第300話 そうだ旅行へ行こう! ~伊勢川島駅14時51分—―遅延中~

学年末試験も終わり……さてまあいろいろある3年次の春休みが始まる。

今の俺は家に1人で居る。特に予定なし。と言ってもいいか。なのでいろいろ片付けをしたりしつつ。大学の後期で使った資料やらが部屋の一部に積まれていたのでね。そしてまあどこかでは1回実家帰って……とかこの休みの予定を考えていたら……。


それは突然やって来た。まあ予想してないことはこうやって突然くるものか。


♪♪~


部屋の隅っこで充電中の俺のスマホが鳴っている。

鳴り続けているのでメッセージではなく。電話という事なので俺はスマホのところへと向かいスマホを手に取り。充電を一時終了。画面を確認してみると――。


「斎宮さんからか。珍しい」


突然の斎宮さんからの電話。試験最終日に会ってからは会ってないし。連絡もしていなかったので……少し久しぶりという事か。まあこの家に来ていた海織が電話で話している姿は見た気がするが……とりあえず何だろうか。と思いつつ電話に出てみると……。


「楓くん!!」


いつも通りの元気な声が聞こえてきた。ホント元気だ。休みに入ってさらに元気になったか。とか思いつつ。


「……今日もお元気なことで」

「ねえねえ。めっちゃ急だけど!また京都行こうよ!」

「—―はい?」


先ほども言ったが。今日は海織が自分の家に帰っているため1人で部屋に居た俺。

うん。誰か説明が欲しいかな?と、周りを見たところでまあ答えてくれる人は居ない。何がどうなっているのかな?とか思っていると。


「ってことで楓くん!今から海織ちゃんの家に集合ねー」

「えっ、ちょ」

「じゃ!」


斎宮さんはこちらの予定も聞かずに――電話終了。強制終了ってやつですね。

まあ……特に予定なし。だったから行くのは問題ないのだが……って海織の家と言ったから……もしかしてすでに斎宮さんは海織の家に居るのか。で……海織なら俺の予定把握してそうだし……それで電話してきた。うん。その可能性はありそうだ。


まあいろいろ思うことはあったが。俺は貴重品などだけ持って伊勢川島駅へと向かうこととした。お片付け中断である。


現在の時刻は14時40分過ぎ。2月に入ったが。今年は寒い日が多く。まだ寒い。おまけに今日は何かどんよりとした空なので……日差しがないためさらに寒く感じる。風も冷たいし。


「……ってか急に何だろう」


と、俺は思いつつ伊勢川島駅へと到着。そして伊勢川島駅14時51分発の近鉄四日市行きの普通電車に乗ろうとしていたのだが……。


「—―珍しいな」


現在駅にはアナウンスが流れている。伊勢川島駅は無人駅のため。駅員さんが話している。というわけではないと思うので――多分近鉄四日市駅の人が話している?もしかしたら湯の山温泉駅の駅員さんかもしれないが。まあ多分どこかの駅の人。職員の人が今話していると思われる。

簡単に言うと。線路の安全確認をしたため現在5分から10分。電車が遅れているとの事。


まあ急いでいるわけでもないし。斎宮さんに呼ばれたが。何時までに。海織の家とかは言われていないので問題はないだろうと。俺は駅のベンチに座り。電車が来るのを待った。


それから電車は7分ほど遅れてやって来た。


車内は空いていた。俺は空いていた席に座り。一応スマホを取り出して……あれ?こういう場合どっちに連絡すればいいんだ?


スマホを持ったまま考えることとなった。


斎宮さんから電話をもらったのだが……今から行く家は海織の家。うーん。でもまあ……斎宮さんに呼ばれたんだし。もしかしたら斎宮さんが何か考えていて海織には……というのもあるので俺はとりあえず斎宮さんに今電車に乗ったことを伝えておいた。


ちなみにすぐに返事があり。スタンプでOK!と来たので――時間的には大丈夫らしい。


連絡の終えた俺はスマホをしまって外を見る。うん、いつも通りの車窓。ちょっと曇っているから……気分的になんかこの後が心配なのだが……まあうん。大丈夫だろう。


ちなみに電車が少し遅れていたからか。普段なら四日市までこの電車が先行して走っていく時間だったかと思ったが。近鉄四日市駅の1つ前の中川原駅で四日市からの湯の山温泉へと行く電車とすれ違った。まあ遅延しているとね。こういう普段見れない光景にも出会える。

でだ。


結局俺の乗った普通電車は近鉄四日市駅には13時04分に到着した。

そのため――。


「あー。1分の電車もう出たか」


定刻通りなら15時01分に近鉄四日市から津新町行きの普通電車があったのだが……俺がホームに行った時にはすでに発車した後だった。

どうやら遅れているのは湯の山線のみで。名古屋線は定刻通り走っているみたいだったので……。


「15分くらい待ちか」


と、俺は次の普通電車の時間を確認して駅構内のコンビニへとぶらりと向かった。

時間つぶしということでちょっと店内を見ていると――。


「—―新商品か」


俺の目に留まったのは。新発売のシールが貼られているケーキ。

まあ普段なら買わない。というか。うん。良い値段していたのでね。でも今日は何故か試験も終わったし。ちょっと……というのとちょうど目の前には2つ並んでいたため……って2つじゃダメなのか。とその時気が付いた俺に拍手。

でも……同じものは3つはなかったため。新発売と書かれていたケーキを2つと後はいつも売っているスイーツを……うん。これ安いけど美味しいんだよ。まあ海織の家にちゃんと本人が居るとかいうのもわかってないが……まあ居るとは思うけどね。斎宮さんが1人で海織の家に居る光景は予想できないのでね。とりあえず俺は斎宮さんは居るのが確定。で、ケーキなら喜んで食べてくれるだろう。と俺は目についたスイーツをそのまま購入。まあお土産だな。


そしてお土産を持って近鉄四日市15時21分発の津新町行きの普通電車へと乗った。そういえば再度ホームに来た時。どんよりしていた雲から太陽がやっと顔をのぞかせていた。


そしてこの時の俺は、先ほどコンビニで何となくかったケーキにより財布が軽くなる。ということを回避するとはこの時まだ知らなかった。うん。

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