第312話 そうだ旅行へ行こう!13 ~女湯~

「この子……スタイルいいんだよねー。ホントいいねー。何をどうしたらこんないい身体になるの?」


私は横に居る美少女を観察する。うん。いい身体。無駄がない。うん。


「……沙夜ちゃん近いよ。近い」

「あらあら。ごめんごめん」


ちょっと近寄りすぎたかな?でも今私の前に居る海織ちゃん……ホントスタイルいいんだよねー。隣に居る私……ダメじゃん。すべてがいい感じという海織ちゃん。羨ましい……。


はい。現在私と海織ちゃんはホテルの大浴場の脱衣所にいます。

他の人は何人かいるみたいだけど……うん。おばちゃんたちだねー。グループかな?でもなんかもうすぐ出てきそうな感じ。とか思いつつ私も服を脱いで……。


――――。


ってこれを細かくいうとか私馬鹿だよねー。なんで恥ずかしいことしてるんだろう。あっそうか。隣の子の実況中継すればいいか。


とか私が思っていたら出入口の方から声が聞こえてきて……おばちゃんたちがお風呂から脱衣所に戻ってきました。ってことは……私たち貸しきりじゃん。早く行かないと。


ということでまず隣で素っ裸になっている……。


「……あれ?」


――私が横を見ると……さっきまで居たはずの海織ちゃんの姿が――ない。あれ?と私が思っていると……。


「あっ」


なんと。いつの間にかバスタオル巻いて中に入って行っている海織ちゃんが……あの子いつの間に脱いだ……さっきまだ上着しか脱いでなかったじゃん!って私まだ脱いでない!ってなんで結局自分の実況中継することに……もう。


バタバタと私もお風呂の方へと移動する。もちろん詳細はカット。


私が中に入ると――おお、もわっとしてる。

でもいい感じ。うん。外の景色とかは見えないけど。和の感じがあっていいじゃん。とか思っていたら……。


「沙夜ちゃん遅かったねー」


すでに身体を洗っていた海織ちゃんがこちらに話しかけてきた。悔しいことにどのカットを使っても絵になるという……誰か絵掛ける人居ないかな?写真でもいいよー。今ここにいい被写体が居ますよ?とか思いつつ。


「ってかさ。海織ちゃんいつ入ってったの?全く気が付かなかったんだけど。音なく消えたよね?」

「うん?なんかね。沙夜ちゃんが私の着替え中?の実況中継はじめそうな気配があったからね。パパっとね」

「……鋭いよ。この子鋭いよー」

「あっ。ホントだったんだ。危ない危ない」

「……」


うん。さすが海織ちゃん。バレていた。というか勘づかれていた。ってかホント触りたくなる肌だよ。うん。海織ちゃんの肌綺麗なんだよねー。


「海織ちゃん。今の姿の実況中継したら絶対売れると思うんだよねー」

「勝手に売らないでよ」

「えへへー」

「それに沙夜ちゃんもスタイル良いじゃん」

「えー。チビですけどー」


私は言いながら海織ちゃんの横に座る。

おお、なんかお高そうなボディソープとかシャンプーあるじゃんと見ていると……。


――ツンツン。


「きゃ――!?」


なんかいきなり横から突っ突かれた!


「海織ちゃん……何してるの?」

「えっ?いや、沙夜ちゃんの肌も綺麗だなー。って」

「海織ちゃんの方が綺麗でしょ」

「えー」


私も仕返しで海織ちゃんの腕あたりを……。


――むにっ。


「……負けたー」


うん。最高の手触り。私にはない。程よくというか。めっちゃいい感じ。うんうん。泣く。


「えっと――なんで私つままれてるの……?」

「この肌勝てない……めっちゃ……いい」

「沙夜ちゃんがおかしくなった?」

「やっぱ実況中継して海織ちゃんを辱めないと」

「えっとー、じゃあ今の沙夜ちゃんはー」

「ちょちょ、なんで私の事言おうとしてるの」

「にひひー」


とまあ――しばらくなんやかんやと海織ちゃんと言いつつ。

身体を洗ったりして……なんか洗われた気もするけど……それを話すとなんか恥ずかしいから。カット!


で、その後は……。


チャポンーー。


「さいこー」

「気持ちいいねー」


海織ちゃんと2人でお湯の中ー。

めっちゃ気持ちいいー。


少し前に他のお客さんも来たからワイワイ騒ぐことはできないけど……うん。さいこー。


「今日歩いたからか。めっちゃ気持ちいいー」

「だね。結構歩いたよね。特に嵐山でくるくる回ってたよね。楽しかったけど」

「だねー。あっ、そうだ部屋帰ったら阿闍梨餅食べよーっと」

「あっ、そういえば楓君がずっと持ってたね」

「そういえばずっと持っててくれたなー。ってか買ってもらっちゃったー」

「楓君。優しいからね」

「海織ちゃんは良いなー、あんないい彼氏いて」

「沙夜ちゃんもじゃん」

「あれは……まあ居たら便利だけどー」

「ふふっ」

「あっ!ってかまだ蹴ってない」


うん、思い出した。あとで蹴ろう。柊を蹴ろう。うん。記憶よし。


「あっ、そういえば沙夜ちゃん」

「うん?」

「明日どうしようか?」

「あー、結局候補が多くて決まってないんだよねー」

「だね。1日目だけはとりあえず決めて楓君にルートお願いしたけど……」

「なんやかんやで前日の夜の気分で決めよっか。って言って止まってるよね」

「うんうん。まあ今日が結構歩くかなー。の予想だったからね」

「でも今のこの感じなら明日もまだまだ歩けるかな」

「私も余裕かな?」

「とりあえず部屋に戻ってからみんなで決めたらいいかな?柊は清水寺ー。とかしか言わないかもだけどね」

「楓君は……どうだろう。どこ行っても付いてきてくれそうだけど」

「だね。ホント楓くんもいい子ー」


私と海織ちゃんはのぼせるギリギリまでお湯の中でくつろいでいましたとさー。

うん、あっつい。

でも気持ちよかったー。


はい。着替えシーンはカット!

次はもう部屋だよー。にひひー。

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