第471話 5人でランチ2

俺と海織は最後尾の車両に乗り込んで――座席に座る。駅も静かな感じだったが車内も静かで――のんびりとした感じだった。

お客さんも少なめ。ロングシートが1人1つ当たる。という感じだったが……まあ俺の横には海織がもちろん座っている。


自分の指定席――という事ではないと思うが――まあいつも通りお隣にぴったりと座っています。

ってわかれて座る必要はないですよね。うん。余計な事を言いました。

海織に感ずかれる前に――忘れましょう。はい。忘れました。

海織がこちらの事に感ずいた様子は……ありまえんね。はい。


俺と海織が座席に座り――少しすると電車は湯に山温泉方面へと動き出したのだった。


「なんかこの時間の電車って眠くなるよね」


電車が動き出してすぐ。海織が話しかけてきた。


「—―だね。今日は日差しもあるし。車内もちょうどいい温度だからね」

「今は……お客さんも少なくてさらに静かだからね。朝とか朝とかだと――ない光景だよね」


空いている車内を見回しながら海織が言う。


「確かに。それにこのお昼前の時間の感じってなんか好きなんだよね。朝のバタバタが終わってのんびりというのか――なんか特別みたいな感じで。働いていたり学校に居るとだと味わえない時間だから」

「土日だと子供たちが居て……また同じ時間でもちょっと違うよね。にぎやかさがあるから。でも今は――気持ちい時間だよね。お昼はお昼でまたポケポカして好きだけど」

「あと――個人的にはこれだけ人が少ないとなんかいつも以上に走行音が聞こえる感じでこれも良い感じだね」

「あっ、確かに。このリズムも眠くなるんだよねー。一定のリズム。ある程度の速さになるとちょうどいい感じだよね――ってことで、じゃ楓君の肩を借りて――しばし休憩ー」


海織と今の時間。ぼーっとしたくなるようなこの時間について話していると――海織がそんなことを言い出して俺にもたれてきたのだった。


「……突然人を使わないように」


俺はもたれてきた海織をそっと戻す。


「えー。寝やすいよ?」

「いやいや車内ではお静かに。あと大人しく」

「むー、まあまた帰ったらのんびりすればいいかー」

「……はぁ――」


うん。何で目立つことをこのお方はしてくるのだろうか――と俺が思っていると……。


「あっ、楓君楓君」

「うん?」

「お昼だけどね。七菜ちゃんも誘ったから」

「……急にだね」


うん。何で次々と初めて聞くことが出てくるのかなー。と俺は思いつつ海織の方を見ると――海織はスマホを取り出し操作をしながら……。


「沙夜ちゃんが七菜ちゃんにお礼言いたいんだって」

「—―うん?お礼?」

「そうそう」


なにかあったっけ?と俺が思っていると……。


「あれだよ。あれ。七菜ちゃんのクレーム」

「……なるほど。海織が勝手に送ったあるね。って、でもなんでお礼?」

「沙夜ちゃん曰く。超ストレス発散できたんだって」

「柊がまた……ボコボコ事件—―ね」


うん。最近このパターンが良くあるので俺はすぐにイメージ図。柊に何が起こったのか理解しました。はい。わかりました。である。


「大丈夫大丈夫。事件にはならないよ。なんやかんやで2人は仲良しだからねー」


そんなことスマホを操作しつつ笑顔で言う海織。

うん。まああの2人こそ――喧嘩するほど仲が良いだっけ?そんな感じだが――と俺が思っていると……。


「まあ知らない人が見たら……うん。揉めてる!喧嘩してる!とかでちょっと慌てちゃうかもだけどー」


追加で海織がそんなことを言った。

うん。この前は――大学内では拍手になっていたな。と俺が聞きながら思い出していると――。


「今日は何が起こるかなー」


おいおい。何を言いだすんだか。海織さんよ。だった。

平和というのは無いのだろうか……と俺は思いつつ。


「……楽しんでいる方がいた。と」


俺はそんな返事をしつつ……また何か起こるのかなぁー、と。思いつつ。海織とそんな話をしていると――海織が先ほどから操作をしていたスマホをこちらに見せてきた。


「はい」


どうやら――メッセージ?の画面を探していたらしい。


誰のメッセージ画面だ?と俺が思いながら見ると――アイコンは……七菜だったのだが……。


「わかりました。行かないとまた周りでいろいろ起こりそうなので――今日は2限が終わったらお邪魔します。ありがとうございます。加茂先輩にもお礼を言っておいてください」


「—―」


うん。俺は見せられたメッセージを見て……何だろう。うん。一つ前のメッセージが見たいかな……と思っていたのだった。


「どうしたのかな?楓君。ニヤニヤ」


――海織さんは……わかっていてこれを見せたな。という状況です。はい。なので俺は普通に聞いた。


「……海織。七菜をどうやって呼んだの?」

「えっ?それは―—今日お昼ご飯一緒にどうかな?多分今日は白塚君も学校だから――こっちに居た方が安全かもよ?だったかな?」


海織はスマホを操作して――そんなことを言った。

うん。柊を出したか……と俺は思いつつ――って待て待て。絶対それだけじゃないだろ。ということで――。


「海織?他には?」

「おぉー。楓君がいい勘をしていますね」

「いやいや、最後の俺にお礼がおかしいからね。何を言ったの?」

「大した事は言ってないよ?今日は――楓君がしっかり七菜ちゃんを守る。って言ってるからおいで。って言っただけだよ?」

「……」


うん。この子――何を言ってるんでしょうかね。うん。謎だ。


「……七菜は何かに追われているのでしょうかね」

「まあ白塚君だね。あの2人ずっとダメだねー。合わないのかな?まあ七菜ちゃんは今日のお昼。私たちしかいないと思ってるけどねー」

「……」


あー、これ七菜には柊が既にこっちに来る予定という事言ってませんね。はい。海織は――何か起こしたいというか……うん。楽しみたいのかな?うん。そんな話を聞いている俺はですね――はぁー。ですよ。


「……何か起こる未来しか見えないのですが――ってちゃんと誘うならこっちの事言っておこうよ」

「楽しくワイワイも良いでしょ?」


……海織が隣で悪い顔をしていた。

これは――何か起こるわー。である。

再度ため息が出た俺だった。

だって――のんびりのお昼ご飯が消えそう。無くなりそうなのでね。

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