第293話 内部線制覇へ4 ~赤堀駅13時32分発~
ピンポンピンポン?かな。
駅に電車が着くと。そんな音とともにドアが開いて……すぐに発車ベルが鳴って……またピンポンピンポン。となってドアが閉まる。
うん。今私たちが乗っている電車は赤堀駅に止まっていて……ちょうど私の前には運転手さんが使っている時刻表?かな……うーん。時間が書いてあるから多分時刻表。運行ダイヤ?とか言うのかな?うーん。こういうのはわからないなー。楓くんヘルプ。って言いたいけど、楓くんは車両の後ろの方で何やら柊と話して……って振り向いたら柊はスマホ。楓くんは車窓をのんびり見ていたー。
ちなみに海織ちゃんは……何故か私の写真を撮っていたことに今気が付いた。うん?
「あのさ。海織ちゃん?何してるの?」
「沙夜ちゃんがなんか楽しそうにしてたからね。ちょっと」
「……」
うん。ちょっと……海織ちゃんのニヤニヤしている表情が気になるけど――いいか。確かになんか楽しいし。
ってさあー。
四日市から1駅進んだだけなのに一気に雰囲気が昭和なんですけどー!
ここ無人駅っぽいし……なんか両側……というか。線路の両側。うん。
昭和!完全に昭和。私タイムスリップしたわけ?めっちゃ……昭和。私何回言うんだろう……昭和って。まあいいかー。
にしても少し走っただけでこんなに変わるか。と思っていたら電車は駅を発車した。
またゆっくりと走り出して。次は「ひなが」と女の人の声が流れているんだけど――。
「……ひながってどんな漢字?」
うん。わからない。まあ「ひなが」って分かればいいか。と、思っていたら。電車は橋?を渡ってます。ってS字カーブ?っていうのかな?めっちゃ左右に揺れるんですけど。これ。地味に怖いよ。うん、めっちゃ揺れてる。
「おっとっと……」
って隣で海織ちゃんが慌てて手すり持ってたし。
脱線しないよね?これ普通なの?楓くん!って近くに居ないんだった。と思ったら……。
あれ?なんかさっきの駅から見ると大きな駅が見えてきた。右側の2つ隣のホーム?その1つには電車が止まっていてホームでは運転手?らしい人が立ってこちらを見ている……これが「ひなが駅」か。と私が思っていると。電車は駅に止まって――ってこの駅3つもホームあるじゃん。
そして一番右。私たちの電車が着く前から止まっていた電車はこの電車が来るのを待っていたみたいで。私たちが乗っている電車が駅に着くとすぐに四日市方面。今私たちが乗っている電車が走っている方へと走っていった。
そしてそれからすぐに私たちが乗っている電車も駅を発車。
車内放送がまたあって……次は「南ひなが」みたい。ってまた「ひなが」だ。南は東西南北の南だと思うけど……ってさっきのひなが駅で看板見なかったからわかんない!反対方向の電車がいたからだー。そっちに気を取られたー。もう。ってそうだ。目の前にあるじゃん。運転手さんが使っている時刻表。って光が反射していてちょうど見えない!なんたることかー!
とか思っていたら。ブレーキがかかって……もう次の駅に着いたみたい。1区間1区間が短い。次の駅は直線の線路のところに普通にポツンと駅があて、これが「南ひなが」って看板見えた!
「日永」って漢字なんだ。とちょっと賢くなった私。うん。すぐ忘れそうだけど――次書けって言われたら……楓くんを召喚しよう。うん。鉄道関係なら楓くん召喚して置けば間違いないはず。って書く機会は……ないかな?
まあ私がそんなことを思っているとこの駅も停車時間は短くてすぐに電車は駅を発車。ちなみに今のところ私と海織ちゃんの居るところ。先頭のところには人が乗ってきてないのでまだ私は先頭部分で車窓を楽しんでます。
――海織ちゃんはなんか私を見ている気がするけど……いいか。
にしても今もアパートとかのすぐ隣を走っているけど……あそこに住んでいる人って電車の音とかどうなんだろう?
防音?がしっかりしてる?いやいや、絶対聞こえるでしょ。このガタガタ音。って今はとっても真っすぐの線路のところを走っているんだけど……ホント揺れるなーこの電車。って次の駅はどこ?聞きそびれた!
と、思ったら今度は2つ線路があって真ん中に駅がある駅が見えてきた。
車内放送では――「とまり」って言ってるけど。「とまり」ってどんな漢字?あー「泊」みたい。ちょうど看板見えた。ヤバイ私どんどんこのあたりの地理賢くなるんじゃないかな?うんうん……ってなんで私さっきから漢字ばかり気にしてるんだろう……まあいいか。賢くなるしねー。
「ふふっ」
――うん。何だろう。隣から海織ちゃんの笑い声が聞こえたような……ってこの駅ではすぐに電車が発車しないなー。って思っていたら。前から電車来た。
なるほどなるほどこれは湯の山線でもある。電車の行き違いか。と。私もね。何度も何度も大学行ったりで電車は利用してるからなんとなくわかって来たよ。うん。前から電車が来ると。どちらの電車も発車ベルが鳴って同時くらいに出発。
また揺れる。揺れる。ホント真っすぐの線路でも左右に揺れるなー。この電車。なんでこんなに揺れるの?わざと?古いから?うーん。
「沙夜ちゃん」
すると横から海織ちゃんの声がして……。
「うん?なに?」
「かわいい」
「えぇ?」
「意外と沙夜ちゃんと楓君いいコンビかもねー」
「うん?どういうこと?」
「外見てる時の目が同じ。かな?」
「……へっ?」
うん。いきなり海織ちゃんがそんなことを言ってきたけど……もしかして今の私。普段の楓くんと同じような感じ……なのだろうか。でも確かになんかね。こうやって外見てると楽しんだよねー。うんうん。
「—―って目!?」
「うん。なんか実況でもしてるみたいにキラキラしてるよ?」
「………………実況?」
「うんうん」
おかしいな……私声には出してないはずなんだけど……確かに駅の漢字わからないー。とか車窓の事いろいろ思ったりしてたけど……声漏れてた?まさかね。うん。って海織ちゃんと話していたら次の駅に着いてた。これ何駅?
とか思っていたら電車が発車早いよ。停車から発車までが早いよー。ちなみに次は「おごぞ」と……うん。もう漢字は全く予想が出来ない。どんな漢字?あっ、ひらがなかも――?って思っていたら。あっという間にその「おごそ駅」とやらに電車が到着……駅の看板を見てみると――。
「小古曽。うーん。書けそうで書けないか」
と、これは完全に声に出していた私だった。
「うん?沙夜ちゃん?」
なので海織ちゃんがもちろん反応。
「あっ、うんん。なんでもー。この駅どんな漢字なのかなー。って」
「あー、駅名って難しいのあるよねー。前に楓君が難問の駅名ばかりクイズで出してきたなー」
「国語?社会かな?の勉強だねー」
「確かに。地理の勉強だったのかも」
と、海織ちゃんと話していると私たちの乗った電車は小古曽駅を発車した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます