第505話 兄3
「えっと。で、難波先輩は――もうすぐ来るんだよね?」
「多分ですけどね。お兄ちゃんは今どこ。とかほとんど言って来ませんから――まあ突然来ますね」
呆れた表情で七菜が言う。まあその様子から慣れているというか。まあいつもの事です。というのが伝わってきた。
「それはそれで大変で。まあさっきの海織みたいにか」
「えっ?連絡したよ?」
俺がそんなことをつぶやくとすぐに海織に反論された――ってそうか。
「—―あっ、スマホ机の上か」
俺は海織に言われてこの部屋で留守番をしていたスマホを確認してみると――。
「やっほー、今から行くねー」
そんなメッセージが十数分前に届いていた。十数分前に――。
「……うん?海織。このメッセージどこで送った?」
「えっ?えっとね。電車降りて――すぐかな?うん。川島駅から歩いてくるとき」
「……家を出た時とかという選択肢は?もし俺が居なかった場合どうする――って海織は関係ないか。開けて入っているだけか」
うん。このお方。普通に入れますからね。と俺が思っていると――。
「加茂先輩。大変ですねー」
「一応連絡は来ているけど。こちらも突然だからね」
七菜と話していると海織がなんかこちらにもたれつつ。いや、俺の肩に乗っかかりつつ。
「あまり早く連絡しちゃうと。楓君がいけないことしているところに遭遇できないからね」
「……何を楽しそうに言っているのか」
「加茂先輩――そんなこと……」
「七菜もわかっているけど、一応海織の話に乗っておきます。ってのはやらなくていいので」
「……まあですよね。加茂先輩のところに誰か来て居たらさっきも言いましたが。なんとなくわかりますし」
「私的には。七菜ちゃんとイチャイチャに賭けていたんだけどねー。って一緒に居たか。うん。作戦成功?」
「それは海織たちが原因ですね」
「です。はい」
何か後半わからない話をしていた気がするが――とりあえず俺の部屋へと入った後は、海織が自分で自分の荷物と斎宮さんの荷物を片付けていた。って――ここ何度も。何度も言うが俺の部屋。うん。俺の部屋の荷物置き場がおかしいですね。などと思っていると――。
♪♪
「うん?あっ、お兄ちゃん」
七菜のスマホが鳴った。
七菜が自分のスマホの画面を確認していた。
「珍しくお兄ちゃんちゃんと連絡してきましたよー。えっと――もうすぐ着くから……か。何かどこかで似たようなこと今さっき聞いた気がしますね」
「海織と似たような感じだね」
俺が言うと――。
「まさかー。ですが。家で待っていることにします」
そういい七菜は立ち上がり玄関の方へと向かって行った。
「あっ。鍵閉めるから、そのままでいいよ」
「はーい。お邪魔しました」
玄関へと向かう七菜に俺は声をかけた後。俺も立ち上がろうとしたら――。
――ガチャ。
「—―あれ?お兄ちゃん」
玄関のドアが開いたと同時くらいにそんな声が聞こえてきた。すると、片付けていた海織がまた隣に寄って来て……って楽しそうな表情している海織だった。
「楓君楓君。これはもしかして――同じパターンかな?」
「……楽しそうなことで。って、海織と難波先輩。同じことしたのかな。川島に着いたらメッセージって」
「見てこようか?」
海織がそんなことを言いながら俺の腕を引っ張ったので、そのまま俺は立ち上がり。海織とともに玄関へと向かいちょっと覗いてみると――すぐに目が合った。
「おう!加茂。宮町さんも居るじゃないか。がははは」
「……本当に居たー」
「だねー」
「今日も元気そうですね」
ムキムキ先輩。さらにムキムキになったか。うん。とりあえず七菜の前に難波先輩が居た。うん。難波先輩発見です。ホント元気そうですね。ってか何か手に紙袋いっぱい持ってるな。軽々と。という状況だった。
それから俺と海織も七菜の部屋へと向かった。
ちなみに――何だろう。4人。というのはまあ俺のへと七菜の部屋。ほとんど同じなので、そこまで狭く感じることは今までなかったのだが――あれか。難波先輩がデカいからか。なんとなく狭く感じていた。って荷物が多いのもあったか。何だろう?この大量の紙袋だった。でもまあ聞ける雰囲気ではなかったので――まあ何も言わず。
まあそんなこんなで、少しの間難波先輩のお話やらやらを――。
ってかなんか名刺もらった。うん。マジで何かしているお方でした。
あと難波先輩が大量に持っていたのは、俺が聞かなくてもすぐにわかりました。はい。普通に東京のお土産でした。そういえば東京から来たんですね。という話の中で、とにかく目についたもの買ってきたとか言うワイルドなお話を聞いた。なのでそれを見た七菜が――。
「私1人でこれは無理だからね!?」
そんなことを騒いでいたのも少し前の話。いやでも本当に、お菓子やらやらがたくさん入っていて、七菜は「そのまま実家に持って行って顔見せて来ればいいじゃん」的な事を言っていたが。難波先輩曰く「その暇はないな。がははははー」だった。
なのでたくさんのお土産をどうするかということが発生して――。
俺が動いていた。
「—―あっ、柊?今暇?いや、難波先輩が居ましてね――うん。そう。で、よければなんだけど、お土産が大量にあってね。まあこちらへと取りに来ていただけると――」
俺行ったのは柊を呼びだすという行動だった。
俺と海織がもらっても――まだ残る。普通に残るという量だったのでね。柊なら――まあ何とかしてくれる。お友達にも配ってくれるだろう。ということで連絡してみた。
それから数分後。現在は難波先輩と海織が何やら話している。
そういえば前もだったが。この2人――話が合うのか。話し出すとずっと話してるんですよね。うん。何で話があっているのか気になるというか。さっきから一応聞こえてきている言葉は――ゲームだろうか?何かカタカナ言葉が飛び交っているような――だった。
俺がそんなことを思っていると。同じく相手がいなくなった七菜が俺の隣へと移動してきて――。
「加茂先輩加茂先輩」
「うん?」
「お兄ちゃんと宮町先輩って仲良かったんでしたっけ?」
「まあ何か話が合うというか。前も話し出したらずっと話していた気がする」
「良いんですか?お兄ちゃんに取られてますが?」
「問題ないですね」
「おお。余裕の先輩」
などと七菜と話していると――。
♪♪
俺のスマホが鳴った。柊か?と思いつつ確認すると――。
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