第247話 1対2 ~女の子は強い~

「やっほー」


そんな声がしてから数十秒。


部屋に海織と……予想通り。斎宮さんがやってきた。


「楓くんやっほー」

「えっ……う、うん」


斎宮さんは厳重装備。とか言うのだろうか。寒さ対策ばっちりの状態で海織の家にやって来たみたいで――。


俺に挨拶のちすぐに来ていたコートやらを脱いでいた。まあ外寒かったからね。


「はー、身軽になったー」

「沙夜ちゃん何か飲む?」

「あっ、うん。何でもいいよ?ありがとー」

「じゃ紅茶でいいかな?」

「うん!」


――何だろう。俺の知らないところで約束がされていた気がします。はい。

斎宮さんは突然来たとか言う事ではなく。海織は知っていたみたいだし……ってならなぜ俺をこの家に海織は連れてきたか……。


あっ。わかってしまった。そうだ。斎宮さんは昨日の夜から……知っている。


「にひひー」


すると、俺の顔を何故か見ていた斎宮さんが不敵な笑みを浮かべていた。もう怖いんですけど……。


「……斎宮さんその笑いは何でしょうか」

「楽しみだなー。って」

「えっ?ええ!?」


何だろう……すごく嫌な予感が……これ当たってほしくないなー。

それから少しして、海織は3人分の紅茶を入れて机に置いた。


「さてさて、じゃ楓くん詳しく聞かせてもらおうじゃないの」

「—―何をでしょうか?」


俺の横に来た斎宮さんがめっちゃ悪い顔をしている。するとその反対側には海織が寄って来た。


「ほらほら、嘘つき楓君?」

「あっ、やっぱり昨日の流れ……」

「わかってるじゃん。えっち」

「いやいや、なんかおかしい。って変な事言ってないからね?」


もうめっちゃ嫌な予感しかしません。はい。逃げたいですね。無理だろうけど――。


「で、海織ちゃん。こういう話はやっぱり直接ってことですぐに来たけど……結局どうなったの?すっごく私気になってるんだけど。朝までした?っか海織ちゃんの事だから押し通したんだよね?あっ、押し倒した?」

「……」


うん。斎宮さん……元気だな。俺を間になんで海織と話しているのだろうか――ホント……逃げたい。この場所嫌です。はい。


「楓君。果ててたからね」

「—―果ててた?」


反対側のお方はお方でなんか普通に話してるし。海織よ。そういうのは……隠さないの?とか思っている俺だが……まあこの方。ちょっと常識は通用しないのかもしれない。


「果ててた?えっ。楓くん。こんなかわいい子相手に興奮しなかったの?」

「……」

「大丈夫だよ。沙夜ちゃん。かっこよかったよ?楓君」

「キャー」

「……」

「で、で?」


すると斎宮さんは俺に乗りかかるように……海織の方に身体を伸ばす。うん。俺邪魔だよね。移動していいなら移動しますよ?むしろ帰りますよ?なのだが……。


が。何故かこの2人。俺を挟んで会話を続けるという――。


「実はね。楓君。何気に……こちょこちょ……」

「—―」


いやいや、こちょこちょ。とかじゃなくてさ。隠してないよね?俺間に居るんだから普通に聞こえるし。まあ……ちょっと文章は濁しているが……って俺は誰に何を言っているのだろうか。


「あらー、楓くんしっかりしてるね。うちの柊は突然はダメだからね。絶対持ってないよ」

「えっ、沙夜ちゃんそのまま?」

「ないから。ないない。そこは私しっかりしてますから」

「……」

「ふふっ、でも、私ももしも。の可能性を考えて……準備はしていたんだけどねー」


うん。何かな?海織から……変な視線が来るな……その反対からも変な視線が来ているが……って何度も言うがこれ俺が間に居る理由ないよね?


っかさ、このお2人さん。なんでこんな話を真昼間からしているの?誰か止めて。なんでこんなことが起こってるの?って俺いちゃダメな気がするんだが――。


「ついに2人も……ニヤニヤ」


何だろう……この斎宮さんの変な視線。


「……」

「後は楓君が押し倒してくれたら良かったんだけどねー。こっちが行動するまで硬直してたし」

「あらー。楓くんそこは押し倒さないと。海織ちゃん頑張ってるのにー」

「……」

「今まで心配になるくらい。楓君は真面目だったからね」

「あー、でも楓君そんなキャラだよね」

「……あの……すみません」

「あっ。やっと楓くんが話してくれる?」

「いや――俺帰っていいよね?」

「「ダメです!」」

「えぇ――」


なんでこの2人こんなに息ぴったりなのだろうか……って挟まれたから逃げれないじゃん。海織に関してはなんか俺の服をしっかりつかんでるし。


「あっ、海織ちゃん。ちゃんとお泊りセット持ってきたからね。時間たっぷりあるよ?」

「夜までゆっくり話せるね。晩御飯もまかせて」

「やったー。海織ちゃんと楓くんの現状確認楽しみー。あと海織ちゃんの料理も楽しみー」

「ちょっと待って。タイムタイム」

「拒否です」

「海織?」

「楓くんあきらめて」

「えー」


なんか大変なことになってきました。はい……。


この後の事は……とりあえず俺がいじめられて。いじめられ続けて、恥ずかしい。とかいうのがずっと続いたので――はい。ちょっと平和だった晩御飯の事くらいを触れて終わりましょう。はい。


なんやかんやで拷問。がありましたが。


晩御飯は海織がキーマカレーを作ってくれました。

はい。買い物の時になんか多く買ってるなと俺が思ったのは3人分だったから。


野菜をたくさん食べれるキーマカレーでした。


ちなみに作っている時は海織の横に斎宮さんが見学ということで居ました。って俺も見ていたけどね。キーマカレーって作ったことないけど……市販の素?っていうのかな。粉があるらしくて、それがあれば、ミンチ?とトマト玉ねぎだけで作れていたので……あっ、これ簡単とか思いつつ見ていた俺でした。はい。


味は……さすが海織ですね。美味しいし。って――山ほど野菜が……そういうものなのかな?レタスとかたくさん準備されていました。まあ野菜は健康的?だからいい事かな。はい。


で、せっかく食事で平和な感じに戻っていたのに……その後はわいわいキャーキャー。もう帰りたかったのに。海織に腕捕まるというね。


何故に海織は斎宮さんが喜ぶネタしか提供しないのか――。


うん。斎宮さんが大騒ぎで……疲れて寝る頃には……俺も精神的にやられて横になっていましたとさ。って、結局海織の家に泊まりました。はい。


あっ寝るのは寝室で女の子2人。リビングで1人です。さすがに冷えてくるからと何回か海織がこっちに来てもいい。みたいなことを言っていたが……まあいろいろありますからね。俺は頑張って断りました。そしたら海織が途中で毛布を貸してくれて……風邪をひくとかそんなことはありませんでした。


そんな日でした。終わり。終わろう。うん。

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