第639話 甘えたい時もある2

「……」

「にぎやかだねー」


柊や斎宮さん七菜が話しながら海織の部屋を離れ、一瞬だけ――事件のかおりがしたが――今のところ柊は無事に歩いている。うん。ってか、柊にも俺は置いていかれる設定になったみたいなんだが……なんで?俺――帰るんだけど。うん、帰る予定だったんだけど。今はなんか目の前で海織が居るんで追いかけれないんですが……。なんか普通に海織さん3人をつぶやきつつ見送ってますが――帰る人もう1人あなたの後ろに居るのですが……。


「あのー、俺――まじで泊まる予定無いんだけど……」

「まあまあ楓君ゆっくりしていってよ」

「おかしいな」


俺は一応帰り道。柊たち3人を今からでも追いかけて見ようと、先に進もうとすると――腕を海織に掴まれた。うん、確保されました。


「何で――」

「みんな気を付けてねー」


はい。海織に掴まった俺。そのまま海織の家に残ることになりました――いやいや何で?俺も帰る気満々だったんですが……海織は俺をしっかり捕まえた状態で3人を見送ったのだった。

ってか。海織が笑顔で手を振ると――うん。3名様。俺に関しては触れず海織にだけ反応して――去っていったのだった。はい。姿が小さくなっていく――後ろから見ていると……なんか七菜がいろいろまた巻き込まれているみたいだが――うん。いいか。俺あっちにいないし。って――こっちはこっちでどうしたらいいんでしょうか……めっちゃ嫌な予感してますからね。


「あの?海織さん?」

「さあさあ楓君。遊ぼうか」

「意味わかんないな」


海織はそう言いながら部屋へと俺を再度引っ張り出す。


「にひひー、新しい着ぐるみあるよー」

「それか!?って着ないからね?」

「えー、今日はペンギンだよ?予定では」

「——着せ替え人形か。俺は」

「そうでしょ?」

「違いますよ!?」


3人が居なくなった後。玄関にてそんなことを言われつつ――海織に部屋へと押し込まれていく俺。途中で手に持っていた荷物を回収された俺でした……はい。回収されたよ。カバンないと帰れません。はい。貴重品。財布系がカバンの中なので。あっ。海織は俺からカバンを回収するとそのまま寝室へ――そして出てきたのだった。うん。寝室に隠されたよ。これは――探すのがいろいろリスクを伴う……簡単に帰れないじゃん。


「さあ楓君。どうしても帰りたいなら――いろいろ漁って探してきてね」

「何をしてるのか」

「まあ楓君には見られてもいいけどねー」

「マジでどこに入れてきたのか」

「中身バラバラで隠してきましたー」

「いやいやさすがにそれは短時間で無理でしょ」

「——にひっ」


……あれ?この海織の顔――マジで?今の数秒の間にそんなことしたの?と俺は思いつつ一度「開けるよ?」と確認を取ってから海織の家の寝室オープン。いつも通り綺麗で――。部屋の真ん中に俺のカバンが普通にあった。うん。あるじゃん。単に部屋に入れただけ――じゃなかった。

俺が一応な髪確認に行くと――。


「——的確に貴重品だけ抜かれている」

「てへっ。すごいでしょ」

「褒めてない」

「どこにあるかな?」

「もういいよ。帰ってよくなったら返してよ?」

「えー、探さないの?」

「何で探してほしいみたいな状況なのか」

「楓君がいろいろ開けていろいろ見たらいろいろな事。命令できそうだから」

「いろいろとなんか言ったのか」

「色々はいろいろだよ」

「いろいろばかりになっている――」

「楓君もだよ」

「……確かに」


俺達は何をしているんでしょうかね。ホント。今は2人だからいいが――これあの3人が居たら……いろいろ言われていそうです。あっ。またいろいろって俺言った。ってさらに言ったか――もういいや。これ気にしだすと何度も言ってることになってその繰り返しになりそうだし。


「まあ楓君まだ寝るのは早いから。リビング行くよー」

「誰も眠いとは言ってないのだが」

「寝室にいきなり入って行ったからねー」

「先に入ったのは海織です」

「えー」


その後俺と海織は寝室を後にして――リビングへと戻ったのだった。うん。俺の貴重品たち。どこに行ったのかな?ちなみにスマホも隠されたみたいなのだが――まあいいか。重要な連絡とか来ないだろうし――ってスマホ鳴らせばスマホの場所はわかりそうだな。うん。柊か誰か鳴らしてくれないかなーなどと思っている俺だったが――うん。それからしばらく俺のスマホが鳴ることはなかったのだった。


――――。


ちなみに海織の家の玄関にていろいろ話して、ちょっとやり取りか。まあそんなことをしてお帰りになった3名様も無駄な時間をちょっとだけ過ごしたためか。俺と海織と別れた3人は楠駅にて、17時11分発の普通電車に目の前で見捨てられて……しばらく楠駅にて電車を待つことになったらしいが――それは俺と海織は知らないことである。ちょうど俺と海織が寝室でなんかしていた頃ですね。はい。まあその後も知ることはないんだがね。

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