第602話 同級生と妹ちゃんとの休日4

「あれ?楓くんもう準備OKなの?」


ひょいと俺が作っていた物を覗いている斎宮さん。まだできていませんよ?である。


「まだ煮込んでいるですね。まだ食べれないのでつまみ食いはなしで」

「作るの早っ。もうこんなところまで進んでいるとはー。ビックリ」

「鍋に入れてーだけ。だから準備したら後は待つだけです」

「なんだー。七菜ちゃんが早くこっちに行って手伝おう。って、言ってたんだけど――ならもう1回七菜ちゃんところに――」


そんなことを言いながら斎宮さんが近くに居る七菜に絡もうとすると――。


「行きませんから!斎宮先輩すぐ漁りますから」


七菜の元気な声が響いた俺の部屋だった。うん。かなり既に部屋を漁られたとみた。


はい、現在は七菜の部屋に居た斎宮さんと七菜が俺の部屋へとやって来て――鍋を覗いて――というところです。つままれそうですが……今のところセーフです。斎宮さんは七菜に絡んでいるのでね。めっちゃ嫌がられているように見えますが……。


ちなみに七菜は、元気な声が聞こえていたが。何故かお疲れの様子も見え隠れという感じで、まあ隣の部屋でギャーギャーしていたのでしょう。だから触れないです。はい。


「そうそう聞いてよ。楓くん七菜ちゃんさー」


すると斎宮さんが七菜に絡んだ状態でこちらに話しかけてきたのだが――まあ七菜が即口を挟んでいた。


「ちょっと、斎宮先輩。何を勝手に話そうとしているんですか?」

「そりゃ見たことをだよ?」

「何も見てないですよね?パパっと片付けて出てきただけじゃないですが」

「えっ。七菜ちゃんがバタバタ物を押し込んでいる間に、七菜ちゃんの下着漁りは完了してるよ?」

「いつの間に!?ってそんなの加茂先輩に報告しなくていいですから!泊めませんよ!?」


まあ予想はしていたが――ダメだな。俺が触れないようにしても勝手に火の粉が飛んでくる。という状態だった。

初めに言っておくが俺は全く七菜の部屋については聞いていない。うん。料理をしていただけである。


「で、楓くん七菜ちゃんの何聞きたい?」

「斎宮先輩!」

「斎宮さん。七菜が怒るからそのあたりでやめましょう。多分ここに居る人で一番怒らせちゃいけない人は七菜ですから」

「えー、今日は3人で盛り上がる予定なのに?」

「何で私の事で何ですか!他にも話題はありますよね?」

「七菜。近所迷惑になるから。ボリュームボリューム」

「あっ。すみません」


自分の口を押えつつ。ぺこりとする七菜。


「で、実際楓くんは彼女様が居ない間に女の子2人も連れ込んでどう?」


――そんな七菜の横で絶好調の方は誰も止めれなかった……。


「斎宮さんはお酒でも入った?」

「全く!」

「七菜?向こうでこっそり――はないか。未成年のところに無いよな」

「いや――私の知っている限りでは――ないかと。もちろん私の部屋にそんなものはありません」

「まあ、そうだよね。斎宮さん酔っぱらったら動かないはずだから」


誰か斎宮さんを止めてくれである。うん。普通の状態でこれですからね。今日は元気というか。この状況が楽しんですかね?まあ楽しんでもらっているのはいい事なのだが――明日海織のところに無事に到着できるだろうか――まず今晩乗り切れるだろうか?などと思いつつ。2人の相手をしつつ。料理も作る俺だった。うん。煮るだけだけど、見てないとですからね。吹きこぼれたらそれはそれで大変ですから。


それからは、斎宮さんと七菜は部屋の方へと移動して――さらにしばらく。


「——いい香りがしてきた」


俺のところへと再度寄って来た斎宮さんが俺の肩に手を乗せつつ。鼻をクンクンさせている。お腹が空いているようですが――もう少しお待ちくださいですね。

少しの間テレビを見ていたみたいだったけど――見たかったのが終わった様子だ。でもまだ料理は煮込まれて――って、そうか。もう1つ鍋があったか。


「あっ。斎宮さん」

「うん?何?楓くん」

「七菜と一緒にお仕事をどうぞ」

「お仕事?」

「——私もですか?」


俺が声をかけるとテレビを見ていた七菜もこちらへとトコトコやって来た。


「ゆで卵の殻むきがあります」


俺はそう言いながら茹で終わった卵を斎宮さんの前へと置いた。


「任せて、これなら余裕」

「うわぁー。たくさんありますね」

「まあ全部やっちゃえで――茹でたんで」

「たまに加茂先輩大雑把ですね」

「まあこれしかないし。食べるかなーと」

「食べる食べる」


コンコン。


斎宮さんが早速殻むきを始めるとその隣で七菜も卵を手に取り作業を開始してくれた。うん。少しは――暇つぶしになるかな?と。俺は思っていたのだが――。


「あっ、綺麗にむける」

「ですね。どれもつるんとむけますね」

「……まさかの苦労なしパターンか」


特に穴をあけるとかそういうことはしてなかったはずなのだが――卵の殻むきの2人6個あった卵を――次々綺麗にしていったのだった。

うん。茹でている時にヒビが入っていい感じになったのかな?それとも――茹でた後に水で冷やしていたのが良かったのだろうか?


うん。ちょっと2人に作業をしてもらい時間を――という俺の作戦失敗に終わったのだった。


1分かからず綺麗に殻がむかれた卵が出来上がったのだった。

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