第604話 同級生と妹ちゃんとの休日6

食後の休憩中。

俺の部屋にて斎宮さんは七菜に持たれつつくつろいでいる。七菜は斎宮さんの身体を支えているというか――はい。迷惑そうですよ?斎宮さん。って、七菜の体力が切れたのか。支えが無くなり。斎宮さんそのまま七菜の太ももを枕に横になったのだった。


「はぁー。斎宮先輩、食べてすぐ寝ると牛になりますよ」

「モー」


元気に牛となったお方は返事をしていた。めっちゃ寝心地はよろしいようでいい笑顔となっている。


「—―もうなっていましたか」


七菜は呆れつつ斎宮さんを見ているが――まあ楽しそうなやりとりをしているのでいいでしょう。そんな2人を横目に俺は時刻表とスマホを並べて明日の時間検索中である。


「うーん。明日は伊勢川島駅10時17分かなー」


少し調べて俺がそんなことをつぶやくと、斎宮さんが起き上がり。こちらへと移動してきて――七菜も移動してきたのだった。


「楓くん明日の出発時間決まった?」

「一応ですけどね。多分この時間。伊勢川島駅を10時17分の電車に乗って出発すれば――乗り換えて乗り換えてお昼前に海織のところに着くかと」

「じゃあそれだね。なら早朝ってことじゃなくなったから――夜は七菜ちゃんと遊ぶでしょ」

「はい?」


何言ってるんですか?という表情で斎宮さんを見る七菜。


「七菜ちゃんの部屋物色。一緒にお風呂で裸の付き合いとかとか。いいでしょー。楓くん」


いやいや斎宮さんこっちに話を持ってこないで――対応に困るから。


「ちょ、そんな予定無いですから。何を勝手に言っているんですかー」

「今考えたからね!じゃ行こうか七菜ちゃん。楽しい夜にしよう!」

「嫌ですよ」

「あの――騒ぐのはお隣でしていただけませんかね?」

「楓くんも来る?来ちゃう?海織ちゃん激おこ回とかになるかもよ?」

「何その物語みたいな言い方は」

「海織ちゃんプンプン回?」

「……何を言っているのか――」

「あっ、そういえば海織ちゃんさっきからメッセージの返事ないなー。向こうもお風呂かな?」

「いろいろ自由に話してるな……」


やっぱり俺の知らない間に斎宮さんお酒飲んだんじゃないかな?などと俺が思っていると――。


「加茂先輩。宮町先輩って――そんな……プンプン?しそうなキャラでした?」

「コロコロ変わるけど――あまりイメージは出来ないかと」


うん。見てみたい――いや、なんか大変そうだから見たくないかな。うん。見たくないですね。めっちゃニヤニヤしながらいじられそうなので――。


「ってか。加茂先輩。斎宮先輩やっぱり酔ってます?」

「奇遇だね。俺も同じこと思ってた」

「ちょっと楓くんと七菜ちゃんで盛り上がらないでよー私も混ぜてよ」

「全く盛り上がってないです」

「です。斎宮先輩が一番盛り上がってますよ」

「えー、普通なのに」

「普通ってことに驚きしかないんですがね」

「同じくです」

「2人が意気投合している。これは海織ちゃんに連絡――ってことで、楓くん。明日の朝ね。朝ご飯は――何かなー」

「あっ。朝ご飯の事忘れていたが――まあいいか」


うん。何とかなるでしょう。はい。


「じゃあとりあえず七菜ちゃんもらっていきまーす。七菜ちゃん行くよ」

「いやいや、何でそうなるんですかー」

「お帰りはあちらです」


俺は玄関の方を指差す。すると――。


「加茂先輩。面倒だから早く帰らそうとしてますよね?」

「してます。はい」

「素直に答えられたー。あー、なんか巻き込まれたー」


俺の横で嘆いている七菜。が、仕方ないである。うん。斎宮さんを止めるのは――ですからね。


「じゃ、楓くん。今から七菜ちゃんとお風呂タイムだから。また明日ね」

「その報告はいらないかなー」

「最終確認。来たい?」

「行きません」

「加茂先輩。単なる酔っぱらいの相手してるみたいです……」

「七菜。ファイト」

「えー」

「七菜ちゃん行こう。か。楓くんところに七菜ちゃんは泊まる?」

「はいはい。斎宮さんに七菜。お出口はあちらです」

「完全に加茂先輩が見捨ててきました」


再度俺が玄関へと案内すると――荷物を持ってまず斎宮さんが――うん。歩くのも問題なさそうだから――やっぱり斎宮さん酔ってないんだよな。今日は絶好調だっただけか。などと思いつつ。七菜。何度でも言うけど、斎宮さんをお願いである。こちらでは手に負えない。お願いということも思っていた俺だった。


「なんか今日寝れない気がしてきました―」

「あっ。七菜。最悪柊を呼んだらいいかと」

「それはそれでさらに面倒なことになりそうなので、手に負えなくなったらこちらのドアを蹴りに来ます」

「蹴りに来るって――騒動が起きた後じゃん」


夜中に玄関を蹴りに来るとかいう未来はいらないですね。などと俺が思っていると玄関の方から斎宮さんの声が聞こえてきた。


「七菜ちゃん。行こう。来ないなら勝手に部屋漁るよ?」

「いやいや、斎宮先輩は鍵持ってないので入れないですよ」

「もうゲットしてるよー」

「なっ!?」


斎宮さんの声を聞いてカバンの中を漁る七菜……。


「ない!?いつの間に!?」

「……大変そうだ」


その後七菜がちょっとダッシュで玄関へ。斎宮さんと追いかけっこするように――去っていきましたとさ。


「斎宮先輩開けて。鍵閉めないでください!ちょっと」

「……」


なんか少しだけ外が騒がしかった気がするが――うん。俺には関係ないです。はい。関係ない関係ない。


その後――七菜の部屋ではいろいろあったみたいなのですが――あっ、これに関しては翌日移動中に聞きました。でもまあ――俺はこの後朝まで平和だったので――はい。今回は平和なパターンで。


2人が帰りました。

静かになりました。

風呂入って明日の準備してちょっとのんびりして寝ました。

翌朝になりました。

快晴でした。


はい。平和なパターンでした。


さて、本日は海織の実家へと行きます。

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