第611話 彼女は知らず知らずのうちに関わっていた2

唐突にかかってきたお兄ちゃんからの電話。

内容は――意味不明だった。


加茂先輩となるべく一緒に明日は居るように。って――なんで?何で加茂先輩が突然出てきたの?って、お兄ちゃんなんで宮町先輩のところに行く。って、いうことから加茂先輩が一緒ってわかっているのか。って――あー。これも白塚先輩からか。うんうん。白塚先輩なら知ってるから――もしかして、私の何かを調べてる?これは――危険。お兄ちゃんまで使って何か仕掛けてきた?でも――なんで加茂先輩を気にしてないといけないんだろう?うーん。


ちょっとシンキングタイム。シンキングタイム。


—―あっ。なるほど。お兄ちゃん酔っぱらってたんだ。そうだそうだ。だから意味の分からないことを言っていた。そうだ。そうしておこう。それに――何か用事。役目?みたいなのも――どうせ加茂先輩一緒に行動だから一緒に居ると思うからね。うん。変なことは気にしておかないでおこう。だって――私の部屋はそれどころじゃなくて――。


――ガチャ。


ほら、噂をしたらですよ。


「七菜ちゃん。お風呂ありがとう」

「——こっちはこっちで元気な人居ますからね」

「うん?何か言った?」

「いえいえ、お風呂じゃあ行ってきます。あっ、入って来なくていいですから。入って来たら――何かします」

「何かを言わない七菜ちゃん。って。大丈夫だよ。警戒しなくても。って、もしかして今の入って来ていいっていうフリ?」

「違いますから。警戒してるんです」


はい。それから私はパパっとお風呂となりました。はい。だって何が起こるかわからないですからね。もしかしたら部屋が漁られている可能性も――まあそれはないか。うん。さすがに何度も斎宮先輩でも部屋は漁らないですよね……多分。


そんなことを思いつつ着替えて、部屋へと戻ると――。


「あっ。七菜ちゃんお帰り。ねえねえこの雑誌今度貸して」

「——めっちゃ漁られてるー」


はい。斎宮先輩を部屋に1人にしてはいけません。普通に私が片付けてあったものを出してきています。どういうことですかね。


「うん?七菜ちゃんが呆れてる?何で?」

「——斎宮先輩の行動力に呆れているんです」

「いやー、褒められても」

「褒めてません。もう。その雑誌確か読んでもう片付けてあったんですけど」

「あー、ごめんごめん。ちょっと物色していたらね。目に付いて――出しちゃいましたー」

「はぁ……まあいいですけど。って他は漁ってないですよね?」

「大丈夫大丈夫。七菜ちゃんの服と下着は把握したから」

「何してるんですか!もう!」

「おお、七菜ちゃんがプンプン」


はい。これはそろそろお仕置きですか?何したら斎宮先輩参りました!とかになりますかね?えっ?私が何をしても無理だろうって?やっても喜ばせるだけなんじゃないかって?……う、うーん。確かに。私が何を言っても無駄なような気も――でもピシッと言っておかないとこれからも――って、明日ヤバくないですか?宮町先輩と――斎宮先輩が揃って。それも場所がビジター。うん。私知らないところ。何されるかわからない。うん。危険すぎる――あっ。そっか。加茂先輩のそばに居ましょう。そしたら何とかなるかもしれないです。そうです。これはお兄ちゃんからの指令。そうそう。怪しまれてもそういうことにしておきましょう。なるべく加茂先輩の横に自然と居ましょう。


「七菜ちゃん?どうしたの?難しい顔して?あっ。もしかして――本当に怒っちゃった?」

「——呆れてるんです」

「えー、あっ。じゃあ七菜ちゃん親睦を深めるために。前みたいに沙夜ちゃん先輩とこれから読んで」

「なんですか?斎宮先輩?」

「あれー。呼び方が変わらない」

「斎宮先輩。明日はお出かけですからね。今日は早く寝ましょう」

「えー、これからだよ?夜はこれから。それに明日は移動中も休めるから。多分」

「今休みましょう」

「あっ。七菜ちゃん抱っこしてほしいんだね。いいよ良いよ。お姉さんに甘えなさい」

「……寝れる気がしない。って、斎宮先輩元気すぎますよ」


誰か斎宮先輩紐で縛ってくださいよ。か、お持ち帰りくださいですよ。あっ。加茂先輩が言ってましたが。白塚先輩を呼んだら……いやいや、下手をするとその後が大変。うん。これは――今我慢すべきが一番ですかね。そうです。横になっていれば、斎宮先輩もこれだけ元気が続くとは限らないので――寝ちゃうかもです。そうです。横になりましょう。


それからの事を言いますと――斎宮先輩は日付が変わるまで大変元気でした。

ずっと私を抱きしめつつ話しかけてきました。何で私が抱かれているのかはわからなかったのですが――って、気が付いたら斎宮先輩寝てましたよ。自由すぎますよ。おまけに抱きしめたまま寝ちゃったので――。


「——動けない」


うん。私が縛られたような状況になったのでした。

それはそれは、大変でしたよ。明日は加茂先輩に愚痴りタイムです。そして加茂先輩から目を離さないという謎ミッションも遂行って――これはなんなんですかね?お兄ちゃんは――何を考えていたのか。これは――加茂先輩に聞いてもわからなさそうなので――白塚先輩に聞くしか……うん。やめましょう。聞かない方がいいですね。何かに巻き込まれたら厄介です。こういう時は、気にしないで普通に過ごしましょう。お兄ちゃんはあとで報告して来いとか言ってませんでしたからね。はい。普通に私は過ごします。


ってか。ちょっと翌日寝不足の私でした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る