第305話 そうだ旅行へ行こう!6 ~通勤時間はギュウギュウ~
満員でおしくらまんじゅう状態でも電車は走る。うん。普通に走っています。
「潰れるー。柊狭い。もっと横行ってよ」
「いやいや沙夜押すな。俺が潰れる」
「かわいいかわいい彼女がつぶれるでしょうか。楓くん見てみなよ。上手に海織ちゃん支えてるんじゃん」
「いやいや、これは海織が上手に絡んできてるんです。俺は普通に立っているだけ」
「えー、楓君が支えてくれてるよ?」
現在中川原駅。近鉄四日市駅の1つ手前の駅を出発したところなのだが……うん。車内は伊勢川島駅を出たとき以上にギュウギュウとなった。
そして中川原では俺たちが居た方とは反対のドアが開いたため……そちらからの圧よ。圧。どんどん押されて――まあ俺たちは潰されていた。
そんな中。海織は上手に手すりと俺を使い空間を作り平和そうに居る。うん。なんか俺の胸あたりを突っついたりして遊んでいる?のだがそれはやめてほしい。地味にくすぐったい。まあ言ったところでやめるお方ではないが……。
で、隣では……まあ同じようなことが起きている。
斎宮さんが柊とドアにサンドイッチされている状態。柊と斎宮さんのところは後ろがドアのため柊が全面的に斎宮さんが潰れないように?していると思われるのだが……うん。多分してるはず。
「ってか混みすぎ」
「まあこの時間は仕方ないかと。でももうすぐ四日市に着くから」
「もう、柊。そんなにくっつくなー」
「ちょ、つまむな。ってか痛いし」
「車内で騒がないように」
「ふふっ。楓君その言葉好きだよね」
俺が2人に言うと俺の身体を突っついていたお方がそんなことを言ってきた。
「いや、隣で何か起こっているのでね。周りの迷惑にならないようにというか。まあそんな感じで」
うん。確かに柊と斎宮さんが居ると俺はう今の言葉よく言っているような気がした。この2人よく揉めますからね。
とまあそんな感じで潰されていたのだが。中川原駅から近鉄四日市までは2,3分なので……すでに車内では乗り換え案内の放送が始まっている。ちなみにこの後の予定は俺たちは伊勢志摩。大阪方面……ではなく今日は名古屋方面の電車に乗り換える予定なのだが……この人だとホームに移動するのも大変そうだ。まあ6分ほど乗り換えに時間があるので大丈夫だと思うが……と、俺が思っていると電車のスピードが落ちた。
「もうすぐ着くね。次は急行だよね」
「そう。名古屋行きの」
海織に声をかけられて俺が返事をする。すると柊が――。
「ってか、新幹線になんでなったんだ?」
「それは……」
と、俺が言いながら斎宮さんを見ると――。
「もちろん柊のお金だから!」
うん、良い笑顔でお答えになりました。
「……楓」
「—―うん?」
「ちなみに……近鉄で京都まで行った場合と新幹線で行った場合の金額の差は?」
「えっと……うーん」
うん。わからん。である。いやそもそも京都とかあまり行かないし。新幹線なんてほとんど使わないからね。うん。
「でも――まあ近鉄で行く方が安いかな?」
「っか新幹線の切符は取ってないんだよな?」
「まあ。まだだけど……」
「なら今からでも安い方で」
「えー、早く京都まで行きたいしー。せっかく早起きしたんだから」
と、柊が言うとすぐに斎宮さんが口を挟んできた。
「でも四日市から特急乗ればそこで朝飯食えるよな?新幹線で食うとか言ってたけど。なあ楓」
「まあそりゃ急行だとこの時間は混んでるから無理だろうけど……って……時間を調べないとだけど。この時間はあまりいい乗り換えはないかと。中川や大和八木で結構待つかもしれないから。着くのが遅くなるかと」
「ほらほら柊。事前に決めた通り進む進む。そして素直にお金を出す」
「くー。俺の味方が居ない」
「ははは……」
そんなやりとりをしていると電車は近鉄四日市駅に到着した。
「楓君楓君」
「うん?」
「ドア反対だよ」
「えっ?あっそうか」
そこで俺は向きを変えた。うん、何となく海織の方を見ていたのだが。こちら側のドアは開かないみたいなのでね。
「そんなに私見ても何もないよ?ニヤニヤー」
「朝からお元気で」
「ちょっと目を離すと。いちゃつく楓くんと海織ちゃんだねー」
海織にそんなことを言われていると隣から斎宮さんの声も聞こえてきたが……うん。2人の相手を今からしていると2日間持たないのでね。俺は前の人が進みだすと順番に降りていった。ちなみに服が引っ張られている感じがあるので……海織が離れないように掴んでいる様子。
ホームに出ると小走りで階段の方へと向かう人が何人もいた。あれにのまれると……危険である。うん。
「凄い人だな」
「まあ朝だからな。通勤時間」
「だよなー。学生最高ー」
「ってか柊、のんびりしていると乗り換えできないかと」
俺達4人は後ろの方で人の波に乗り。そのまま名古屋方面のホームの最後尾の車両停車位置へと向かった。多分だが――先頭よりはマシかな?という感じで。
この先の名古屋では前の方が改札や新幹線とかJR。名鉄とかの乗り換えに近いのでね。急ぐ人は多分前の方に乗るかと思い。でもまあ、蟹江駅とか後ろが改札に近い駅もあるので……また車内はギュウギュウになるだろうな。ということも思っていたんだが……。
ちなみに先に行っておくとそれはあたりだった。うん。
俺達4人は人の波に乗り湯の山線のホームから名古屋線のホームへとやって来た。ここもすごい人である。ちなみ急行の後に特急もあるのだが……まあ新幹線にこの後に乗るから……さすがに特急料金をここで出す必要はないかな。ということで名古屋までは急行となった。
ってか6分の余裕があったはずなのだが。人が多かったため俺達4人が名古屋方面のホームに来た時にはすでにアナウンス。放送が始まっていて。電車も見えていた。
そして急行が駅に入って来ると――。
「うわぁ……この電車もすごい人だな」
という柊の声が隣から聞こえた。
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