第299話 また来ました ~伊勢川島駅08時38分発~

嫌でも通らないといけないことは多々ある。うん。あるね。


試験とかは本当は嫌なんだが……受けないと……なのでね。進級にかかわるので。はい。本日から大学は学年末試験とか言うやつです。


遅刻とか絶対できない為。俺はいつもより早めに起きている。乗る電車も早くしているのでね。

そして朝ごはん中である。


……えっ?海織?あー。今日は居ませんね。さすがに試験前。持ち込み可能教科もあるのでノートとか資料を持ってこないとなのでここ数日は海織もちゃんと自分の家へと帰っています。


まあ俺の勘が当たるとすれば――。

特に話してはないのだがこの後俺が乗る予定の伊勢川島駅08時38分発の電車に海織が居る気がしている。うん。海織だからね。


最近ここ。俺の家にばかり海織が居たからあまりなかったことなのだが……あと3年になって同じ科目もあるけど――1年2年の時ほど朝から同じというのが無いのでね。うん。でもなんか久しぶりにそんなことが起こりそうとか思いつつ朝ごはんを食べていた俺。

そして今日の試験科目の資料、ノートなどを持って出発である。って筆記用具だけは確認しておかないとか。あと学生証。うん。これも大切。再確認再確認。


とまあ準備よし。戸締りよし。ということでいつもより早めに大学へと向かう。


朝の伊勢川島駅までの道を1人で歩く。よくよく考えたらこっちに来てもうすぐ4年とかいうあっという間さ。うん。なんか早かった気がする。そしてあとこの土地に居るのも1年くらいかとか思ったり。まあどうなるかわからないけどね。うん。入学した時もそうだが。予想通りに進むことなんてないのでね。


そんなことを思いつつ駅までやって来ると……やっぱり朝、そこそこ人が多く。高校生も結構ホームには居た。まあこの時間はいつも通りか。


とか思いつつ空いているところでスマホをいじりつつ電車待つ俺。


少しして――。


いつものように踏切の音が聞こえてきて電車が駅へと入って来た。うん。先頭車両はそこそこの乗車率……他の車両も――まあ立ち席確定とかいうやつである。


ちなみに俺は最後尾の車両が止まるところに居たのだが……電車が止まりドアが開くと――。


「おはよー。楓君」


美少女さん笑顔でお出迎え。とか言ったら喜んでくれるかな?とか思いつつ。


「……さすが」

「うん?なになに?」

「いや、なんでもない」

「うん?おかしな楓君。あー、なるほど私が居なくて寂しかった的な?」

「海織は今日も元気なことで」


ほらさきほどの予想通り。当たりだな。

電車が伊勢川島駅へとやってきて。俺が近くのドアのところでドアが開くの待っていて……ドアが開いて電車に乗ると……ちゃんと海織が立っていた。


どうやって俺が乗る列車を確認しているというか……うん。なんて言うんだろう。的確に当ててくるのだろうか。もうびっくりであるが……さすがにね。慣れてきた感はある。うん。海織はいつもこんな感じと。


俺は海織の立っていた横に立つ。

するとドアが閉まる。08時38分伊勢川島駅発車である。


「楓君は試験どんな感じ?って今日何科目?」

「今日は3つ。朝とちょっと飛んで午後」

「そっかー。じゃ、帰りの時間は違うね」

「まあ微妙に受けている科目違うのあったから」

「私は午前中だけ。午後の科目はレポートだったから」

「そういえば少し前に作ってたね」

「うんうん。この前の最後のゼミと近かったから大変だよ」

「まあそれはこっちもだけど。まだ卒論より――レポート作ってる方が楽かな。うん」

「まあそれはそうだけど。レポートも適当なのは出せないし」

「そりゃそうだ」


そうそう、ちなみに数日前無事に3年次最後のゼミが終了している。

まあ4年次もそのままの教室。同じ先生のため……よほどひどくない限り進級する……らしいが。まあうん。

3年次最後もまあ……うん。ホント藤井寺先生らしかったというか。

最後まで真っ赤っかにしてくる凄さよ。


そして、4年次楽しみにしている。という感じで――。


「たくさん本読んでおくんじゃぞ。ほっほっほー。あっ、サボるんやないぞ?提出日はいろいろやっとったらすぐじゃからな。ほっほっほー」


最後にはそんなことを言っていたか。まあでも――あの雰囲気なら大丈夫なのだろうと思っている……まあ柊は知らんが。


「白塚君。この後部屋に来るんじゃ。ほれ」


と、言われていたからな。うんうん。それから斎宮さん曰く遅くに帰って来た感じだったとかあの時は言ってたな。まあ進みが遅かったからか1対1でご指導があったらしい。ある意味それはいい事だと思うんだがね。


本人は――。


「だーーー。しんどかった。睨まれてる感じだったし。ほっほっほーばっか聞いたけど……」


とか言っていたか。

でもあれは進みの悪い柊が問題かと。うんうん。呼ばれたからでサークルに顔出してるからだよ。卒論進んでないのに。であるが……まあ柊は顔が広いというか。うん。俺の知らない接点もたくさんあるだろうからね。うん。忙しいのはわかるが……。

えっ?俺は少ないよ?うん。少ないです。でもまあ……それはそれでいいかと。


とかいろいろ最近の事を思っている間も電車は進んでおり……なんか隣に居る人が楽しそうにこちらを見ていた。


「—―何でしょうか?」

「また楓君が1人ぶつぶつモードだー。ってね」

「何それ」

「なんでしょうねー」


おかしいなー。口には出てないはず。出してないはず。なんだが……うーん。気になるが。わからん。で、その後は海織と話していると……気が付いたら電車は大羽根園駅だった。ということは――。


「あれ?沙夜ちゃんたち乗ってこなかったね?」


と、ここで海織が気が付いた。ちなみにちょうど俺も気が付いたところだった。


「あー、まあいつもより早い電車だし。もしかしたら違う車両かもだけど……」

「確かに結構混んでるもんね。前の方に乗ったのかな?」


現在車内は結構人でいっぱい。学生多めってやつですね。まあ朝のいつも通りの車内ではあるのだが……。

それから柊と斎宮さんを電車内では見ることはなかった。


そして08時59分湯の山温泉駅に到着。そして人の波があったので……海織とちょっと駅で待っていると。


「あっ。海織ちゃんに楓くんいるじゃん!」


と、元気な声が聞こえてきまして……やはり同じ電車の違う車両に2人も居たらしく。湯の山温泉駅で今日は合流しました。


まあそこからは大学に向かい……それぞれ約1週間の学年末試験。うん。学年末試験よ。頑張ったよ。うん。大変な試験だったよ。うん。


――――。


だった。ということは。まあもう試験はすでに終わっている。

試験の事なんて思い出したくないからね。思い出すだけでなんか頭痛が……だから。うんうん。わからんところ出てきたらパニックよ。パニック。とかはあったが……まあ個人的には大丈夫だろうとか思っている。だから試験の事は思い出さない。うん。これ大切。


でだ。試験が終われば春休みなのだが――。

うん。何かを起こしてくれる1本の電話はすぐにあった。

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