第301話 そうだ旅行へ行こう!2 ~近鉄四日市駅15時21分発~

近鉄四日市15時21分発の電車に乗って海織の家へと向かっている俺。

うん。太陽がやっと出てきて明るくなってきた。

まあちょっと湯の山線の遅延により。買う予定になかったお菓子。スイーツが入った袋を持っているが……お土産ということで。うん。良いだろう。自分もちょっと甘いもの食べたかったし。


そんなことを俺が思っていると電車は15時34分。

こちらは定刻通り楠駅へと到着した。


そして海織の家へと歩いている時俺はふと。斎宮さんの会話を思い出した。


「……あれ?そういえばなんか海織の家に集合ってのが印象に残って忘れていたけど……京都?とか斎宮さん言ってなかったか?」


うん。言っていた。気がする。と俺はなんか嫌な予感とともに海織の家へとやって来た。


――ピンポン。


インターホンを押すと――。


「いらっしゃーい」

「あ、うん」


斎宮さんも元気だったが。海織も元気にお出迎えをしてくれた。まあ居ますよね。海織の家に斎宮さんしか居なかったらそれはそれで問題だ。


「さあさあ。どうぞー」


と、海織の家へと入ろうとすると……うん?靴が……3つある。1つは海織の物だと思う。俺の家の玄関でよく見た気がするし。うん。そしてもう1つが斎宮さんだろう。で……男物のがあるということは……。


「柊も居るの?」

「うん。少し前に来たよ」

「……これは……どういう集まり?」

「にひひー」


と。海織と話しながら部屋の中に行くと――。


「おー、楓ちょっとぶり」

「あ、うん。試験の時ぶり?」


海織の部屋に居た柊に普通に声をかけられて。


「楓くん遅いよー、電話してからすぐ来ないと」


その横に座っていた電話の主からもちょっと言われまして……。


「いや、ちょっと湯の山線の電車が遅れてまして……」

「でもこれで楓君も来たから決めれるね」

「そうそう、楓。この後泣くかもな」

「はい?」


柊がなんか不吉なことを言ったのだが……何があるのだろうか……。


「さっき沙夜が恐ろしい事言ってたからな」

「……うん?」


なんの事かわからなかったが俺はとりあえず座る……って。


「あっ。そうそう。これごめん3つしかないんだけど……」

「うん?何何?」


俺は柊が居るということを全く予想していなかったため……スイーツを3つしか持ってないのだが。まあとりあえず海織に渡せば……何とかしてくれるか。という事で海織にお菓子の入っているレジ袋を渡す。するとそれに反応した斎宮さんが海織にすぐ飛びついていた。そして俺の方を見て――。


「何何?お菓子?」

「いや、まあ乗り換えに時間があってコンビニ見ていたら……で」

「「あっ!!」

「えっ?」


すると袋の中身を見た女の子2人が……声をあげた。それに俺は驚き。座っていた柊も声の方を見た。


「楓君!」

「えっ?えっ?なんで……しょうか?」

「これどうしたの!?」

「えっ……いや、普通に駅のコンビニで。新発売とか書かれていて……まあ気になったから買ったわけでして……」

「やっばー!まだ残ってたんだ!」


――何だろう。女の子2人のテンションがおかしいような……急にテンションマックス?


「楓、何買ってきたんだ?」

「いや、普通にコンビニにあったケーキ。スイーツだけど……」


柊と話していると。


「楓くん。これ売り切れ続出で今全く買えないって言われてるやつだよ!レア中のレア。激レア品!」


興奮気味の斎宮さんが言う。


「えっ、そうだったの?普通にあったけど……あ最後の2個」

「うわー、私も食べてみたかったんだよねー」

「私も私も。ねえねえ楓くん今食べていい?」

「えっ、いや、まあケーキは2つしかなかったから。1つ違うのが入ってると思うけど……あっ、でも柊が居る事知らなかったから数が1つ足りないけど――」


と、俺が言っていると……。


「食べよう!海織ちゃん!」

「うん!楓君ありがとー!」


と、女の子2人多分俺の話は少ししか聞いてなかっただろう。すぐにケーキを食べる準備開始。こちらの話はもう聞いてませんね。すると俺の横で柊が何やらスマホポチポチし始めて……。


「あー、これか」


俺に自分のスマホの画面を見せてきた。

えっと――何やらTVで話題と書かれているページで……うん。有名人絶賛やらやらめっちゃ褒められている商品が……ってそれ今俺が買ってきた物か。と見ていると……。


「いただきます!」

「うん。いただきます!」


女の子2人飲み物の準備までして机に座りいただきます。うん。男性陣放置ですね。行動が早い。そして……2人は商品の写真撮ってからの……。


「「おいしぃぃぃ」」


うん。なんか知らないがめっちゃ感動というか。褒めまくっていた。


「……楓。ご機嫌取りが上手いな」

「いや、偶然」

「ってか。楓は聞いたか?」

「何を?」

「いや、沙夜が急に京都行こうとか言ってるの」

「あー、ちらっと電話で呼ばれたときに」

「なんかテレビ見て行きたくなったとか言っててよ。俺今日は四日市でぶらぶらしてたら。急に呼び出し。で、来たら財布が来た!って言われた」

「財布……?それは……なんか嫌だね」


うん、めっちゃ嫌ですね。危険というか。嫌な未来予想図しかできない。うん。


「だろ?断ろうと思ったら。来ないと勝手に使うとか脅されてよ。電話で宮町さんも参戦してくるし」

「そちらも大変で……って柊は何時の電車でこっちに?」

「えっ?あー、四日市。1分だったかな。電話あって渋々駅行ったらちょうど止まってたから。それ乗ってここに来たら……まあ沙夜と宮町さんが時刻表とガイドブックのにらめっこしてた」

「……時刻表?」


俺は机の方を見ると……あれ?海織も近鉄の時刻表持っていたのか……ってちょっと待て。なんかおかしいな。そのちょっとボロっている感じの時刻表は――。

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