第4話 姉さんはどうやら幼なじみは負けヒロインだと思っている

学校に登校中僕とは違う制服を着た少女が話しかけてきた。

「おはようございます!蓮!」

笑顔で挨拶をする少女僕は一瞬ときめきかけてしまうところだった。

すらりとした足に小さい体そして子犬のような可愛さ。髪型は黒髪でショートカット。

「え!もしかして由香ちゃん?!」

「はい!蓮!」

そう、彼女の名前は立花由香たちばなゆか僕と同い年で幼なじみ。

僕は引っ越してかなり遠い場所に来たのだがまさか由香ちゃんがいるとは思わなかった。

「どうして由香ちゃんがここに?」

「それは蓮に会いにきたからですよ!」

由香ちゃんはまた笑顔で返してきた。

僕は耳を赤くなってしまう。

それを見た由香ちゃんは微笑んで「冗談ですよ!半分!」

冗談と聞いた僕は惨めに思えて少し恥ずかしくなってしまう。

「おちょくるなよ!でも半分って半分はそうなの?」

「はい!急にいなくなるんですから蓮は!」

「ごめんごめん色々あってた」

「まあ事情はお父さんから聞きました。大変でしたね」

由香ちゃんはしょんぼりした顔で言ってくる。

「ま、まあ由香ちゃんが気にすることじゃないし!」

「そ、そうですか?」

「うん!」

「でも、元気そうでよかったです!」

しょんぼりした顔から次は笑顔に戻った。

心配してくれてたのだろうか?だとしたら少し申し訳なさもある。

「でも、なんでここにいるの?しかもその制服うちの学校の隣の学校じゃ」

うちの学校には三つ学校が近く右にも左にも高校がある。

右の順に学校の偏差値が上がっていくのだが由香ちゃんが着てる制服は一番偏差値が高い高校。

ちなみに僕が通っている学校は真ん中なので普通だ。

「すごいな!その制服この三つある高校の中で一番偏差値が高いところじゃん!」

「ありがとうございます!私今一人暮らしでここに引っ越してきたんです」

由香ちゃんは少し照れながらも事情を説明してくれた。

「そ、それはどーゆこと?」

「私蓮が好きなんです!だからどうして会いたくてそれで両親に説得してせめて高い偏差値のところ行きなさいって言われたのでなんとか頑張って受かりました」

由香ちゃんは真剣な顔をして説明をしてくれた。

僕の事好きなんて言ってくれる人なんて由香ちゃんくらいだ。(姉さんは除く)

すごく嬉しかったこんな可愛い子に言われて。

「ありがとう由香ちゃん!僕も好きだよ!」

俺が素直な気持ちで言ったら由香ちゃんはすごく喜んでくれた。

「本当ですか!嬉しい~!それじゃあ私と付き合ってくれますか?!」

「いや、まだ付き合う事はできない」

そう言うと由香ちゃん落ち込んだ顔をしている。

「でも!いつかちゃんと色々と片づけたら付き合お」

俺が言うと今度はすぐ笑顔になった。

「はい!わかりました!いつでも待ってます!」

僕は時計を見たらもう八時十五分になって慌てながら由香ちゃんに言う。

「や、やべえもうこんな時間由香ちゃん遅刻する前にいそご!」

「はい!」

俺たちは走って学校に向かった。

「それじゃあ、蓮!またね!」

「おう!」

由香ちゃんは隣の偏差値が高いところに向かった。

俺は玄関で上靴に履き替えり教室に向かった。

その後いつも通り授業が終わり帰宅部の僕はすぐ校門から出て家に帰宅をしようと思っていたのだが途中で由香ちゃんと出会い一緒に帰ることにした。

一方そのころ姉さんは。

「はぁ~今日も終わった~」

姉さんはすこし体を伸ばした後学校から出て帰宅をしていた。

どうやらいつも生徒会仲間や友達とは帰らなく一人で帰っているようだ。

帰宅途中に蓮を見付けたのか喜びながらそっと蓮が帰っているところを電柱でのぞいてみるとそこには連の隣に女子がいたことに気づく柚香。

柚香は衝撃のシーンを見てしまい顔が悲鳴に浴びていた。

「れ、蓮君が、蓮君が女の子と一緒に帰っているなんて!!!しかも!あの制服うちの隣の学校の偏差値が高いところ!!許せない!」

柚香はハンカチを歯にかみつき涙目になって言った。

そんなことも気づかず蓮たちは。

楽し気に話しながら途中まで帰った。

「それじゃあ私こっちなんで!」

「おう!」

「ではまた明日!」

「じゃあね!」

由香ちゃんは手を振って帰っていった。

僕もすぐ家に帰宅し、夜ご飯の準備をしていた。

帰宅して数分後柚香は帰ってきた。

それに気づいた僕は「おかえり~」と準備をしながら言った。

返事がないため少し玄関を覗いてみたら姉さんは涙目になっていた。

「どうしたんだ!姉さん!涙目になって!」

僕が聞くと顔を上げて僕の顔をみる。

姉さんは「蓮く~ん!!!!」僕の名前を呼びながら僕に抱き着いてくる。

「ちょ!姉さん!急にどうしたの!」

驚いた僕はすぐ姉さんの肩を引いて聞く。

「蓮君今日女の事と帰ってたしょ!」

「え?」

「まさか見てたの?」

「うん」

僕は少し間を開けてから話した。

「あの子僕の幼なじみなんだ」

姉さんはそれを聞いてなぜか先ほどの涙目から急に笑顔になりいつも通りになった。

「そうなんだ!そかそか!なら一緒に帰ってもおかしくないね!」

「お、おう」

姉さんはそう言って階段に上り自分の部屋に入って行った。

僕は少し疑問になったが台所に戻り調理を始めた。

一方柚香は枕を抱き着き「な~んだ!幼なじみなら問題ないね!」

そう、柚香は幼なじみは負けヒロインだと思っていた。

だが、もしかしたらいずれ付き合うかもしれない由香と蓮の事はまだ柚香は知らなかった。



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