第633話 久しぶりにやって来た
「真下に来ると大きいですね」
「でしょ。でしょ。ここ楓君が好きでね。前は良く来てたんだけど、最近は忙しくて来てなかったんだよね。うん。久しぶり」
海織と七菜が長太の大楠を見上げつつ話している。はい。本日は家にも大学にも居ません。お出かけ中です。
「——いやー、ホントデカいな」
海織と七菜を見ていると一緒に来た柊も話しながら歩いてくる。すると――。
「——白塚先輩が居るのが謎ですが」
「何で俺こんなに七菜ちゃんに冷たくされるの!?そろそろ仲良くなろうよ?」
いつも通りのやり取りが始まり――さらに柊の隣に居た斎宮さんが反応する。
「柊だからでしょ。うん。私くらい寛大じゃないと無理でしょ」
「沙夜もなかなかひどいよな?昨日甘えま――」
「そこの水路落ちろ!」
おっと、なんか柊が余計なことを言ったのか。斎宮さんが目にもとまらぬ速さで柊にタックル――。
「うわっ!?危ないだろうが」
「落とす。変な事言ったから落とす」
「ちょちょちょちょ。楓!ヘルプー」
「何でこっちに助けを求めるのか――」
うん。4人を見つつ大楠を見ていた俺になんか声がかかったが――良いか。うん。柊と斎宮さんは青空の下。追いかけっこを開始したのだった。あそこも仲良しですよ。はい。多分あれは――柊が水路か畑。どこかに突き落とされるまで続くと見た。って――今は何をしているかって?それは今日の朝の事だ。
――――。
ピンポンピンポン。
「うん?誰」
俺が朝ご飯を食べて、さて今日は何もない休日。卒論の見直しでもそもそも真面目にするか――などと思っていると、インターホンが鳴った。まさかの海織がまた乗り込んで――と一瞬思ったが。インターホンの鳴らし方がなんか海織ではなかった気がするので――うん。海織の選択肢はすぐ消えて。多分海織なら1回です。はい。
「何か荷物が来た?」
そんなことを思いつつ俺が玄関へと行くと――。
「よっ」
朝から元気なイケメンと――。
「やっほー。海織ちゃん居る?」
同じく元気な美少女さんが立っていました。
「——いらっしゃいというか――突然どうしたの?柊に斎宮さん」
はい。ドアの前には柊と斎宮さんが立っていたのだった。ちなみに今日はどこかへ行く予定は無かった――って、まだ8時台なんですがね。休日の……なんか遊びにくるにしても早くないですかね?ってか連絡なしで来たか。と俺が思っていると――。
ガチャ。
「あっ――斎宮先輩に――白塚先輩。ちょうど来ましたね」
「うん?」
「あっ。七菜ちゃんだ」
お隣でドアの開く音が聞こえて――俺の視線には入って来ていないのだが。七菜がどうやらいるらしい。すると斎宮さんが移動して――お隣に向かったので空いたスペースから俺も顔を出してみると――。
「ぎゃあ!?」
「七菜ちゃん確保ー。七菜ちゃんも今から暇?ってかタイミングよく出てきたところ見ると。連絡来た?」
七菜が斎宮さんに抱きしめられていた。ちなみに七菜は――部屋着という感じだったので、たまたま声が聞こえてか顔を出したのだろうか?いや、でもなんか今七菜が「ちょうど――」ということを言っていたので――また俺の知らないところで何か起こっている可能性も……。
「えっと――つい先ほど宮町先輩から連絡があったの――関係してます?苦しい――」
「あっ。やっぱりちょうど七菜ちゃんところも連絡あったんだ」
「うん?」
お隣からの会話。斎宮さんと七菜はどうやら海織繋がり――らしいが。俺は全く知らない。なので――俺の隣に居た柊に確認してみた。
「柊」
「うん?」
「今日は何故に朝からやって来た?」
「えっ?だって、休みだしだらけようとしていたら、沙夜が宮町さんから、実家からお菓子送ってもらったから遊びに――って連絡があったみたいで、まあ食い意地だけは強い沙夜が大慌てで行動した。だな。だらだら寝転がっていたのに、連絡来たらおバタバタだったよ」
「えっと――集合場所が俺の部屋と?」
「沙夜が楓のところだろ?とか電車に乗ってから言ってて、まあ宮町さんなら楓のところに居るだろうってことで俺もまあ特に確認せずに来た」
確認せずに来るなよである。
「……海織はここに居るのが当たり前と思われているというね」
「えっ?居ないのか?」
驚きつつ聞いてくる柊だが――うん。そんな毎日いませんからっていつも言っている気がする。居るとしても――週……4?あれ?5?まてまてそんなに多くないはず――あれ?あっ。でもここ数日は――。
「……ここ2日はいませんね。大学では会ったけど、ちゃんと自分の家に帰っていますね」
そうそうここ数日は俺普通の一人暮らしである。
「ってことは――俺達来るところを間違ったってことか?」
そうそう。そういう事。ちなみに俺には連絡すら来ていないのだが――何かどっきりかな?もうバレているけど……。
「そもそも俺には連絡来てない」
「——楓、宮町さんと喧嘩したか?」
いやいやガチで心配――って感じで聞かれてもね。何もないですよ?うん。昨日も普通にストーカーされてましたから。はい。昼前に大学へ――と思ったらいつものように四日市からの普通電車に海織いましたし。講義は違ったのに帰りもたまたまーって感じで、図書館前くらいでばったり会って――電車内で別れるまで一緒に居ましたよ?
「いや、そのような記憶は――俺の予想では……そのうち。連絡忘れてた。とかが来るかと」
「それが本当なら平和なことで」
♪♪~
すると室内からスマホのなる音が聞こえてきた。
「噂をすればか?」
「マジか?そんなタイミングよく?」
「まあちょっと出てくるわ」
俺はそう言い一度室内へ向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます