紅さんはデスゲーマー

ニッケン

第1話 プロローグ デスゲームの前に

 

 デスゲームと聞いたら何を思い浮かべますか?

 クラス全員が最後の一人になるまで殺し合うサバイバルゲーム。

 人狼役と村人役に分かれて多数決で殺し合う推理ゲーム。

 死ぬまで殴り合う金網デスマッチを思い浮かべる人もいるかもしれませんね。


「や、やめ…、ぃぎゃぁっ!」


 どれもデスゲームと言えるでしょう。正確にはどのようなルールにしろ命を賭けて行えばデスゲームになり得ます。

 では、千差万別のデスゲームが行われるのは何故でしょうか?

 フィクションでは神や悪魔の気まぐれだったりもしますが、リアルでは人の確固たる意思で行われます。

 快楽や憎悪などの感情も理由の一つではありますが、それはどちらかと言えばゲーム出場者の理由。

 デスゲームが行われる明確な理由とは、


「痛ぃ、だ、もぉ…、うげぇぁっ!」


 需要と供給があるからです。 


 需要はデスゲームをお金を払って観たい人達がいること。

 供給はお金を貰ってデスゲームを運営する人達がいること。

 デスゲームはエンタメ業の一種と言えるのです。

 

 なので私が今、


「ぃ死、死にひゃく…あぎゃぁっ!」


 出場者の男をナイフで滅多刺しにしているのは、業務に勤しんでいるだけに過ぎないのです。


「ぉお、う、ぅぁ…、げぁぅっ!」

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