第488話 ビリヤード2
――トン。
俺が持ち球?というのか白い球を打つと――狙い通り5番のボールに……当たったのだが。ポケットには落ちなかった。
「あー。入らないか……」
「先輩残念でした」
「距離があると難しいね」
「ですね。勢いがあると白い球が落ちちゃいますからね」
そんなことを言いながら俺たちは交代をする。七菜が俺から棒を受け取り――
すると打ちながら七菜が話しかけてきた。
「そういえば先輩」
「うん?」
「3人の先輩方はプロなんですか?」
「……」
――カン。
「まあ――プロというか。何というのか。いや、前の時は俺が今日みたいに1人引くかったから。俺が下手過ぎるだけ。海織たちが普通なのかなー。って思っていたんだけど……」
「いやいやおかしいですよ。私も何度か来たこと前にありますが――ガーターなし?でまあそこそこ点が取れることはありますが――溝に落ちませんから。でも、今日みたいに溝掃除ありの状態で――あんなに点って取れるんですか?」
「いや――俺……知り合い少なくてボウリングの機会がないから――」
「……なんかすみません。って私の経験上でもなんかおかしい気がしたんですけど?200近く普通の人――まあ取れる人もいるかと思いますが――なんかおかしい気がします」
「まあそれは俺も思うというか。もう違う次元の方々と思う事にした」
――トン。
「ってか。斎宮先輩はあれですね。白塚先輩には負けたくないんですね。めっちゃ叫んでましたよね」
「あー、うん。前の時は確か――斎宮さんが1位だったかな」
「斎宮先輩かわいいところありますよね。ムキになるというか――その。負けた時の顔がかわいかったです」
「本人に言ってあげるといいかと」
「いやいや、何かそんなこと言ったら私――玩具にされそうですし」
「あはは――」
――トン。
うん。何気に話しながらしているのだが――七菜がどんどんポケットにボール沈めていくんですが――とか俺が思っていると。七菜の打ったボールは狙い球には当たったが――ポケット手前でそのボールが止まったのだった。
「あー、入らなかった」
「でも七菜上手いよ。って普通に話しながらでも上手というか」
「いや、何か話している方が緊張しなかったと言いますか。はい。考えずに打った方がすんなりできました」
「そういうのもあるのか」
――カチ。
トン。
うん。無駄な力が無いと言えばいいのだろうが。普通静かにするものだと思うのだが――俺と七菜の場合話しながらの方が両者とも綺麗にボールが打てた。
まあここは今人も少ないし。俺と七菜から一番遠いところでやっている人も話しながら楽しそうにしているので――俺と七菜もそのまま話しながら続ける事にした。
「ってか加茂先輩」
「うん?」
「白塚先輩は、ボウリング得意なんですか?」
「うーん。得意だろうとは思うけど――そこまではわからないかな。まだ実質2回しか見てないし。そのボウリングのレベルが俺わからないから」
「あー、でも、1ゲーム目のどや顔見せられた後。私は改めて白塚先輩とは合わないと感じました」
「……本当に柊が七菜に嫌われている件について……」
「はい?」
「いや、なんでもないです」
「いやだって――なんか白塚先輩は――まあ周りの子が言ってますが――かっこいい。イケメンになるらしく」
「まあイケメンさんですね」
「—―そうですか?」
「そうだと思うよ?」
うん。多分柊は普通に居れば――かなりのお声がかかると思いますよ?と俺が思っていると――。
「私の感覚とは違うみたいです」
「ははは。手か七菜って……難波先輩見たいな人が良いって事?」
――スカ。
「—―先輩。今のもなしで」
「OKOK。悪かった余計なことを言ったかもしれない」
「だ、大丈夫です。はい。って。お、お兄ちゃん出てきます?」
うん、何か明らかに七菜が動揺した気がするのだが――と俺が思っていると。
「—―そ、その。別にお兄ちゃん。兄はムキムキでいろいろと何かの時に使えるんで――はい。まあ良いなーなんですよ」
「まあ、そういうことに」
「ってなんで、お兄ちゃんが話しに出て来たんですか。急に」
「いや、何となくというか――七菜を知る前に難波先輩が――妹は……その、何だっけ。まあよくくっついてくるやら。先輩が居ないと――ダメだとか言っていたような……って」
――スカ。
「……」
「七菜。悪い、俺が余計な事を思い出した、だから、普通にもう一回打っていいので」
「だ、大丈夫です。ちょっと狙いミスです。はい――お兄ちゃん……勝手に何か言っていたか――もう」
「……」
うん。難波先輩。ちょっと余計な事思い出した俺だったみたいです。はい。俺がそんなことを思っていると――七菜は3度目の正直で――。
――トン。
うん。狙い通りボールがあたり――ポケットには入らなかったが――。
――トン――カチ――ポトッ。
「……」
「……」
うん。ボウルが他のボールにもあたり――最後に当たった9のボウルだけがポケットに落ちたのだった。
「あれ?先輩。これは――私の勝ち?」
「えっと……ルールがわかりません」
「じゃあ私の勝ちということで」
「—―はい」
「じゃあ先輩。もう一回くらいできそうですから。何か賭けてやりましょう」
「……えっ?」
「精神攻撃を仕掛けてきた先輩に拒否権はありません」
「……この後輩強い」
うん、何か2回目は賭けてするみたいです。はい。
まあ余計な事思い出しちゃった俺のミスですね。はい。気を付けないとです。
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