第246話 空港デート延長戦?6 ~近鉄四日市駅11時01分発~
近鉄名古屋駅10時21分発の急行に乗った俺と海織は座った時こそなんやかんやと話していたのだが――。
「……」
「……」
なんか名古屋出てすぐくらいから記憶がありません。次に俺が起きたのは――。
「……君。楓君。起きて」
肩をゆすられているのに気が付いて起きました。
「う……うん?」
「もうすぐ四日市だよ?楓君」
「えっ?」
俺は外を確認。うん。見覚えのある車窓。そして……まもなく近鉄四日市というアナウンス……うん。到着ですね。って降りる準備準備。
「楓君。私にもたれてぐっすりだったね?」
「あ、ごめん」
「えっ?いいよいいよ?私もだったし」
とかそんなことを言いつつ荷物の確認OK。そして俺と海織が乗って来た急行は10時55分近鉄四日市駅に到着した。
「楓君楓君。このまま帰るよね?」
「あ、だね。ちょっと休みたいかな?あっ、海織どうぞ目の前の普通に――」
俺と海織が降りたホームの反対側にはこのあと出発する11時01分発の津新町行きの普通電車が止まっている。海織が自分の家に帰るのならこの電車に乗れば楠駅へと行ける。のだが――。
「むっ……」
「いや――そんな顔されても」
俺がそんなことを言ったら、なんでそんなこと言うかなー。みたいな感じの表情に海織がなっていた
「この電車に私を乗せたいのなら……」
「なら?」
「楓君も乗ろうねー?」
「いやいや、いろいろおかしいから」
「って、そうだよ。今日は楓君うちにおいでよ」
「えっ?」
「ほらほら。ゆっくりさせてあげるから」
そんなことを言いながら海織が俺の手を引っ張る。
いや、海織さん?一応……湯の山方面の電車もちゃんとありまして――11時02分に湯の山温泉行きの普通電車があるので……俺もちゃんと帰れるんですよ?ねえ?たまにちゃんとそれぞれの家に……とか思っていたのだが。俺がそんなことを思っていただけ。
海織に引っ張られるまま俺は津新町行きの普通電車の車内へ。
いやいやなんでこうなるの?
俺と海織がそんなことをしている間に隣のホームには急行が出てすぐに、10時59分発の大阪難波行きの特急が入ってきて。発車していき――。
まあ当たり前だが。この電車の発車時刻になり。ドアが閉まる。
「今日は楓君私の家でお泊りだねー」
「えー」
「あっ、でもうち物がほとんどないから。パパっと買い物して帰ろう。大丈夫ちゃんとゆっくり休ませてあげるし。甘やかしてあげるから」
「……」
「また楓君が黙っちゃったー」
うん。車内でそんな会話があり……うん。昼前だからか車内が空いていてよかったです。はい。
その後も電車は順調に進み――。
11時12分楠駅に到着。そして駅から海織の家へと歩く。
「そういえば楓君が来るの久しぶり?かな」
「あ――うん。そういえば……久しぶり……って海織はほぼうちに来るから」
「そんなことないよ?」
「そんなことあるかと」
「えー。あっ、買い物買い物。買い物しないとホント何もないからね」
と、駅から直接家に……ではなくちょっと買い物をしてから海織の家へと向かった。っかホント何も家にないのか。海織はしっかり買い物をしていた気がする。
まあ――この雰囲気は俺……今日も家には帰れないみたいですね。晩御飯も何か決めてくれているみたいで、いろいろ買っていたので。帰るとか言ったら……また怖い事されそうです。
「楓君くつろいでていいよ。お昼ご飯簡単に何か作るからさ」
「あ、うん。ありがとう」
「いいよいいよー。まあパパっとだけどね」
海織の家に着くと――うん。ほとんどというかあまり帰ってきていない海織の部屋だが。綺麗にされている。ちょくちょく帰ってはいるがその時にちゃんと掃除とかをしているらしい。
俺が荷物を部屋の隅に置いていると、その間に海織は自分の荷物を寝室に置いてきたみたいで、そのまま先ほど買ってきた材料を持ってキッチンへと入った。
俺は座って待機……という時間だった。
そして15分もしないうちに――。
「はい。おうどんですよー」
「ありがとう」
「寒いからね。簡単で温まれるものだとこれかな?って」
「だね。美味しそう」
「食べて食べて」
海織はシンプルなうどんを作って持って来てくれた。シンプルなのって美味しいよね。うん。
「いただきます」
「はい。どうぞ」
「……あ。あー。温まる……ってか落ち着く味」
「そう?よかった。あっ、鰹節とかあるからかける?」
「あっ、うん。もらおうかな」
「あと、七味とかも欲しいよね。ちょっと待ってて、出すの忘れちゃった」
「ありがとう」
海織の作ってくれたうどんで温まり……ほっこり。
「ふー、食べた」
「あっ、海織。片付けくらいするよ?」
「そう?じゃ、お願いしようかなー、私ちょっとメッセージ来ていたから」
「—―了解」
「あっ、お皿の場所流し台のところに洗ったの置いておいてくれたらいいからね」
「大丈夫。なんとなく覚えているから」
「おー、さすが楓君」
食べ終えた後は俺が片付けをして……うん。久しぶりな気がしたが何となく海織のところの物の配置というか。そんなのもまだ覚えていたため。特に困ることなく。片付けは終わった。
「終わった?」
「あっ。うん。場所は多分合っているかと……」
「大丈夫だよ。見てたもん」
「見てたんだ」
「あっ、そうそう」
「うん?」
「片付け終わったからって帰っちゃだめだからね」
「……」
そんなことを笑顔で言う海織だった。うん。本当に帰っちゃダメなのかな?とか思っていると……。
――ピンポン。
海織の家にインターホンが鳴った。
「あっ、来た来た」
「えっ?」
……どうやら第三者?のお方が来たのか――って、誰が!?えっ?誰か来ましたよ?海織の家に。海織は知っているのか普通に玄関の方へ向かって行った……そして――。
「やっほー」
うん。元気な声。いつも通りの声が聞こえてきた。
もう声だけで誰が来たかわかってしまった。
「—―斎宮さんか……えっ?なんで!?」
と、なっている俺だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます