第5話 義理の姉と僕の出会いの始まり
過去の話をしよう。
それは姉さんと僕が初めて出会った時の話。
四月になった時と同時期に二人目の母と初めての義理の姉が訪れた。
その時の姉は少し目が冷たく今とは逆で僕の事嫌いだったのかもしれない。
リビングの方で初めて会う母と義理の姉と会話をした。
先に離したのは母からだった。
「初めまして蓮くんこれからよろしくね」
「はい」
僕は少し緊張もしていてた。
「はじめまして柚香と言います」
あまり明るくもなくどこか冷たさも入った感じの口調だった。
だけどそんな姉さんだったけどとても綺麗だった。
季節で例えると春。
桜と姉さんは似合っている。
桜の花びらに囲まれていたような感じだった。
一緒に暮らして数日たったころ両親二人がしばらく仕事の関係で家に帰ってこなくなった。
僕と姉さん二人だけの生活が始まる。
このころ僕と姉さんは会話も全然してなくてとても家族とは思えなかった。
だがあるきっかけで仲が良くなった。
それは。
「蓮さんちょっといいですか?」
「はい?」
俺は自分の部屋で勉強をしていた時ドアが開いている状態だったので部屋を覗きながら話しかけてくる柚香。
「少し話があるんだけど」
「あ、いいですよ」
下に行きいつも食事をするテーブルに座る。
「それで話って言うのはなんですか?」
僕が訊くと柚香は真剣な目で僕に視線を向ける。
「実は、私男の子とはあまり会話をしたことがなくて」
「そうなんですか」
「中学の時も女子が多い学校に行ってたので男子とはあまり話したことがないの」
「あ、はい」
「それであまり話せなくてもしかしたら私があなたの事嫌いみたいに思われてしまってたら誤解なの」
どうやら柚香は男子とはあまり話したことがなくどうしたらいいのかがわからなかったらしい。
たしかに急に再婚して年が近い人と過ごすとなるとかなりストレスがたまるだろう。
僕はそんな柚香を見て少しでも楽にできるようにと少しずつ自分から話しかけていた。
それからどんどん仲が良くなったのだが。
ある日二人で夜ご飯を食べていた時。
「私、蓮君が好き」
急に言ってくるものだから口に入れてたハンバーグを喉につまらしてしまいすぐ水を飲んだ。
「ど、どーゆこと?僕も好きだけど」
「ほ、ほんと?!」
「う、うん」
「なら、付き合お!」
「な、なに言っているんだ!!」
「だって両想いでしょ?」
「いや、たしかに好きとは言ったけど。僕の好きは姉さんとして好きだから」
僕が言うと姉さんは悲しい顔をした。
「でも、義理なんだから付き合えるでしょ?」
「そ、それはそうだけど。でも、僕は姉さんにそんな感情は出ないよ」
すると姉さんは小さな涙をこぼした。
その後すぐ姉さんは立ち上がり涙を出しながら部屋に戻った。
さすがに言い過ぎたかと思ったのですぐに姉さんの部屋に向かった。
「姉さん。さっきはごめん言い過ぎた」
返事は返ってこない。
僕は今日のところは仕方がないと思い明日改めて謝ろうと考え下に降りた。
柚香は布団にもぐり誓った。
「絶対に付き合って見せる」
それから翌日の朝。
僕は早めに起きて朝食の準備をしていた。
「昨日は色々あったけど今日ちゃんと謝ろう。きっとなにかの間違えだ」
「おはよう~」
姉さんが起きてきて僕に挨拶をしてきた。
「おはよう姉さん。昨日はごめん言い過ぎて」
「全然、私こそごめんね」
そう言いながら僕に近づき抱きついてきた。
「ね、姉さん?!」
「ごめんね、急に泣いたりして。でも本当に蓮君の事好きなの」
「ね、姉さん...」
「だから諦めない。蓮君を落してみせる」
姉さんは僕に離れていつもの笑顔で「さぁ、朝ごはんにしよ!」
「う、うん」
これが僕と姉さんの本当の出会いの始まりだった。
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