第289話 ほっほっほー祭り ~伊勢川島駅23時05分発~

冬休みも終わり数日が経過した。


「次の休みは四日市あすなろう鉄道旅その2に行こう!」と実家から帰って来た海織が言っていたのも数日前。 うん。元気なお方ですよ。いろいろ実家での事を愚痴ってましたが……。


そうそう正確には冬休みが終わってから数日すでに空いている日。休みはあったんだが……。


俺たちはバタバタした年末年始と。

そのバタバタがあったからか。ダラダラ多めとなった冬休み後半ですっかり忘れていたことがあった。


あれです。

これをやっておかないと卒業できなくなる。下手したら進級。4年生にもなれないかも……というやつですね。


「ほっほっほー」


この声が聞こえたらあれです。ゼミです。ゼミ回です。


ゼミの事を思い出したのは――いつだったか……そうそう。

新年1発目のゼミというか。3年次のゼミラスト2回のうちの1回の前日ですね。直前に思い出したんですよ。ってか気が付いたんですよ。

冬休み明けは講義があるのは2。3週間だけですからね。なんか勝手にゼミの事を頭の中から消していました。


「あ、ゼミなんもしてねぇ」


と、前日の講義終了時だったかに柊がそんなこといい……。


「……あっ」

「ああ!」

「やったかなぁ――?」


とまあ、その時はちょうど4人が居たのだが……うん。4人居て。準備が出来ていると言える者は居なかったですね。はい。


「楓の家に集合だ!」


で、なんか知らないうちに柊がそんなことを言いだして……俺たちはワタワタと大学から帰った。


で、それから1時間もしないうちに……俺の家では――。


「よし。楓!ヘルプ」

「いや、こっちもまだ印刷まで行ってない。ってかそもそもまだ作ってる」

「海織ちゃーん。これどうしよう。書き方おかしいかな?」

「うーん。どうだろう……いいと思うけど――」


柊は俺の横で。斎宮さんが海織の横でパソコンとにらめっこ。ちなみに俺も海織もパソコンを抱いている。


4人ともまだ出来てないのでね。ってか……何で俺の家で行われているのでしょうかね。卒論作りが――。


「ってか。柊白紙過ぎるでしょ」

「正月実家帰ってから何もしてないからな!」

「……そんな笑顔で言われても……ね」


柊は白紙。というのはまあ年末12月にした分で綺麗に止まっているという事。

じゃなくても柊は遅かったはずなんだが……大丈夫だろうか。これ。と俺が思っていると――。


「沙夜ちゃんも……ほぼ白紙だったからね」

「いやー、お正月のんびりしましたからー」

「とりあえず……沙夜ちゃん頑張らないと時間ないよ?私もなんだけど」

「ホントだよー。だから海織ちゃん先生!サポートを!」


うん。あちらも大変そうだ。


それから俺の部屋では――。


――カタカタ。


というパソコンの音が響いたり……。


「疲れたー」

「お腹すいたー」

「楓ー、わからん」

「海織ちゃんこれどうかな?おかしい?日本語大丈夫かな?」

「楓君。飲み物開けるよ?」

「どうぞどうぞ」

「楓ー。進まん」

「柊は聞くの早すぎ」


とまあいろいろ声がありまして……賑やかでした。


まあ大学終わってから始めたのでね。あっという間に外は真っ暗。だが俺たちは結局22時前?くらいまでカタカタパソコンたたいたりしていたか。


ちなみに一番早く終わらしたのは海織だった。


なので途中で海織が買い物に行ってくれて……美味しい晩ごはんにはありつけた俺たち3人。海織様である。他の3人はまだカタカタだったのでね。書いては……悩み消して。書く。の繰り返しみたいなことをしていた。


晩ごはん休憩後は……海織は斎宮さんのサポート。2人でなんやかんやと調べながら作っていた。


ちなみに――男性陣。俺はまあとりあえず……進んだ。うん。多分。多分進んだ。という感じで印刷をして……とりあえずOK。


だったが……。


「……こっちは大変か」

「楓ー。進まん」

「なんか同じ声しか聞かない気がする……」

「出来た!うんうん。進んだ!ありがとー海織ちゃん」


と、俺と柊が話していると斎宮さんが終了したらしい。大の字で現在床に寝転んでいる。


「おつかれー」


と、海織が斎宮さんの隣で言っている。海織は終わっているのでくつろいでますね。うん。


「楓!」

「……こっちはまだ無理かな――」


俺はそんなことつぶやきつつ。柊の方のお手伝い。というか……まあ俺も完璧には卒論の形というものをわかってはいないが……とりあえず自分はこんな感じで書いたというアドバイスだな。それを柊に続けた。


そうそう、終わった女の子2人はどこから出したのか……スイーツタイムでしたね。あれか海織が買い物に行った時に買ってきていたのか。


「甘いの最高!」

「疲れたときはこれだよね」

「うんうん。ありがとう海織ちゃん」

「ってことで、沙夜ちゃんに貸しが1つ」

「えっ?」

「どこで使おうかなー」


うん。あっちはあっちで楽しそうですね。こっちは……もうパソコンを見るのが嫌になって来たんだが……疲れた……目が疲れた。


そして結局22時半過ぎ?まで俺の家での卒論政策会は続き……。


「これでいこう。うん」


と、柊が終わったところでお開き。というか。帰りましょう。うん。あっ、海織は帰りませんよね……うん。そんな雰囲気ですから。


「ちなみに次の電車は23時05分発なので……」


と、俺が片付けをしている柊に言うと――。


「よし。それ乗る」

「柊荷物よろしくー」

「なんで沙夜は自分で持たないんだよ」

「疲れたー」

「おい、ちょ」


まあ最後まで賑やかでした。


そして多分だが……柊と斎宮さんは無事に伊勢川島駅23時05分発の湯の山温泉行きの電車に……乗れたはず。うん。それ以降は見ていない為わからないのでね。


そうそう海織は普通に居ましたとさ。


そして翌日……まあバタバタと作った4人とも藤井寺先生の赤ペン祭りとなったのだが……それはそれである。うん。もう真っ赤っか。ってことでわかるかと思うで省略しておこう。うん、やるべきことはちゃんと早くにするべきですね。

後回しにしていると――こんなことが起こる。まだ海織がマシ……って感じだったかな。あとは真っ赤っか。


「ほっほっほーほほーほー」


超高速で藤井寺先生の手が動いているのであった……。

藤井寺先生の方が腱鞘炎になりそうだが……あれも慣れかな?

うん。大丈夫であろう。


っか俺たちは……4年生になれるのだろうか――とか高速で動き回っている赤ペンを見ている俺だった。

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