第567話 混ぜるな危険2
――これは1時間ほど前の事である。
今日の俺は大学の講義が午前中だけだったので、お昼には自宅へと帰って来ていた。そして自宅にて今日もここへとやって来る予定の海織を待っていたのだった。
あっ、待っていた。というのはですね。今日はそろそろ買い物に行かないと行けなくてですね。うん。俺の家食材が底をついてまして……で、昨日もいらっしゃったお方。海織と買い物に――という話を昨日してましてね。そしたら一緒に行くやらやらとなっていまして――はい。勝手に1人で行けないので、海織のお帰りを待っているところです。勝手に言っても問題はないと思うが――ご機嫌斜めになると大変ですからね。
現在の時間は15時を過ぎたところ。昨日の話では、いつも通りなら講義が終わり。湯の山温泉駅へと歩いて行くと――15時ちょうど発の普通電車には乗れると言っていたので、問題なく進んでいたならそろそろ海織が帰って来る頃である。
電車のいいところはちゃんとその時間に駅に着くのでね。予想がしやすいところですね。はい。バスとかも――まあ日中とかならこの時間くらいには帰って来るだろうというのは予想できるが。朝晩とかだと渋滞があるんでね。夕方の渋滞とかはすごいと言いますからね。結構到着時間がずれることがあるが。電車だと渋滞はないのでね。まあ駅からこの家までで、寄り道などをしていたら――だが。幸いなことにというのか。伊勢川島駅から俺の家までは特に寄り道できるようなところが無いのでね。家を通過すれば寄り道。いろいろ見れたりするところはあるのだが――駅から家では何もないのでね。
まあとりあえずそろそろ海織が帰って来るだろうと俺は思いつつ。窓をチラリと。うん。俺が大学から帰って来る時も怪しい雲が広がりだしていたが。さらにその怪しい雲が広がった気がする。どんよりである。ホント天気が怪しいから雨が降り出す前に買い物に行きたい。だから海織早く帰ってこないかな。いや予報では早いと夕方から雨なんだよな。などと思っていると――。
ガチャ。
玄関でドアの開く音が聞こえた。ちなみに海織が帰って来る予定だったので鍵は開けてあった。不用心にも開けっぱなしではない。わざと開けてあったのである。
ってか。良かった良かった雨が降り出す前に買い物には行けそうだと俺が思っていると――。
「おっ、開いてる開いてる。やっほー。楓くんー」
「邪魔するぞー」
「ちょ、柊何で先に入るのさ」
「開けてくれたんだろ?」
「違うし」
「ただいまー。楓君楓君今雨降ってきたー」
「お邪魔します」
「————えっ?」
あれ?俺の予想していた状況にはならなかったのだった。
声が多すぎる。うん。本来途中で電車を降りるはずの方々の声が聞こえたり――お隣さんの声が聞こえたり――どういうことか?などと思いつつ一応玄関の方を覗いてみると――玄関で渋滞が起きていた。
「柊邪魔」
「そんなこと言っても靴脱げないんだよ」
「面倒な靴履いてるからでしょ。どいてどいて。後ろ詰まってるから。何で面倒な靴履いてるのに先に入るかなー馬鹿じゃない?」
「ちょ待てよ」
「ごめんねー。白塚君」
「通りまーす」
「——さらっと2人も通過していく。って――なんかここの女性陣俺に最近厳しい!って、脱げん。紐が絡まった!」
うん。靴を脱ぐのに少し手間取っていた柊を押しのける形で女の子3人が中へと入ってきた。
「あの――俺が知らないところでまた何かあった?」
「いや、大学で会って話してたら明日休みだし。そもそもこの後暇だから遊びに行こうってことになってね。で――ご覧の状況かな?」
海織に確認してみると――まあうん。俺にでも容易に想像できる光景が少し前に大学であったらしい。
4人が大学で会って――講義が終わる時間も同じで――まあとりあえずもう1人回収しようか。じゃ、そのもう1人のところの行けばいい。みたいなことになったのだろう。うん。多分合っているはずだ。
「楓くんところにご飯もらいに来ました。あっ、いつもの抱き心地のいいクッション発見」
俺がちょっと勝手な予想をしていると。斎宮さんが荷物を置きつつそんなことを言ってきたので――。
「……ここは食堂なのか。たまり場なのか。いつの間にか何かおかしくなったらしい……」
ぶつぶつと俺が言っていると。さらに七菜も俺の隣へとやって来て――。
「先輩すみません。流れで私も付いてきました」
「七菜に関しては、部屋が隣だから荷物置いてからでも――」
「置いてから来ました」
……うん。ちゃんと七菜を見ると――身軽でした。普通大学ならテキストとかがあって――なので。それが入っている鞄とかがあってもいいが。今の七菜は身軽に登場だった。他の3人と一緒に俺の部屋に入ってきたので、自分の部屋には寄ってないかと勝手に思っていたが――ちゃんと荷物を置いての登場だったらしい。
「——ですね。お隣ですからね」
「はい」
「いやー、脱げた脱げた」
七菜と話していると柊が遅れて部屋へとやっと入ってきた。あれだ、時間のかかる方は入場も最後の方にした方が揉めなくて済むぞ?だな。
「ってか。斎宮さん」
「うん?」
「ご飯をご希望だったみたいだけど……この家。買い物行かないとまともに物がないんですけど――海織は知っているはずだったんだけどね」
俺が斎宮さんに話しつつ。一応海織の方を見ると――。
「あっ、忘れてた」
うん。この表情はガチで忘れていたらしい。海織さん。俺の家の冷蔵庫の事を忘れていたようです。さてさてこの後どうなりますかね。
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