第306話 そうだ旅行へ行こう!7 ~近鉄四日市駅06時31分~
近鉄四日市駅06時31分発の近鉄名古屋行きの急行は2分遅れていた。
というか。ここ近鉄四日市駅で多くの人が乗り降りをしたからかもしれない。
俺達4人が車内へと入り。反対側のドア付近に押し付けられた時に伊勢志摩、大阪方面のホームにある時計が見えたのだが。すでに時計は33分を指していた。まあ数分は遅れるよな。これだけの人が乗り降りしてると結構時間かかるし。
「楓君ちょっと入れて」
そんなことを思っていると隣に居た海織が上手に隙間を抜けて俺とドアの間にやって来た。
「ふー、これでよし」
「……よし。なのかな?」
「うん。沙夜ちゃん大丈夫?」
「う。うん。潰れた」
そう言いながら海織の後ろから斎宮さんも俺の前にやって来た――ってあれ?
「あの斎宮さん。柊は?」
「入り口で潰れてる」
「うん?」
と、ギュウギュウの車内でちょっと後ろを振り向くと……ちょうど車掌さんが笛を……連続で吹いていて……ドアを閉め……たと思ったら。また開いて……笛が再度鳴り。次こそドアが閉まった。ってそのドア付近で柊と思われる影があった。なるほど動けなかったか。
「私スリムだから」
と、また向きを変えると斎宮さんがそんなことを俺の前で言っていた。
どうやら人が多いので、斎宮さんと柊と距離がいつの間にか出来ていて。俺と海織は人の波にそのまま乗り反対側のドアへとやって来たが。2人は開いているドアのところから動けなかったらしいが。斎宮さんだけ人の間をぬってこちら側へとやって来た様子。
「じゃ30分くらい楓君に守ってもらわないとだね」
「だねー」
とか前で話しているが……うん。なんで2人もこのギュウギュウから守らないとなのか……ってホントしっかり立ってないとブレーキやらでこけそうになる。持つとこ。手すり手すり。っと。
俺がそんなことを思っていると電車は近鉄四日市駅を発車。再度反対側ホームの時間を見てみると……06時34分を指していた。ちょっと遅れてますね。まあとりあえず06時31分発の名古屋行き急行。近鉄四日市駅を発車した。
それから俺の前では女の子2人がスマホを見つつ。この後の散策ルートの再確認をしたりしていた。
ちなみに――その後近鉄富田駅でまた人が乗ってきて……潰れる。そして走る。桑名駅、近鉄弥富駅でも人がもちろん乗ってきて……うん。近鉄蟹江駅に着く頃には全く身動きが取れなかった。
「凄い人」
「人に酔うね」
「ほんとー。早く着かないかなー」
と、俺の前ではまだ空間があるからか。ちょっと余裕な感じの2人が話していた。そして電車は近鉄蟹江駅へ到着した。する隣に近鉄名古屋行きの普通電車がいたためか少し人が動いた。なので――。
「やっと動けたー」
柊がこちらへとやって来た。
「おつかれ」
「マジで動けなかったし。沙夜はなんか抜けてったが」
「でしょ。スリムだからね」
「チビだからだろ?」
「……楓くんちょっとスペース作れる?」
「だから。車内で暴れないように。暴れるなら……周りに人が居ないところで」
「じゃ、ホテルで暴れよっと」
「……」
うん。出来れば平和に生きたいのだが……そのうち柊は蹴られると見た。うん。
柊が俺たちのところに寄ってきてからまた車内はすぐにギュウギュウになり。電車は次の近鉄名古屋駅へ向かい走り出す。
「次もう名古屋だよね?」
斎宮さんが俺に聞いて来た。
「そう。で、ちょっとなんかコンビニとかで買って……新幹線乗れたらいいかな」
「じゃあ私と沙夜ちゃんで食べ物買ってくるよ。楓君は白塚君と切符担当」
「でもいいけど。大丈夫?」
「うん。大丈夫大丈夫」
とか海織とこの後の事を話して――。
それから俺たちの乗っていた急行は07時14分着予定だったが。3分遅れで名古屋駅へと到着した。
うん。3分しか遅れてないんだが……車掌さんがちゃんと謝るんだよね。うん。他の路線。鉄道に乗る人はこの3分大きんだよな……ってこれだけ混んでるとね。うん。大変だよホント。定刻通り走るって。とか思っていると俺たちが居たところとは反対側のドアが開いて……一気に人が外へと吐き出されていた。
「ふー。苦しかった」
そんなことを斎宮さんが言いながら俺の隣を歩いている。そして後ろに海織と柊が居る。なんか降りた時の流れでこんな組み合わせに。
それから俺たちは先ほど話していた通りに行動した。
新幹線乗り場へは連絡通路があるのでそこで切符を俺と柊が買っている間に海織と斎宮さんがパンと飲み物を買いに行ってくれて――。
俺と柊の方が先に切符購入を終え。海織と斎宮さんを待った。
少しして2人が食べ物などを持ってやってきた。
「お待たせー」
「人は居なかったんだけど地味に時間かかったー」
とか言いながら戻って来た2人と再合流。そして俺達は新幹線の乗り場へと向かった。
「こっちも人多いね」
「まあ時間が時間だからね」
海織と話していると前から。
「早く座りたい」
「だねー」
と、言う斎宮さんの声がありそれに海織が答えていた。
柊は……早々と飲み物を飲みつつ歩いていた。まあ周りにお気を付けください。だな。
そして俺たちは4人は無地新幹線ホームへとやって来た。
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