第359話 接近中×2 4

伊勢川島駅15時38分発の湯の山温泉行きの普通電車で移動中の俺と七菜。


七菜が何故一緒に居るのか……は、まあいいだろう。

七菜は知り合いの輪を早速広げようと。それも先輩の。うん。頑張っているんだからこういうのは協力しないとというか……俺は出来ないことだな。とか思ったりしていた。いや、まあだって……俺未だにお知り合い少ないですから。はい。


そして勝手な予想だが……絶対七菜とかはすでにメッセージの友人数とか半端ないことになっている気がしているんだよな。うん。


とか俺が思っている横では車窓を見ている七菜が居た。

まだ数回しか乗ったことが無い路線だから車窓を見るのも楽しいのかもしれない。俺は…。もう見慣れた。落ちつく車窓になりつつある。うん。ホント学校あれば毎日見てる車窓だもんな。


そして俺と七菜を乗せた電車は今、伊勢川島駅の次の高角たかつの駅を発車して斎宮さんと待ち合わせの桜駅へと走り出した。


多分予定通りなら菰野駅を15時39分発の電車に斎宮さんは乗っているので……。

駅に着いたらすぐに会えるだろうと俺は思っていた。


そして電車は桜駅へと到着……の前に一時停止した。

いや、よくあることなんだがな。駅で行き違いをするときに反対方向の電車が駅へと止まるまではもう一方の電車は駅の手前で止まってるんだよな。


どういう基準なのかは俺はちょっと知らないが……同時に駅に入線ということはない。発車するのは同時とかなんだけどね。


まあそのため現在は俺と七菜が乗っている方の電車が一時停止……と思っていたら電車が動きだした。


ってことはだが。斎宮さんが乗っている電車の方が先に桜駅へと入ったので改札のところで斎宮さんが待って居るかな。とか俺が思っていると電車は桜駅へと到着した。


「七菜。この駅で降りるから」

「はい。了解です。って……ちょっと緊張してきたー。先輩。斎宮先輩ってどんな人ですか?」

「えっ?斎宮さん?」

「はい。宮町先輩はかわいい子。と言っていたのを覚えているんですが……」

「まあ。うん。元気で活発な女の子?女の子はダメか。うん。とにかく明るく行動力が半端ないお方。七菜ならすぐに仲良くなれると思うけど……なんか元気なのは似ている気がするし。うん。活発というところも――」

「そうですか?それだと良いんですけど……よくよく考えたら。めっちゃ怖い先輩。とかだったらどうしようかと」

「あはは……それはないかな。まあ怒らすとだけど……柊はよく蹴られてるし」

「柊?」

「あっ。斎宮さんの彼氏だね」

「おー、先輩はやっぱり危ない橋を……」

「違う。ってか先に行っておくが。結構普通に出かけたりとかあるから」

「そうなんですか。先輩意外とやりますねー」

「どうもなんか間違っているような……」


とか七菜と話しながら歩いていたからだろう。俺はちょっと斎宮さんの発見が遅れた。


「あっ。楓くー……ん!?」


改札の方から元気な声?ってか……なんか驚いているというか。何か見ちゃいけないもの見た?みたいな感じの声が聞こえてきた。

ってそうそうまずは先にご説明ですよね。


俺は七菜ととともに改札を抜けて斎宮さんのところへ……すると—―即斎宮さんが俺の腕を引っ張ってきた。


「ちょちょ。楓くん。どちら様?なんかめっちゃ可愛い美少女連れてきてどうしちゃったの!?もしかして楓くん……似てない妹とか居たの?って……どこかでこの子見たことあるにような……」


うん。まあ予想はしていたが……七菜を見て斎宮さんのテンションが高めである。


「斎宮さんちょっと待って。ちゃんと説明するから。こちら。難波七菜さんです」

「……難波……あっ!」


と。俺が七菜の名前を言うと……どうやら斎宮さんはすぐにつながったらしく……良かった良かった。説明が簡単になりそうです。


とか思っていたら――。


「やばっ。海織ちゃんに見せてもらった写真と全然違うというかうん。いや、もうめっちゃ可愛いじゃん。えっ?本当に難波先輩の妹さん?」

「えっ。あ……はい。あの……まああのムキムキの兄の…。妹です」


と、ちょっとグイグイと斎宮さんが来ていたんで……七菜はどうしたら……という感じだったが。まあうん。大丈夫だろうと俺は思いつつ…。


「で。ちょっとというか。早々と今日からこっちに来たみたいで……っか。斎宮さんが連絡くれた時にちょうど駅までちょっと迎えに行ってまして……ケーキ食べに行くのを七菜知っていたので……まあこうなりました」

「おー。楓くんチャレンジャー。海織ちゃんが居ないからと後輩に手を出したか」

「ちょっと。そこ。話聞いてました?」


俺と斎宮さんがなんやらかと話していると――。


「あの。改めまして。難波七菜です。よろしくお願いします。あと勝手に付いてきてすみません」


七菜が斎宮さんに小さくぺこりと頭を下げた。すると……。


「あー。楓くん」

「うん?」

「欲しい」

「—―はっ?」

「お持ち帰りしたい」

「—―—―はい?」

「かわいい」

「……」


うん。それからの事を言うと……。


会って3分くらいかな?カップ麺が出来るくらいの時間で……いやもしかしたらもっと短く。あっという間の出来事だったかもしれないが……。


斎宮さんと七菜は……。

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