第51話 紅 ②
初デスゲームは話した通り、一人になるまで殺し合うサバイバルデスゲーム。
全容は長くなるので割愛して話します。
開始時から私は襲撃の的でした。
一番の理由は、文武両道の私が強敵と思われたからでしょう…、女子達には「入学時から気に入らなかったのよ!」と襲われ、男子達には「フラれた時から犯してやりたいと思ってたんだ!」と襲われましたけど。
…私が築いた友好的な人間関係はスッカスカの脆いモノだったようです。
あ、因みに全員にそれぞれ配布されている武器ですが、私はナイフでした。
私は襲撃者を撃退しながら、友達の2人を探しました。
先に見つかったのは、他の生徒に襲われている相田さん。
直ぐに相田さんを助けましたが、素人でも分かる致命傷でした。
「相田さんっ!清白です、分かりますか?」
「痛い、…止めて!ぐふっ……イジメないで…」
「…相田さんをイジメる人はやっつけました。もう大丈夫です」
「……清…白さん…?」
「そうです、清白です」
「……痛いよ…苦しいよ…清白、さん…助けて」
二年生のと時、相田さんからイジメを受けていると相談された際は、「私に任せてください」言って、イジメ実行班の生徒達を粛清して彼女を助けました。
しかし、致命傷の彼女を治療する事は私には出来ません、そして苦しみが何秒か、何分か、何時間か、も分かりませんでした。
だから、
「私に任せてください。疲れたでしょう、目を瞑って休んで良いですよ」
「…うん。ありが、とう…清白さん」
私は相田さんが苦しまないように殺しました。
悲しんでいる時間は無いと考え、私はもう一人の友達を探す為に行動しました。
運よく桜井さんと出会え、大怪我も負っていませんでした。
共に行動する事を提案したところ、
「一緒に行くー!てか、絶対一緒にいてー」
と了承してくれました。
しかし、
襲撃者を何度が撃退した後、桜井さんが武器の金属バットで私に殴りかかってきました。
「…何のつもりですか?」
「だ、だって…最後には私も殺すんでしょ」
襲撃者を撃退=クラスメイトを殺害、桜井さんの見てる前で何人も殺しました。生き残る為に仕方ないと桜井さんに説明はしています。
ですが、このデスゲームで生き残れるのは一人だけ。最後には殺されると考えるのも無理はありません。
「清白家の財力なら交渉の余地があります。私達2人ぐらいなら…」
「無理だよ、こんな大犯罪をする連中と交渉なんて出来るわけないじゃん」
「やってみなければ分かりません」
「やって無理だったら?二人で殺し合えって言われたら?私を殺すんでしょ」
「それは……」
「やっぱり殺すんだーっ!!」
直ぐに答えることが出来なかった私に、桜井さんは錯乱したように金属バットを振り回してきました。
……友達との友情も脆いモノですね。
私はナイフを桜井さんの心臓に突き刺しました。
「桜井さんは本当にバカですね。最後まで信じてくれたら、私は自害することも考えていたのに……」
「分かっ、てたよー。…美優ちゃん、は…優しい、もんねー」
っ!?
「最後、まで…生き、て…ね……」
その後、私は出会ったクラスメイトを片っ端から殺しました、逃げようが命乞いしようが。
最後の一人になるまで殺し、ゲームをクリアしました。
ゲーム終了後、怪我の治療と精神状態のチェックを受けさせられました。
「身体の怪我は軽度のモノばかり、精神的にも異常なし。連れて行って問題ないかと」
異常なし…?とんだヤブ医者ですね。
クラスメイトと殺し合ったのに怒りも悲しみも湧いてこない状態が、異常なしのわけないでしょう。
「清白 美優、ゲームクリアしたお前をこれからある方の元へ連れて行く」
私はこの時、本当に闇の組織の黒幕に会わされるのだと思っていました。
ですが、
連れて行かれたのは清白本家の屋敷、会わされたのは総帥様。
「よくぞ生き残り、デスゲームをクリアした。我が娘、美優よ」
ここで私は出生の真実を知りました。
「……全て、仕組まれていた。ということですか?」
「外枠はの」
「外枠…?」
「ゲームが始まってからはワシは何も口出ししておらん、ヤラセになってしまうからの」
「……ゲーム前にクラスメイトに何かしましたか?クスリで理性を乱すなど…」
「クラスメイトにも何もしておらん。
全て私が
「あれは面白いゲームであった。ワシの上位コレクションに
面白いゲーム…?上位コレクション…?
一クラス丸ごと拉致して殺し合いをさせた感想がそれですか。
「総帥様は私に何をさせたいのですか?」
「美優よ、これからもデスゲームに
…あぁ、質問するまでも無かったですね。私はその為に
……ここまで経っても、怒りも悲しみも恨みも憎しみも湧いてきません。また殺し合いをさせられると考えても恐怖を感じません。
デスゲームをクリアしたから狂ったのか、元から私が狂ってたからデスゲームをクリア出来たのか。
「畏まりました。総帥様の指示に従い、デスゲームに
「おぉ!さすが我が娘、そう言ってくれると思とった。これからはワシのことをお父様と呼ぶといい」
いえ、
「はい、お父様」
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