第210話 オープンキャンパス2 ~湯の山温泉駅15時00分発~

「オープンキャンパス結構な人が来てたんだね」

「うん。まあ俺が来た時も多かったかなー」

「うんうん、私の時もだったよ。ってもう3年?くらい前の事なんだよね」

「あー、そうなるのか……時間早いなー」

「ホント。これはもっとたくさん楓君と遊ばないとね」

「海織さん。やること。することもたくさんありますよ?」

「遊びも大切だよ?お泊りでお出かけもしないとだし。近場のお出かけも行ったことないところまだまだあるから行かないとだし……あっ、ママパパが楓君連れて来いって言ってたなー」

「なんかさらっといろいろなことを――」

「楓君で遊ばないとだからね」

「……ちょっと待って今なんかおかしくなかった?」

「うん?おかしい事私言ったかなー?楓君で遊ばないとね。しか言ってないよ?」

「……少しおかしいところがある気がするのですが……」

「そうかな?あっ、ちょっとお手洗い行ってきまーす」

「逃げたよ」


はい。海織が逃走しました。今俺で遊ぶとか言ってなかったか?これは……危険な未来が……。

っか海織のママさんパパさんからのお呼びもそのうち起こるのだろうか……この前うちの実家でもあんなんだったから……海織の実家とか――うん。まあどれが行われても大変な未来予想図しかないのだが……大丈夫だろうか俺?


まあ海織が居なくなったことでいつものベンチ周辺は静かになりました。さすがにオープンキャンパスに来ている高校生の子たちはこっちまでは来ないか。その他大学生の人も……ちらほらは居るが……とか思いながらぐるっと周りを見ていると……。


「……あっ」

「……」


……。

……。

……。


どうしようか。ちょっと目が合ったというか。うん。2人ともがフリーズというか。偶然目が合っちゃった?的な変な時間が少し――。


「えっと……迷子かな?」


俺がくるりと周りを見るとちょうどサークルの部屋などがあるところの方から1人の……子供?がキョロキョロしながら歩いてきた。そして今、目が合っている。なんで視線を逸らせないのだろうか……って、うん。逸らしたいのだが。なんか逸らしちゃダメな雰囲気というか――どうしようかね。これ。


っか。なんで大学の構内に子供が居るのだろうか……あっ、あれか大学は大人の人もいるから……子供が付いてきた。付き添いかな?そしたらはぐれた?


うん、多分迷子っぽい子が居ます。俺の視線の先に。


俺は周りを確認。保護者らしき人はいない。ということで近寄ってみた。変に声をかけると不審者に俺が鳴りそうなのでね。でも未だに向こうからもヘルプの視線というか。なんかあるので行動してみた。


「えっと……迷子かな?」

「あの――すみません」


俺が近づいていくと子供?も助けが来た?とか思ったのかこちらへとトコトコと歩いてきた。


っか、近くに行って気が付いたが。見た感じは子供だが……なんか雰囲気。服装などはおしゃれというか。なんか中学生くらい?なのかな?今どきの子供ってみんなおしゃれなのかな?俺はわかりません。一人っ子ですし。はい。はじめは小学校の高学年くらいかな?とか思っていたが。うーん。わからん。とりあえず多分迷子は当たっている気がするが……。


現在俺の正面に居る子は、腰まである長い髪を揺らしながら。ちょっと恥ずかしそうに下を向きつつ俺の前までやって来た。


「えっと……どこか場所を探しているとか。誰かとはぐれた。とかかな?」

「そのー……食堂ってどこですか?説明を受けたんですがわからなくなっちゃって……あははー」


と、苦笑いというか。笑顔?で話し出した子。なのだが――うん?


「うん?食堂?」

「はい。オープンキャンパスに来ていたのですが。ちょっと迷いましたー」

「えっ……あ、ああー、了解了解」


嘘だろ。こいつ……高校生?うん。俺ちょっと混乱。

いや、確かに改めて見ると――子供っぽさはあまりないというか。しっかりしていると言いますか……何と言いますか。とりあえずごめんなさい。と。心の中で謝っておいた。見た目が小さいからで判断した俺……謝罪。


「えっと……案内するよ」

「いいんですか?ありがとうございます。助かります」


うん。安心したのか。いい笑顔になった子なのだが……俺……申し訳ないと言いますか……はい。とりあえず食堂まで案内しました。


「この大学広すぎて迷路ですね。迷っちゃいました」

「多分—―講義棟から真っすぐ行っちゃったからサークルの建物入っちゃったのかと」

「そうだったんですね。なかなかはじめて来るところは覚えられなくて私地図とか全くなもんで」

「ここの大学広いから。あっ、そこが食堂の入り口。結構混んでいると思うから少し待たないとだと思うけど」

「大丈夫です。ありがとうございます」

「じゃ」

「はい!ありがとうございました!」


うん。なんか結構感謝されていたみたいだが……俺は謝らないといけないような……とか思いつつの数分間でした。


でもうん。言われたら……高校生か。小さいだけで。うん。そこそこしっかりしている感じだったし。誰かに誘われて付き添いみたいな感じで一緒に来たとかではなくてちゃんと1人で来て話を聞いていた……だったみたいだし。

うん。人は見た目では……わかりませんね。再度ごめんさい。誰かさん。


俺が女の子を食堂に案内してからいつものベンチに戻ると海織が戻ってきていた。


「あっ、いたいた、楓君どこ行ってたの?電話するところだったよ?」

「ごめん、ちょっと道案内を」

「うん?道案内?」

「ちょっと迷子の子がいてね」

「迷子?」

「うん」


迷子の子の案内は無事に終わり。その後は海織と少し話してから。また図書室へと移動した。


そしてそれから2時間くらいか。図書館で頑張り――集中力が切れたため。湯の山温泉駅15時00分発の電車に乗って帰りましたとさ。


まあ、そこそこ進んだかと思います。はい。

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