第380話 語る楓

「ぴよりん」


先ほど海織からのメッセージにあった……名前か。うん。それを七菜が自分のスマホで検索したところである。


そしてすぐに検索が出来たらしく。


「あー、かわいい。なんですか。これ!」


と言いながら俺の方に自分のスマホを七菜が見せてきた。っか「ぴよりん」だけですぐにヒットしたのか。とか俺が思っていると……うん。はい。七菜のスマホ画像を確認しました。俺の記憶の中にあったものがつながりました。


七菜のスマホに表示されていた画像を見た俺は――。


あー、そうそうそれそれ。名古屋駅?のところにあるお土産屋さんのプリンだ。プリン。プリンだよね?うん。ひよこ?の形で中にプリンが入っているんだよ。そしてなんか時期によっていろいろな種類が……うん。確かだが結構な種類があったような……って、今七菜が見ているのは黄色いから普通のやつかな?うん。俺もあまり詳しくは無いんだが。なんか少し前にテレビとかで見たよ。とか昔のこと。自分の記憶の中に会ったことを思い出しつつ。


「それそれ。確か中にプリンが入ってるんだよね」

「これのどこにですか!?ケーキじゃないんですか!?」


うん。俺がちょっと余計な事を言ったかな?七菜はどうやら見た目からケーキ?と思っていたらしいが……って確かプリンとババロア?だったかな……うーん。ちょっと思い出せないのだが……まあ見た目から見るとケーキに見えるから……ケーキでもいいのでは?とか俺は思いつつ。


「まあうん。中身とかに関してはそのうちわかるかと。とりあえずそれがここに向かっていると。お伝えしておきます」

「来るんですか!?私の分ありですか!?このかわいいの来るんですか!?」


なんか七菜のテンションが上がっているが……とりあえず確認のため俺は先ほどの海織のメッセージ画面を七菜にも見せた。

そして海織からのメッセージ画面を見た七菜は……。


「あー、ホントだ。さすが宮町先輩です!」


俺の横で七菜がそんなことを言っていた。うん。これは七菜のテンションが跳ね上がってますね。っかよかった……料理の時じゃなくて。


いやもし料理中に変にぴよりん情報が来て。七菜が今のテンション。楽しみオーラ全開とかになっていたらと思うと……うん。

何が起こっていたかだよ。ぴよりんに会えなかったかもだし。とか俺は思いつつ。


海織に何時の電車に乗ったのか聞いてみた。俺がメッセージを送っている間も。俺の隣では「ぴよりん。ぴよりん。楽しみー。どんなのかなー」と言っているお方が……ホントテンション高いというか。かわいい子供……とか思っていたら。海織からの返事はすぐにあった。


♪♪


俺のスマホが鳴ると七菜は何故か隣に来て画面をのぞき込んできた。海織からの続報でも気になったのだろうか……。

っかなんか本当に七菜が子供のように見えるのは……うん。思っただけにしておこう。うん。余計なことを言うとだからね。柊の二の舞になるかもだからね。うん。


とか俺は思いつつ。まあ七菜に見られても問題ないだろうと。七菜がのぞき込んでいる中。


「えっと……何分に乗ったんだ?」


と俺がメッセージ画面を開くと……。


「名古屋駅をね。15時06分の電車だよ。楓君は早く会いたいみたいだけどもう少し待っててねー。帰ったらたくさんくっついてあげるから」

「……」


何書いてるんだよ海織。ってか何故にこのタイミングで……とか俺がちょっと頭を抱えていると…。


「……先輩。いつもこんなラブラブのやり取りしているんですか?」


うん。七菜が見ている……のはだったな。ホントなんで今回に限ってこんな追加文章を…。普段は普通だよね?もしかして海織今のこちらの状況。七菜が隣で見ていたということを知って……ってそれは無いよな。うん。遠く離れたところに……いや待てよ。海織は勘がいいから。もしかして……とか俺は思いつつ。


うん。変に七菜にこのことに関していろいろ言ってもなので、海織が何時にこちらに着くか考えることにした。


「えっと――名古屋06分ってことは…。急行じゃないと思うから……普通……だと次の急行乗った方が早く四日市には着くと思うから。乗ったのは準急か。ってことは四日市までは50分弱だから……15時台の湯の山線は間に合わないだろうから……うん。多分海織は16時半前にはここに来るかな」


うん。頭の中で何となく海織の予定を把握した。と思っていたら――。


「—―ちょっと待ってください」

「えっ?」


俺が声の方を見ると……なんか不思議そうな顔をしている七菜が居た。


「今先輩何をぶつぶつ言ってました?って電車の時間全部頭に入ってるんですか?」

「—―えっ?なんか俺言ってた?」

「めっちゃ名古屋?からのことをぶつぶつと……ってなんで時間だけで宮町先輩が乗った電車わかるんですか?」

「えっ?いや……確か名古屋駅って急行がまあ昼間の時間帯15時16時台まではパターンダイヤというか。1分21分41分?みたいな感じだったはずだからね。だから海織が言ってきた時間が06分だったから。急行以外。夜とかで急いで帰ってきたいなら特急で海織は帰ってきそうだけど……この時間はあまり考えられないし。名古屋四日市間は、所要時間もそんなに変わらないからね。それに特急なら10分30分50分とかだったと思うから……それでもないから残るは普通か準急になるんだけど。海織はまあ名古屋はよく使う方だからある程度の事は知っていると考えると……わざわざ途中で次の急行に抜かれる普通電車を選ぶとは考えられないから。でも次の急行の時間とはちょっとズレた時間。ってことは。急行に乗れなかった海織が駅の放送とかを聞いて。多分急行の少し後に出る準急が四日市まで先に到着とかいうのを聞いたら。それに乗るかな……って。まあ完全に俺の想像だからちゃんと時刻表とか見てみないとだけどね。もしかしたらもう少し早く帰って来るかもしれないし。実は急行に乗ったけど……何かを企んでいる海織が違う時間の電車を言ってきた。ってこともあるから……って七菜?どうしたの?」

「……」


うん?どうしたんだろう…。いや、俺が話している時にふと七菜を見たらポカーン。という感じで俺を見つつ固まっていたんだよ。うん。固まっていたのだった。

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