第487話 ビリヤード1

早々とボウリングが終了してしまった俺と七菜。

まあ人数も違うし。俺と七菜はどんどん投げていたのでね。そんなこんなで海織や斎宮さん。柊とかなり差が出来ていたので――。


ボールなどを片付けた後に七菜に何かしてみたいものがある?ということを聞いてみると――キョロキョロと周りを見ていた七菜が。何か見つけたらしく。


「先輩。私ビリヤードしてみたいです」


そう言いながらこちらを見てきたので、そのままビリヤードをすることに。うん。俺したことないんだけどね。でもなんか七菜がやりたそうにしているし。やってみるかということで俺たちは30分ビリヤードをすることにした。


ボウリング場と同じ階にあったので、すぐにビリヤードの方へと行ってみると――ここは静かだった。うん。ボウリングの方は結構家族連れとか、俺たちと同じように学生が居たのだが――ここでは今も一組プレイしているだけで。複数テーブルがあるのだが……ほとんど空いている状態だった。

まあ俺としてはこういう方が嬉しいのでラッキーと思っていたんだがね。


そして七菜とともにテーブルへと移動して。近くに荷物を置いてから俺たちは準備を開始したのだが――うん。何もわからない俺。こういう時は正直に――である。


「って七菜」

「はい?」

「俺ビリヤード初めてなんだけど、七菜は?」

「私も初めてです!」

「……うん。初心者が2人」

「はい、って先輩本当にですか?」

「本当にですね」

「じゃあ――普通に楽しみましょう」

「う。うん。でもなんていうか――ルールって曖昧だけど」

「大丈夫ですよ。あれですよね。数字の順番に落としていくって」

「あー、うん。確かそんなんだったね。ナインボール?」

「そうそう、そんな名前ですよ。それしましょう。まあ私この――名前なんて言うんだろう?棒」


七菜はそう言いながらボールを打つというのか……うん。俺も名前知らないから棒でいこう。ボウルを打つ棒を持ちながら言ったのだった。


「……ちなみに俺もわかりません」

「じゃあ棒で行きましょう。これ。この棒持ってると何かかっこいいじゃないですか」

「……う。うん?」

「見様見真似になりますけど。何かしてみたかったんで。はい、加茂先輩やりましょう」

「—―だね」


そんなやりとりを俺と七菜はしてからとりあえずボールを並べてみて――。まず七菜から始めたのだった。


――スカ。


うん。持ち方とか知らない俺と七菜は、多分こんな感じ……という感じで始めたのだが。うん。俺が見る限り七菜――持ち方はあっているというか。かっこいいな。と思い見ていた。


――えっ?スカってなんだって?聞いてあげないでくださいよ。

単に七菜がいきなり空振りしただけですから。


「……先輩。今のなしで」


七菜が小さな声で言った。


「大丈夫、見てないから」

「……恥ずかしい――」


――トン。


照れている七菜は珍しいというか――うん。ちょっとかわいい七菜見たな。と思っていると、気を取り直して七菜が打つと――ボールに今度はちゃんとあたり――綺麗に並べられていたボールにも当たり。ボールとボールが当たる音が響き……テーブル上にボールが弾けた。うん。うまいじゃん七菜である。

ってか――なんかめっちゃ綺麗にボールが転がっていた。


「えっ……七菜上手いね」

「いや、自分でびっくりしました。めっちゃ綺麗に弾けましたね」


そう言いながら七菜は持ち球。とでも言うのだろうか。白いボールのところへと移動していった。


ちなみにびっくりなことに今の七菜のショットで3つほどボールがポケットに落ちたらしく。何か既にテーブルのボールが少ない。うん。まあこういう場合も続く?のだとは思うが特にルールを知らない俺と七菜はそのまま小さい数字から順番に入れて行く事にした。


「先輩。もしかしたら私が全部入れて先輩には回らないかもしれません」


――トン。


そんなことを言いながら七菜が白いボールを打つと――コン。


うん。七菜が狙った通り1番のボールに白い球は当たったが……うん。そんなに上手くは進まなかった。


「あははー、やっぱり上手くはいきませんね。でもこれ楽しいです」


そう言いながら棒を俺に七菜が渡してきた。って――もう1本あるんだが――まあいいか。七菜が気が付いてないみたいなので……俺たちは交代交代で使う事にした。


それから俺がやってみると――いや、俺も空振り……の可能性はあったが。意外と打てた。そして――ボールとボールがあたり弾ける音が――なんか楽しい――って1番がポケットに落ちた。


「入った」

「あー、先輩上手いじゃないですか」

「いやいや、ポケットに近かったからで」

「むー、でも先輩2番は隅っこです」


そう言いながら七菜が2番のボールの場所を指差したが――うん。


「……無理だー」


2番を俺が次当てることはできなかった。距離もあるし。直線では狙えなかったのでね。


とまあ初めての2人にしてはそこそこ順調にビリヤードは始まったのだった。

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