第335話 その後のお話 ~サプライズはまだある~

――――。


斎宮さんが柊と会えたと連絡が来てからの事。


俺と海織は部屋で片付けも終えてのんびりとしていた。

そして俺はふと思い出した事を海織に言った。


「あのー……そういえば――海織さん?」

「どうしたの?楓君?」

「いや、ふと思ったんだけどさ。俺……海織の家に行かなくて……普通に大人しくしていればよかったのではないでしょうか……ね。って」

「それはダメだよー。沙夜ちゃんの着替えがないからね。着替えが無かったら今日の沙夜ちゃんと白塚君の遭遇はなかったんだから」

「っか……今更だけどやっぱり着替えを俺に取りに行かすのはおかしいよね?」

「ホントだよ。楓君に引き出しあさられたんだからね。恥ずかしい恥ずかしい」


完全に演技をしている海織。

多分わざとだろうが……というか見せているのだろうが……。

顔がニヤニヤモードなのでね……この顔の時は完全に遊ばれている俺である。うん。間違いない。


「……ちょっと待とうか。はじめて聞く人は――この部屋には居ないけど。もしかしてがあるからね。あとでいろいろ問題が起こるとだから。ちゃんと言っておくと。俺は海織に言われてというか。追い出されて海織の家に行ったんだからね?ここ大切」

「そうだっけ?」

「そうですよ!?昨日から柊が居なくて暇って遊びに来ていた斎宮さんがそのまま泊まることになって。突然海織がじゃあ突撃で会いに行ったら?みたいなことを言ったからこうなったんだよね?」

「そうだったかなー」

「似たような返事ばかりしてくるな……」

「ふふふっ」


俺の隣で海織はホント楽しそうにしているのだが……俺遊ばれまくってるな。


「……とりあえず。で、なんか気が付いたら斎宮さん普通に俺の部屋に泊まって……朝っぱらから柊に連絡するから……で朝から活動しだしたら……斎宮さんの着替えがないから。海織の着替えを。ってなったんだよね?あってるよね?」

「あー、そんなこともあったよね。だって沙夜ちゃん私のパジャマ姿だからね。それに楓君が沙夜ちゃんの部屋に勝手に入る方が捕まるよ?」

「……それは――なんとも……」

「だから。私が恥ずかしいの我慢して……」

「いやいや、全く恥ずかしがってなかったよね?むしろ楽しんでたよね?そして俺が場所の確認で連絡した時わざと下着のある場所言ってきたでしょ」

「楓君が男の子だー!ってこっちは大盛り上がりして楽しかったよ?」

「……泣きたい。ってか海織の恥じらいというのはどこに行っちゃったんでしょうかねー。ホント」

「ごめんごめん。あれは沙夜ちゃんの案だったんだよ?私も恥ずかしかったけど我慢したんだし」

「恥ずかしがっているようには全く見えなかったのですが……まあよくよく考えたら普段から洗濯させて来るもんね。それがかなりの期間続いているから――」


そうそう、俺普通に最近は海織の服とか全部洗濯してることあるんだよな……そしてたまに畳んだりしてると変な視線があるというか……海織が楽しんでいる――うん。これは思い出さなくていいか。


「ほほほー」

「……藤井寺先生がいるよ」

「藤井寺先生はほっほっほー。でしょ?」

「—―確かに」


地味に藤井寺先生の真似が美味い海織だった……。

ってなんかいろいろ朝からあったのだが――。


「沙夜ちゃんたち今頃何してるんだろ?」

「柊を振り回している斎宮さんが見える」

「あー、そうだね。それだね。なんか買ってもらったりしてるかな?」

「まあ……柊もあんなにこっちの思惑通りに動くとは思わなかったけど」

「だね。ホント面白いくらい上手に言ったよね」

「まあ次やっても成功はしないだろうな。今日が奇跡的というか」

「次は白塚君も警戒するだろうしね」

「多分ね」

「あっ、そうそう、楓君」

「うん?」

「話は変わるけどさ」

「うん」

「そろそろ冷蔵庫の中が少なくなってきているから、ちゃんと買い物行った方がいいと思うから今から行こうよ」

「突然だね。まあ物が少ないのは知っていたけど」

「夕方の特売があるからね。行こう」

「それを待っていたか」

「イエス」


うん、こちらのお方もいろいろしっかりしています。っか……住み着いてらっしゃります。当たり前と言うか。ずっとあると慣れるから怖いね。ホント。


そんなことを思いつつ俺は立ちがあり。それに続くように海織も立ち上がり。2人とも出かける準備。貴重品とかを持って……少しすると――。


「じゃあ楓君行こう」

「了解」


と、海織とともに玄関を出たところだった。


♪♪~


俺のスマホがカバンの中で鳴り出した。


「海織ごめん。ちょっと待って電話だ」

「うん。あーあれかな??白塚君かな?沙夜ちゃんかな?」

「どっちかの可能性は高……くないか、ってえっ?」

「うん?」


俺のスマホの画面には難波先輩からの着信を告げる文字が――。


「難波先輩から」


俺がつぶやくと隣で海織もなんだろうね?というか顔をしていた。ってまず出ないとだな。


「……もしもし。加茂です」

「おー、加茂元気か!」

「あ、はい。急にどうしたんですか」

「いやなー、ちょっと加茂には言っておこうってな」

「はい?」

「実はな俺んところの妹。前にちょっと話したっけなー。まあいい。とりあえずチビ助がよ。大学合格してたんだと」

「えっと――妹さんが?大学?合格?」


と、俺が口に出したから隣でこちらを見ていた海織が反応して「もしかして難波先輩の妹さんも私たちと同じ大学になったの?」と、聞いて来たが。電話の向こうで難波先輩がすでに次の事を話し出していたので海織の方には反応できず……ちょっと待とうか。という視線だけ送っておいた。


「そうよ。でな。なんかもうこっちに来る準備OKとか言っててよー。川島の駅近くにアパート借りる?とか言っててな。確か加茂そのあたりに住んでただろ?」

「えっ、あ、はい住んでますけど……」

「だからよ。もしなんかあったらよ。頼むわってことで連絡したんだよ。はっきりは知らんが。下見?に行くやら言っていたとか親父から聞いたんだが。俺には連絡来てなくてな。がははー。まあもしどっかで見たらよろしくってことで連絡したんだよ」

「あ、はい。それはもちろんですが……俺難波先輩の妹知りませんが――」

「おう?そうだったか」


うん。なんかいきなり新しい情報がたくさん。とか俺が思っている時だった。


「……あれー!?えっ。先輩だ!」

「「—―えっ」」


俺と海織は突然響いた声の方を見たのだった。そしてそこに立っていたのは――。

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