第648話 激レア写真

「えっと――これ耳付けてから?」


現在海織は斎宮さんと七菜?かな。うん。多分七菜も関わってるであろう。勝手に送られてきた猫セットというのか。猫耳と手の――あっ、そうそう、斎宮さん曰くネココスプレセットだ。それを手に取り。まず袋から出して――というところである。ってか、何故か急に俺の言うことを聞いてくれた海織に感謝である。


「多分耳付けないと。手がつけれないかと。いや出来なくはないだろうけど、やりにくいかと」


ネココスプレセット。セット内容はシンプル。猫耳カチューシャ?とか言うんだっけか。それと猫ハンド。うん。そう言えばいいのかな?ちょっと大きめの猫の手袋。付けたら物は片手では持てません。ってやつだな。手袋――だと。まあ自由に動かせそうな感じがするかもしれないが。今目の前にある物は手を入れるだけ。って感じなのでね。指のスペースは――なさそうなのでね。とか俺が思っている間に海織は猫耳装着。って――これだけでもめっちゃ可愛いというね。うん。似合っている。そして――。


「えっと、これ――左右あるのかな?」


猫ハンドを見ながら聞いてきた。


「一応ありそうな――いや無いのかな?左右対称だから――どっちでもいいかと」

「みたいだね。なんか恥ずかしいな」

「海織が斎宮さんを四足歩行にするからこうなるんです」

「あれはあれでかなり可愛かったよ?」

「まあ海織の猫。耳と手だけでも十分かわいいというね」

「——楓君が普通に褒めてきたー。って、それは尻尾も付けろって言っているのかな?」

「大丈夫です。はい。ってか何も言ってませんね。とりあえず猫ポーズしてください。写真撮るので」

「動画じゃなくていいの?」

「いいでしょ。大変だった。って、言うことで」

「あっ、わかったー。楓君今私の事かわいいと思っててー。他の人にあまり見せたくないんだー」

「……」


いや、まあそれもありますが――って海織がいつものニヤニヤに戻りつつあるので早く写真をである。ここまで来てできませんでした。とかはね。


「ほらほら海織。1枚でいいから」

「こう?」


そう言いながら片手をちょっと高めでポーズする海織——って、慣れているのか。上手というね。何でさらっとそれが出来るのか気になるが――まあいいや。って。そういえば斎宮さんは恥ずかしがっている海織って言ってたよな。今の海織。普通に困った感じ?でもないか。普通にかわいい猫ポーズなんだよな。これでいいだろうか……?


「楓君?このままキープはつらいよ?」

「ごめんごめん。いや、ホント海織似合うなーって、いや、これは本当は斎宮さんとかにも見せるのは――だね。何か――」

「おぉ……楓君がそんなことを――」

「あっ。チャンス」


カシャ。


「あっ。ちょっと待って。今のダメ。演技できてない」


海織猫が即俺に寄ってくる。うんうん。が。良い写真取れた。一瞬ホント一瞬だったが。海織が照れた感じになり。さらに猫のポーズはそのままだったので――斎宮さんのご希望通りの写真が撮れたのだった。いやースマホ構えている状態で良かった。ブレも無いよ。


「ちょ、楓君見せてよ。確認確認」

「お断りします」

「何でー」


うん。ちょっとこれも珍しいか。海織が必死。というね。ちなみに今は俺のスマホで撮っていたため。


「斎宮さん斎宮さんっと」

「ちょ。楓君。沙夜ちゃんにまだ送っちゃダメだから」

「いや、送らないと俺が猫なので」

「さっき沙夜ちゃんにも見せたくないみたいなこと言ったーだから確認してから」

「いや、まあ、そうだけど。でもこれ――かわいいと思うよ?」

「見せて。消さないから」

「ホント?」

「うん」


そう言うと、ちょっとお拗ね気味?で海織が俺に座るように促してきて――俺が座るとまた少し前みたいに胡坐にさせてきて――その上に座って来た。そして俺とともにスマホで写真確認である。


「うーん。これ恥ずかしいんだけど……」


自分の写真を見つつちょっと頬を赤くしている海織。うん。本当にこの写真気が抜けていた。ではないが。素が出た写真らしい。


「全く問題ないかと」

「——沙夜ちゃんにいじられそう」

「だろうね」


俺がちょっと意地悪でそんなことを言うと――いや、俺は散々言われたからね。ちょっと海織を困らす?というか。うん、いじろうと思ったら――何故か海織。ニヤッとして――。


「——よし。送信」

「あれ?意外とあっさり」


俺が途中まで斎宮さんへとメッセージを作っていたのだが。そのまま海織が送信していた。後ろから見ていたが。ちゃんと画像も――送信している。


「よしよし。楓君に恥ずかしい事されたから――この後はおもいっきり楓君に甘えまくろう」

「——あれ?なんか俺――大変そう?」

「そうだよ?恥ずかしい事させてきたってことは――100倍返しくらいだからね」

「……」


あー。これやべぇよ。倍とかじゃなくて、100ってどういうこと?俺どうなっちゃうの?と思っていると。


♪♪~


俺のスマホが鳴る。海織がスマホを持っているので、海織の手を見ると――斎宮さんからのお電話だった。


――トン。


すると海織は通話をタップしてから俺にスマホを渡してきた。何でだろうね。うん。まあとりあえず――。


「——はい?」

「楓君!どうしたのあれ」

「えっ?」


俺が電話に出ると――斎宮さんの驚いた声が聞こえてきた。


「いや、海織ちゃんの激レアショットでしょ。何をどうしたらあんな恥ずかしそうにかわいい海織ちゃん撮れたの!?絶対普段してくれないでしょ?」

「——斎宮さんのご希望だったかと――」

「いやいや予想以上だよ。本当は猫ポーズで普通に来るかと思ったけど」


どうやら斎宮さん予想以上の画像が送られてきてテンションマックスで電話して来たみたいです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る