第298話 内部線制覇へ9 ~伊勢若松駅19時35分発~

伊勢若松駅で5分前に発車した急行に乗っていた柊を見送った俺達3人は伊勢若松駅19時35分発の普通電車今乗っている。

柊はすでに急行に乗ったので……そろそろ塩浜駅あたりまで行っているだろう。 


「で、楓くん」

「うん?何斎宮さん」

「楓くん的にはどこで追いつくの?」

「えっ?」

「だってさ。さっきどこかで柊に追いつくみたいな感じがしたからねー」

「……鋭いことで」

「にひひー。四日市には。って楓君強調してたからね。そりゃわかるよ」


海織に3度目となる脇腹を突っつかれる俺だった。うん。ちょっと下手だったかな……と思いつつ。


「確かに強調したかも」


と、つぶやいた。

ってか。女の子2人はちゃんとお話を聞いていたというか……まあうん。理解していたようです。俺が考えていたことを。ってやっぱり俺が下手だったんだな。うん。慣れないことはするもんじゃないか。


なので俺はちょっと説明開始。


「まあ確か柊の乗った急行は四日市には確かに早く着くけど……」

「着くけど?」


斎宮さん楽しそうだな。と思いつつ話を続けた。


「まあ四日市で湯の山線がないから。多分この普通で四日市に行っても同じ湯の山線になるから」

「なるほどじゃ、柊を蹴れると」

「だから斎宮さん駅では蹴らないように」

「大丈夫だよ。菰野駅に着いたら蹴るから」

「……まあ……ほどほどに――」

「えー、でもそれだと私だけ四日市で再合流で着ないんだけどー」


と、海織が言う。


「海織は帰ること」

「ぶー」

「またブタになった海織ちゃん。ホントよくなるね」

「って海織。もうすぐ楠駅だけど」

「早っ」

「そりゃまあ若松から楠はすぐだから」


ちょうど長太の大楠があるところ通過して箕田駅を電車は出ましたからね。ってかもう外は暗いからね。大楠は見れてないが。ってそういえば最近は来れてもないか……とか俺が思っている間も電車は進む。。


そして電車は楠駅へと。

そういえば今更だが久しぶりに車掌さんの乗っている電車に乗っている。

生の声ってのも良いよね。うんうん。と俺が思っていると海織は降りる準備。カバンを手に持った。


「じゃ、今日は大人しく帰りまーす。楓君がうるさいからね。でも明日覚悟しててねー」

「……何故に覚悟が居るのか」

「楽しそうじゃん!じゃおやすみ。海織ちゃんまた連絡するねー」

「うん。おやすみ。楓君沙夜ちゃんと2人だからっていじめちゃだめだよ?」

「しないですから」

「「しないの?」」

「……なんで2人そこで声が揃うのか――ってしないから」


と、まあ謎なことが最後にあったが……うん、謎。とりあえず海織はちゃんと楠駅で降りていった。本当は家まで送ってあげてもよかったのだが……海織が近いから大丈夫。と言っていたので俺と斎宮さんはそのまま電車内で海織と別れた。


そして19時43分海織が降りた電車は楠駅を発車した。


「ってことで、私は楓くんにいじめられるの?ニヤニヤ―」


電車が動き始めてすぐ。斎宮さんは……テンション高めだった。うん。


「……斎宮さんが海織に近づく……」

「ほらほらー。少しくらいなら許してあげるよ?海織ちゃんには報告するけどー」

「……もうヤダ……」

「にひひー」


とまあ……斎宮さんと車内で何やかんやと話していると。俺と斎宮さんを乗せた普通電車は19時54分に近鉄四日市駅へ到着した。


そして俺と斎宮さんは湯の山線へと乗り換えのためホームを移動した。


「柊居るかなー」

「いや、徒歩とかで帰らない限り居ると思うんだけど……電車も遅れてないし」

「どこに居るかなー」


と、湯の山線のホームへとやって来ると――。


そこそこ湯の山線は人が乗っていて先頭車両はほぼ立ち席だった。柊が時間通りに四日市に来ていると……多分座れたと思うから……先頭車両に柊が居ると見つけにくいかと。思っていたが……うん。見当たらなかったので2両目へ。って2両目ですぐに発見した。


「居た!」


と、先に斎宮さんが発見し……車内へと乗り込んでいく。

柊はロングシートの隅に座りスマホをポチポチと。まあ1人だからな。そうなるわな。まだこちらには気が付いていない。とか俺が思っていると斎宮さんは柊の前へ……。


そしてすぐに――。


「……はっ?」


と、目の前に居た人物を見て柊はびっくりしていた。


「なんで沙夜が居るんだ?」

「まあ、楓くんがこっちには居るからね。追いつくなんて余裕だよ」

「って楓も居るし。あれ?2人急行乗ってないだろ?」

「だから言ったじゃん。四日市までは早いって」

「……マジかーーー」

「これで柊を蹴れるっと」

「斎宮さんここ車内車内。あとそこそこ混んでるから」

「我慢とかめんどーい」

「何たることか。って急行乗ったのに追いつかれたのかよ」

「まあそういうこともあるかと」

「で、宮町さんは?」

「ちゃんと降りていって四日市着く前に家着いたって連絡来た」

「なるほど」


という事で柊と四日市駅で再合流して……。


近鉄四日市駅19時57分発の湯の山温泉行きの普通電車の発車ベルが鳴った。


ちなみにだが……柊が乗った急行の四日市到着時間は19時43分だったのだが……湯の山線がね。57分の前が38分なので。まあ急行の後に発車した普通に乗った俺と斎宮さんが追い付いたという事。


そして湯の山線発車。

それから柊が斎宮さんに席を取られて――俺の横で立っていた。


「なんで早くから座ってたのにこうなるんだよ」


とかぶつぶつ柊は言っていた。


そして20時07分伊勢川島駅に電車は到着。柊と斎宮さんとは車内で別れて俺は1人で家へと向かった。


ちなみに――この後柊が斎宮さんに蹴られたとかは……まあ知らない。俺は菰野駅まで行っていないのでね。

何かが起こったかもしれないが……俺は知らない。うん。


あー、1つ言えるのは……翌日ちゃんと海織は突撃してきましたとさ。

あのお方も……有言実行というか。まあホント困ったもんです。


ということで、四日市あすなろう鉄道は全路線乗りましたとさ。

うん。乗っただけだが――制覇。

そしておまけというか。今回は乗った後の方が充実していたか。美味しい物食べれたし。うんうん。こういう日もありだね。

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