか』
本当に他意はないんですよ。初めっから借金があると話していれば、大して怪しまれずカマかけもなかったでしょうし。
「次にオミズだが、まず彼女が名乗ったは偽名だ」
『あん、磯野って偽名なんかよ?』
「う、うん…だって、こんな悪人の催したショーで本名言いたくなくて…、助かった後でも、今日のことで
『あ、そっか…、オレも偽名使っとけばよかった』
こちらは全員の本名知ってるんで意味無いですよ。強請ったりなんてしませんけど。
「仕事は接客サービス業と言っていたが、現在彼女は無職だ。金を盗もうとした店には
『…そりゃ、金盗んだら解雇されるわな』
「罪に関しては本人が話した通りの窃盗罪。他の罪の噂も聞いてはいるが、我は真偽の定かでない情報を話したりはしない』
見習ってくださいよ高木刑事。と言っても残り短い人生で役立てれるとは思えませんが。
「それと彼女もまた賞金目当てで出場している。こちら側は脅してなどいない」
『あん、どういう事だよオミズ、お前も借金があるのか?』
『いえ、アタシに借金はありません。…多分だけど暴力団とこのデスゲームを
『ほぉ~ん……そうなのかコスプレ女?』
クソが取れましたね、好感度が上がったのでしょうか。
「オミズが今言ったことは、間違いってはない」
真実とは言い難いですけどね。
「さて、最後はハチグレだな。くくくっ、どうした?先ほどから随分と大人しいじゃないか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます