第334話 とあるパシリ側のお話4 ~移動方法はたくさん~

「楓君楓君。白塚君もう名古屋駅出ちゃったって。えっと、電車の時間は14時25分の特急だって」


俺が先ほ土間で書いていたメモを見ていると海織がそんなことを言いだした。


「予想通りに動いてくれる柊か。ちょうどいい写真を斎宮さんが送ってくれたから……これも使えるかな?」


俺がそんなこと言うと海織が覗いてきて――。


「おお。いいねー。じゃ沙夜ちゃんに連絡しないとね」

「了解です。えっと……25分で特急は……名鉄だから」


俺はスマホを操作して……斎宮さんへと連絡する。


「斎宮さん。今の写真を柊に送って。あー、いまここ!みたいな感じで。そしてその後多分近くにJRの改札があると思うからそこから岐阜方面のホーム行って」


ちょっと迷うかもしれないけどまだ時間はそこそこあるから行けるはず。と信じて俺はメッセージを送った。


それから少し俺と海織は待機。連続でメッセージを送ってもなのでね。

そして数分してから……。


「14時30分発の米原行きって電車乗れる?」


と、メッセージを送ってみる。


「沙夜ちゃんから返事あった?」


海織が再度隣から俺のスマホをのぞき込んできた。


「まだ返事はなし。もしかして迷ってると……乗れないかもだけど……まあ乗れなかったら。帰ってきてもらおう」

「そうなるかなー」


と海織と話していると。斎宮さんからお返事が……言葉ではなく。画像が来ていた。画像とは――。


14時30分発の米原行きの快速電車と表示されている電光掲示板だった。


「斎宮さん。たどり着いてるよ」

「沙夜ちゃん凄い」


それを確認してから俺は再度メッセージを作った。この電車に乗れたということは。まあほぼ確実に。ちょっと斎宮さんには頑張ってもらうことになるけど……こっちの方が先回りできるのでね。


「さすが斎宮さん」


と、先に送ってから――。


「斎宮さん。JR岐阜駅から名鉄の岐阜駅行き方わかる?」


を送るとわかるとの返事があったため……俺は再度メッセージを作って……。


「今斎宮さんの乗っている電車。14時49分に岐阜駅に着くからそこから14時54分までに名鉄の岐阜駅の改札前に行くと柊会えると思う。会えなかったら……ごめん。ちなみに地図アプリで見ると……小走りくらいで行くのがベストかも」


その後は……もう向こうしかわからないので俺と海織のすることは終了した。


「どうなるかな?」

「さあ?柊がイレギュラーなことしてると……だけどね。途中で降りてみたり……もしかしたら……名古屋に戻る……はないと思うんだけど。柊ならそのまま逃げれたー。みたいになるかと」

「あー、確かに白塚君なら。戻るの面倒って思いそうだね」


とか海織と話しながら斎宮さんの返事を待った。


――――。


これは斎宮さんを見送った後の事。


俺と海織はまずすることが無いというか。どうやって柊の場所を聞いて斎宮さんをそこに誘導するか。を考えていたのだが……わからん。ということで、先に予想をすることにした。


「じゃあ楓くんは白塚君がすぐに帰ると思うの?」

「うん。なんとなくだけどね。海織が何回かメッセージ送ってるから。向こうも変な感じはしてるだろうし。こういう時はとっとと帰った方がいいって思うんじゃないかなって」

「そうかな?」

「まあわかんないけどね。でも――もし柊が名鉄に乗った。って言ったら」

「言ったら?」

「岐阜駅で会う確率が上がるかも」

「どういうこと?」


海織に聞かれたので俺は先ほどからスマホとパソコンで見ていた名鉄とJRの時刻表を海織にも見せる。


「えっと……楓君。どういうこと?」

「あっ、いやね。もし柊が名鉄の何時の電車に乗った。とかがわかれば――JRで追いかければ岐阜駅に先回りできる電車がいくつかあってね」

「あっ。ホントだ。この電車名鉄より後に発車なのに岐阜駅には5分くらい先に着いてる」

「そういう事。だから斎宮さんが知っていればだけど……まあ上手に行けば――面白いことが。かな?」

「おお。これは楽しそうだね。楓君。何本か予想作っておこうよ」


と、いうことで俺と海織は斎宮さんが名古屋行きの急行に乗っている間にスマホとパソコンでいろいろ調べてまして……メモ。まあ柊がJRで帰るということもあったので……賭けと言えば賭けか。


「ってことは白塚君がこの例えば14時台の電車とかに乗ったがわかれば」

「そういう事」

「よし。聞いちゃおう!」


としばらくして俺が何本か方法?追いつけるルート?を出すと……まあその後は海織がどんどん柊に質問で――。

結局14時25分の電車に乗るという事を突き止めましてね。さらに斎宮さんがまた奇跡的に。偶然いい写真を送ってきてくれたこともあり。


俺と海織がまあもしかしたら――奇跡的な事が起これば成功するかもと思っていた計画が……びっくりするくらい上手に言ってしまったという事です。はい。


――。


俺と海織は特にすることなく。

斎宮さんからの連絡を待っていた。というか。いつの間にか部屋が散らかっていたので……いや名鉄とJRの時刻表見つついろいろメモしていたのでね。柊がどの時間の電車に乗ったらこれ。とかJRだった場合は……まあ諦めるか。ホームに突撃してもらうとか。なんかいろいろ書いてあるメモが散乱してましてね。それを片付けたりしていると――。


♪♪


斎宮さんから連絡が着て――。


「捕まえた!」


柊の画像とメッセージが届いた。

いやいやまさかかなり奇跡的な要因が居るような計画だったのに……捕まるとは。柊もこちらの思うように動いてくれてありがとうと。あとで送っておくか。

とか思いつつ俺はスマホを海織にも見せた。


「やったね」


と何故か海織とハイタッチなんかしてたりもする。うん。珍しいことした気がする。

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