第2話 脱出ゲーム
『ゲームをしよう』
デスゲームでありがちなモニターで謎の仮面男のゲーム説明。
相変わらず
私のスマホに映っているのはモニター越しにルール説明をする仮面をつけた音重さんと、教室でモニターに注目している参加者。
これはライブ配信されているデスゲームの動画。今まさに行わているデスゲームです。
『種目は廃校からの脱出ゲームだ』
ルールは下記の通り。
・クリア条件は正面玄関口からの脱出。
・正面玄関の扉はロックされており開けるには三つの鍵が必要。
・鍵は建物内にあるがバラバラに隠されている。
・建物内には【鬼】がおり、見つかると殺そうと襲いかかってくる。
・クリア報酬は3000万円。
3000万が命を賭けるに値するかは賛否あると思いますが、意外とこの額でデスゲームに参加するんです。とくに多額の借金がある人達は、
他にも賞金が増えるルールがあります。
・【鬼】を退治すれば、一体につき+1000万。
『【鬼】を紹介しよう』
モニターに映り出される三体の【鬼】。
右から、
『用務員』
筋骨隆々の大男。服はツナギで麦わら帽子を被っており、手にはチェーンソー。
…チェーンソーだと用務員というより林業の人みたいですね。
『体育教師』
長身細身の男。服は紺色のジャージで濃い目のサングラスをかけており、手には拳銃。
イメージは運動会でスタートの合図をする体育教師でしょうか。
『JK』
平均より少し高身長の女子。セーラー服で髪はポニーテール、ミラーレンズ眼鏡をかけ手にはコンバットナイフ。
JKにコンバットナイフでは浮きますね。
何故【鬼】の格好が学校縛りなのかと言うと、ゲームの舞台が廃校ゆえのちょっとした遊び心です。
『それでは、ゲームスタートだ!』
ゲーム開始となりモニターは消える。
ですが、直ぐに教室を出ようとする参加者はいません。当然ですね、外には武器を持って襲い掛かって来る【鬼】がいるのですから。
今回の参加者は16人。半数は恐怖で動けない様子ですが中には冷静な人もニ、三人。早くも周りに声をかけてクリアする為の話し合いを始めました。
ですが、残念ながら今回のゲームに作戦タイムはないのですよ。
スマホの小さい画面でも分かるほど参加者全員がビクっ!となる。
チェーンソーの駆動音が聞こえてきたから。
そして、回転するチェーンソーの刃が扉を突き破る。盛大な破壊音と共に用務員が教室を襲撃した。
わざわざ扉を破壊して登場とは、いい演出しますね~。
参加者は悲鳴をあげて逃げる。素手でチェーンソーを持つ大男とやり合える人はいないようです。
おや、早くも第一の犠牲者が出そうですね。 慌てすぎて転けてしまった太った中年男性。
確かNo.11『カモブタ』。参加理由はキャバ嬢に貢ぐ為に出来た借金の返済。
今回のデスゲームは視聴者がクリアする人間を当てるギャンブルにもなっています。
その為参加者にはナンバーとあだ名がつけられており、簡単なプロフィールも見れます。
カモブタさんは三番目に倍率が高い。つまりクリアの可能性は低いと予想されたわけであり、
「ぎゃあァァー!?!!」
予想通りでしたね。
腹にチェーンソーをぶっ刺され、血と臓物を撒き散らされる『カモブタ』さん。まさに阿鼻叫喚の光景に他の参加者は死に物狂いで教室を飛び出す。
開始時の盛り上がりは上々、チャット欄も賑わってますね。お!早速用務員の活躍に【サポチャ】が。
私も頑張らないといけませんね。
スマホをポケットにしまい、扉に向かう。
…足音が聞こえますね。
扉が向こう側から開かれる。
「っ!?わあぁぁっー!?!?」
自分が開けたくせに、勝手に驚いて叫ばないでください。
剃り込みのある金髪坊主頭。派手なシャツに腕にはタトゥー。この人はNo.8『チンピラ』ですね。
「…て、てめぇ、そのセーラー服!【鬼】だな!」
そうです!私が【鬼】のJKです。
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