第568話 混ぜるな危険3
「あっ、忘れてた」
「——見たいですね。今の表情からホントに忘れていたとみた」
「あははー、そういえばそうだったね。買い物行くんだった」
苦笑い中の海織。うん。本当に俺の部屋の冷蔵庫事情を忘れていたらしい。買い物行くと昨日言っていたんだが――寝たら忘れたみたいだった。または――3人と話していたら――忘れたかのどちらかだと思う。
「ってことは……楓くんところでご飯なし?」
「今のままだとホント目玉焼きくらいしかできないですね」
「なー」
斎宮さんは絶望みたいな表情になっていた。
うん。俺の家の冷蔵庫マジで何もないんだよな。すぐなくなるというか。あまり大量に買ってもなので――普通の量しか買わないので。まあちょくちょく底をついている。まあそれが一番食品のロスが無くていい気がするのだが――こういう突然の事には対応できないというね。あっ、お米は少しあったかな?炊かれる前の状態で……冷凍とかはなかったな。うん。
でもだ。ここには海織が居る。先ほど忘れていたとか言っていたが――そろそろ何かを思いついてくれるだろう。そんなことを思いつつ海織の方を見ると――。
「そうだ。ゲームしようか」
「……はい?ゲーム?」
何かを思いついたらしいが――ゲーム?だった。うん。うーん。それはこの後どうなるんでしょうね?ちょっとだけ不安な俺だった。
また謎なことが起こりそうな加茂家です。とでも言っておこうか。俺がそんなことを思いつつ海織を見ていると……。
「うん。正式な名前はなんだったかな?まあいいかな。ほらあるじゃん。いつだれがどこで何をするっていうのをさ。決めるゲーム」
「あー、あるね」
「何となく知ってます」
海織が話しだすと女の子2人が話しに加わってきた。
「で、今からさ。それに似たゲームというか……紙にいろいろ書いて「誰が」と「何を」とえっと「どこで買ってくる?」みたいな感じかな?」
「——何かが起こりそうなゲームが始まりそうなんだが――」
不安しかない俺だった。
「でも面白いかも。それで晩ご飯決めようよ」
俺が不安に思っていると――これはヤバい。斎宮さんが海織の話にくいついてしまったので――今日はこれで決まりそうな感じだった。すると柊も――。
「いいんじゃね?決まったことを必ず実行。うんうん面白い事書けそうだしな」
楽しそうな感じで会話に入ってきた。うん。やることは決定というか――何でこんなことに?ってか、確か海織たちが帰って来た時。雨が降りだしたとか言ってなかったっけ?うん。言ってた気がする。
「——柊。無茶なことを書くと、晩ご飯にありつけないかと」
「大丈夫だろ。明日休みだし。のんびり待ってればさ。何か書こうかなー」
「まあうん。反対はしないが……どうなっても――って海織。雨降ってるんじゃなかった?」
「あっ。だね。さっきここに着くと同時くらいに降ってきたんだよ」
「雨の中のお買い物か」
「まあまあ」
「いいじゃんいいじゃん。楓くん。これは罰ゲーム的な事だよ」
「斎宮さんも楽しそうなことで。自分も罰ゲームになることをお忘れなく」
「問題なし。さあさあ何かこうかなー」
斎宮さんは――既にやる気満々だった。
「——嫌な予感がしますね。無茶ぶりと言いますか――とりあえず嫌な予感がします」
「七菜だけがちゃんと理解しているかもね。何を書いてもいいという怖さを」
俺がどうなることか心配しつつ。柊や斎宮さん。海織を見ていると。七菜が話しかけてきた。
「まあ晩ご飯が何になるか。決まるまでわからない。ゲーム自体は面白そう。楽しそうですが――ね。雨降ってる中の買い出しになるのは――ですね」
「その何になるかで。大変なことになる可能性も――」
「まあまあ、じゃあいいところカゴがあるから――」
七菜と話していると、海織がさらっとどこかからちょうどいいサイズの箱を3個持ってきた。どこにあったのかは――もう聞かない。俺の部屋にいろいろ置かれてるんですね。はい。そういうことにしておきましょう。
箱が準備されると海織が仕切る形で進んで行った。
「とりあえず――何を書いたらいいかな?まずは――誰が。だよね。書き方は自由でいいよね?」
「だね。自分の名前でもいいし。誰かの名前でもいいんだよね」
「ってか。その時点で名前を書かれなかった人は買い物に行かなくていいという事か」
「良し。柊の名前は書こう」
「おい」
うん。心理作戦というのだろうか。既にゲームは始まったらしい。俺がふと思ったことをつぶやいたら――柊と斎宮さんがバチバチしていた。そこまで白熱しなくても……。
そんなこんなで、それから海織がそこらへんにあったチラシで適当なサイズの紙を作り――その後は5人がそれぞれコソコソと紙にそれぞれ言葉を書いたのだった。
そして……ゲームが始まる。まあゲームというか……くじ引き?みたいなものかな。うん。決まったことによっては――大揉めが起こりそうなゲームがね。始まったのだった。
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