第336話 後輩ちゃん襲来? ~これは偶然?~

「だからよ。もしなんかあったらよ。頼むわってことで連絡したんだよ。はっきりは知らんが。下見?に行くやら言っていたとか親父から聞いたんだが。俺には連絡来てなくてな。がははー。まあもしどっかで見たらよろしくってことで連絡したんだよ」

「あ、はい。それはもちろんですが……俺難波先輩の妹知りませんが――」

「おう?そうだったか」


俺は現在自分の家の前で難波先輩と電話で話している。

いや、海織とね。買い物に行こうとしたら難波先輩から電話がありましてね。家のドアのところで現在会話中です。室内に戻っても良かったんだけど……なんとなく外で話しています。


そして難波先輩からの電話。簡単にまとめると――。

妹さんが俺たちと同じ大学に合格していたと。で、近々川島駅近くのアパートに下見に来ると。まあでも関係はないかもしれないが。もし近くだったら何かあったらあったらよろしく。ということで難波先輩は俺に連絡してきたみたいなのだが――。


ホントその時だった。


「……あれ!?えっ。先輩だ!」

「「—―えっ?」」


俺と海織は声の方を見たのだった。

そしてそこに立っていたのは……。


腰まである長いサラサラな髪を揺らしながら……こちらに手を振っている背丈小さな……中学生?高校生—―じゃなくて。さすがに3回目だ。俺の頭の記憶に残っていた。オープンキャンパスで会って、餅つき大会でもあった女の子が俺たちの方へと歩いてきていた。


「えっ、餅つきの時の」

「おー、先輩ちゃんと覚えててくれましたかー!ってそういえば私たち自己紹介全くしてませんよね。って……あっ。もしかしてお電話中?」


俺と海織の前にやって来た小さな女の子?っていうのは失礼か。っか言い方はいいか。いろいろ俺は忘れているというか。まず難波先輩と電話していることを忘れかけていたので……。


「あっ、すみません難波先輩。ちょっと知り合いが急にでして」

「おうおう、問題ねー。問題ねー。でな妹っていうのはな。見た目が……」


と、電話口から難波先輩の声が聞こえてくると同時に――。


「……難波先輩—―?えっ?もしかして―――もしかする?」


と。俺と海織の前にやって来た女の子の方が何故か……難波先輩という言葉にとっても反応していた。


が、電話の向こうの難波先輩にはこちらの状況は伝わっていないので――話が進んでいた。


「俺んとこの妹はな。まず髪が長いからそれで目立ってると思うぞ。腰あたりまであるからな。あー、まあ最近切っていたら知らんがな」


難波先輩が笑いながらそんな話をしている。うん。長い髪。と俺はそこで難波先輩に……。


「あのもしかして――背丈は……低めで……正月の餅つき大会の時に遊びに来ていたりしますか?」

「おう?加茂に言ったっけか?妹が餅つきに来ていたこと。まあそんな昔の事は忙しかったから忘れちまったがなー。がははー。っか背がチビってよくわかったな。ってあれかチビ助って俺が言ったからか。がははー」

「えっと……多分なんですが――目の前に妹さん居るんですけど」

「がは――?」


俺がそんなことを言うと……さすがに難波先輩もフリーズかと思っていたら。俺と海織の前に居た女の子が……。


「えっ、もしかしてってかもしかしなくても、今お兄ちゃんと話してるんですか!?」


と、言ったのが……偶然?奇跡的に難波先輩に届いたのか――。


「おい、加茂今チビ助の声が聞こえた気がするんだが……」


世間は狭いというのはこういう時に使うのだろうか……。

結局それからは――。

状況がわからず会話に入って来れてなかった海織が――。


「立ち話もだから……部屋入ってもらったら?楓君」


と言う提案をしてくれたので。俺と海織。そして……まだ自己紹介をしていないので確定ではないが……まあほぼ確定で難波先輩の妹さんだが……その3人で俺の部屋へと戻った。そして今は海織が飲み物を出してくれて――って俺の部屋だが海織の方が全ての行動が早いという。


ちなみに難波先輩は――。


「がははー。これは面白い。まあちょっとこっちも次の用があるからな。またこっちはこっちで聞いとくよ。がははー。とりあえず加茂。チビ助を頼んだ、じゃ」


とか言い電話は先ほど終了しました。はい。


そして……。


「へー、先輩の部屋にまさか入ることになるとは……って、自己紹介ですね。2回もあってるのに自己紹介してないとかダメですよねー私」

「いや、こっちも忘れていたから」

「ということで、私は難波なんば奈々ななです。一応4月から先輩と同じ大学になりました!あっまだ卒業してないので高3です。JKです」

「あ、うん。本当に難波先輩の……って俺は加茂楓。大学3年で次大学4年になる予定か。まだ発表ないから」

「あー。やっぱりお兄ちゃんが話していた人だったんですね」

「……どこかで俺の情報漏れていたか」

「餅つき大会の時にですね。ちらっと聞きました」

「なるほど」

「で、加茂先輩」

「うん?」

「お隣の美女さんは彼女さんですか?」


と。難波先輩の妹の視線が俺の隣の方へと――。


「えっ――あー、うん。まあ住み着いている……」


と、俺が言いだすと。


「彼女の宮町海織です。楓君と同じ大学で同級生だよ」


と、しっかりご挨拶してましたが……何だろうな。なんか……雰囲気おかしくない?これ大丈夫かな?


「おお。一緒に住んでるんですか?」

「いや、まあよく居るみたいな」

「そうなんですね。あっちなみに私3月になったらかな?高校卒業したらすぐこのアパートの2階に引っ越してきます」

「「—―えっ!?」」

「はい。今日は下見に来たんですよ。でもちょっと迷っちゃって――来るのが予定より遅くなったんですが。遅くなったからまさか加茂先輩とまた会えるとは。って……お兄ちゃんは余計だったかなー」


すると海織が――。


「えっと……七菜ちゃん?」

「はい?なんですか?宮町先輩」

「えっと……このアパートに?」

「そうです。大学決まってなるべく早くアパートは探した方がいいかなー。で。探していたら。このアパートに空きがあるの知りまして。大学に近すぎず遠すぎずいい距離かなー。で」

「そうなんだ。これはこれは楓君。あとで説明が居るかな?」

「えっ?」

「おっ?これは――修羅場ですか?」

「えっ?」


何だろう……意外というのか。はじめてなのにすでに俺の部屋に馴染んでいる難波先輩の妹さん。そして……なんでこの子の事知ってるのかな?的な海織の――楽しそうな?視線。うん。これめっちゃ面倒なことに――なる。とか思っている俺……なんか自分の部屋なのに小さくなっている気がします。はい。

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