第264話 お手伝い2 ~湯の山温泉駅15時32分発~
海織から鍵を受け取った俺はおじいさんと柊に一声かけてから神社を出発した。
まあ特に俺が居なくても……なんでね。
なにかあっても柊が1人いれば今のところ問題ないかと思われる。ってかもっとバタバタしているのかと思っていたんだが――おじいさん曰くここはこんな感じらしい。うん、まあ初めての事だし……ドタバタよりかはいいかな。うん。
そんなことを思いつつ。少し前に歩いてきた道を1人でまた戻り。湯の山温泉駅へと向かった。
駅に着くとやはり高校、大学ともに休みだからか駅周辺の人は少なめ。普通の平日なら大学からよく帰る時間だが。今は静かな感じの駅だった。
次の電車は……15時32分の近鉄四日市行きの普通電車。ってか普通電車しかこの路線は今のところ走ってないか。昔は特急が走っていたらしいが。今は全て普通電車なのでね。
と、1人だからか。ちょっといつもより余計にいろいろと考えながら改札を俺は抜けた。
だからか。あんなに目立つ先輩に気が付くのが遅れた。
「おお、加茂じゃないか!」
「えっ?あ、難波先輩」
ホームの前の方で声がするな――と思ったら。今日も元気。そしてとっても目立つ難波先輩がたくさんの荷物を持ってこちらに手を振っていた。
「おうおう。ってかあれだな。巫女さんの件助かったよ。神社のばあちゃんから感謝の連絡あって一安心よ」
「今2人が準備してますよ」
「そうかそうか。あとで行くか。ってか加茂は何してるんだ?男子は不要で追い出されたか?がははー」
「あっ、いや、海織に荷物を家に取ってきてほしいと言われまして……まあ付き添いで特にまだやることもなかったので」
「おうおう。大変だな」
「ちなみの難波先輩もどこかへ?」
「ああ実家によ。ちょっと用事が出来てよ」
「なるほど……って今さっき神社に顔出すみたいなこと言いませんでしたっけ?」
「OKOK。5時間あれば行って帰って来れる」
「……なかなかですね」
「うるさい妹がよ。帰ってこないと暴れると言ってるらしくてな」
「……ホント大変で」
「マジ大変だよ。だからちょっと餅つきの準備のきりがいい時に抜けさせてもらってよ。今からダッシュで移動よ」
と、難波先輩と話していると遠くから踏切の音が聞こえてきて――そして電車の走る音も聞こえてくると……電車の姿が見えてホームにゆっくりと入ってきた。
電車到着後は数人の乗客が降りたのち。折り返し運転の準備のため行先などが変わっている。
降りる人が居なくなってから俺と難波先輩とあと数人の乗客が車内へと乗り込んだ。
「そういえば難波先輩。車では帰らないんですね。確かかなり大きな車に乗っていたような、、、」
「まあ普段なら車で帰るんだがよ。今日は忙しいからな。この後四日市で乗り換えたら移動時間は睡眠時間よ」
「……なるほど」
「そうそう加茂餅つき大会の集合時間俺言ったか?」
「………いえ、確かまだ聞いてなかったかと」
「おうおう、連絡する手間が省けるな。よし、メモしろよ。どっかに俺書いたメモ持ってたぞ……ちょっと待て……荷物が多すぎてなー。どこだどこだ」
と、難波先輩がカバンをあさる……って難波先輩。なんかすごい荷物だからな。キャリーケースにカバン。紙袋1つ。お土産かな?
とか思っていると。電車の発車バルがなり。電車のドアが閉まる。
そして15時32分。ゆっくりと電車が動き出した。
「あったあった」
そして電車が湯の山温泉駅を離れたくらいに難波先輩がカバンから紙切れを取り出して――って餅つき大会のチラシですね。その裏にメモしたらしい。
「えっとよ、2日の日の……朝7時30分にこの公民館だな。そこの駐車場でする予定だからな」
「結構早いですね」
「まあ前日の準備はこっちでしとくからよ。朝から蒸したりして、まあ午前中にペッタンペッタンよ。ってあー、臼と杵準備してたか?ちょっと加茂悪い。確認することが出来たからな」
そう言い難波先輩はスマホを取り出し操作しだした。
その間に俺は今言われた時刻を……同じくちょうど持っていた餅つき大会のチラシの裏にメモした。ってそういえば餅つき大会2日だったのか。と、チラシをもらった時に確認はしたが。ちょっと神社の方の事で忘れかけていた。危ない危ない。
一応スマホの方にもスケジュールとして打ち込んでおいた。
俺がメモし終えて隣を見てみると……。
うん。なんかスマホをポチポチしている難波先輩が居たので――終わるまでそっとしておくこととした。
結局近鉄四日市駅に着く直前まで難波先輩はメッセージ?でやり取りをしていたらしい。何やら臼と杵?も事前に準備が必要というか。水につけておくとかなんか言っていたな。割れないようにとか……うん。いろいろあるんだな……とか話を聞いて思っていると。
電車は15時59分。近鉄四日市駅に定刻通り到着。
駅到着後は俺と難波先輩は同じホームに移動だったのだが……。
「こっちは乗り換えに時間があるからよ。ちょっとお土産もうちょい買ってから行くからまたな。って今日まだ会うかもな!がははー。じゃ!」
「あっ、はい」
難波先輩とは湯の山線のホームから移動したところで別れた。
そして俺は伊勢志摩、大阪方面のホームへと移動して……。
「って電車もう来てる」
と、ちょっと最後は駆け足でホームに止まっていた普通電車に飛び乗った。
俺が車内に入ってすぐ。電車の発車ベルが鳴り。ドアが閉まった。
うん、いい感じの乗り換えです。待ち時間なし完璧。
ってかあそこでもう少し難波先輩と話していたら乗れなかったみたいです。セーフセーフ。
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