第209話 オープンキャンパス ~伊勢川島駅09時10分発~

難波先輩にお寿司を奢ってもらってから数日後—―。


無事に柊はゼミで悲鳴を上げていました。

まあほっほっほー先生こと藤井寺先生もいつもに増してというのか。柊がまとめてきたプリントにそこまで書くか!?と、いうくらいいろいろ赤ペンで書いていました。真っ赤っ赤。ってこういう時に使うんだろうな。もう何が書いてあるか解読する方が大変そうな気もしたが……なんか横から見ていると藤井寺先生も楽しんでいる気もしたが……うん。気のせいかな?ってか。俺も人の事を言ってられないか。


いや、結構頑張って確認してもね。いろいろミスがあるというか。誤字脱字やそもそも文章がおかしいとか。いろいろありましてね。俺も先ほど藤井寺先生に直されたプリントを見つつ再度パソコンをカタカタである。


っか、俺がカタカタしているスピードより――それ以上をいくいうか。シュシュッ。っという音があっているのかはわからないが。藤井寺先生のペンのスピードが半端ない。ホント半端ない。やっぱり何を書いているかわからない。口頭でもいろいろ言いながらなのだが……うん。暗号かな?まあ全く読めないではないが……いろいろ書かれますとね。何がなんなのかわからないという……。


……うん。見ているとなんか自分が直されている感覚になるので俺は自分のをしよう。俺も早いというわけではないからね。


ちなみに海織と斎宮さんは柊の後にチェックである。現在は柊が直されている様子を見たり。自分の作って来たプリントを見たりという感じである。


まあそんなことがゼミの時間ではありまして……さすがにその日だけでは全てが終わるとかいうことはもちろんなく。


「ほっほっほー。とりあえず本は読むようにの」


と、藤井寺先生もゼミの時間の最期に言っていたので――はい。


ということで土曜日。本当は休みなのだが今日は朝から大学の図書館へと向かっている。


そして俺が大学の図書館に籠ろうとしているのを察知したのかは知らないが……ってここ最近は俺の部屋に住み着いているからどこかで気が付くか。まあいつものように海織が付いてきている。


ちなみに海織はゼミの中では一番進んでいる状態。本人曰く。なんとなくわかってきたらどんどん書けるようになったとか。


俺はまだそのレベルに達していないようだが……うん。卒論終わるかなー。書けるかなー。心配。


とりあえず今は大学へ向かっています。はい。


現在は伊勢川島駅を09時10分に出たの湯の山温泉行きの電車に2人で揺られているのだが――。


ちょっと休日?のわりに車内の様子がおかしい。


「……」

「……」

「なんか今日高校生かな?の子多いね」


乗ってからしばらくは無言というか。周りの雰囲気からドア付近で海織と向かい合う感じで立っていたのだが。海織が口を開いた。


「う、うん。土曜日授業……って感じでもないよね。制服がバラバラだし――でも私服の学生?って感じの子も多いよね?なんかどこかであるのかな?」

「どうんなんだろう?でも混んでいるから車内で楓君にくっついていても問題ないから私はいいけどねー」

「……だからちょっと海織が近かったのか」

「ドアと楓君に挟まれているのもなんかいいよ?ニヤニヤ―」

「……」


うん。ちょっと今日の電車は混んでいます。土曜日なんだけどな――平日の朝みたいな感じで車内は混んでいた。主に高校生?くらいの人ばかりが乗っている。


そしてその混雑を利用してか。海織が先ほどから俺にもたれてきている。ちゃんと手すりとか持ちなさい。なのだが……この子は言うことを聞きませんでした。


そんなこんなで湯の山温泉駅まで車内の混雑は続き……。


「……あー、大学か」

「オープンキャンパスだね」


はい、混んでいた原因がわかりました。


俺達の通っている大学のオープンキャンパスでした。電車から降りた学生?の人たちはほとんどの人が俺と海織が目指していた方と同じ方向に歩いている。


「うん。全然知らなかったー」

「私たち関係ないからね。図書館は……開いてるよね?」

「うん、確か普通に開館日になってたかと」

「じゃ高校生の波混ざりながら行こうか?」

「だね。ここに居てもだし」


俺と海織は最後尾くらいをのんびりと歩いて行った。


そしてオープンキャンパスの受付のところは結構混雑していたが。もちろん俺と海織はそこは関係ないので横をスルー。通過していき――大学の図書館へ。


「よかったよかった。図書館開いてるね」

「うん。よかったよ。開いてなかったら海織にいろいろ言われそうだったから」

「えー、そんなこと言わないよ?楓君が私とくっつきたいがためにオープンキャンパスを知らないふりして混んでいるであろう電車を選んでちょっとお出かけ計画したー。とか言わないよ?ニヤニヤ―」

「……ちゃんと図書館が開いているのに言われたという」

「ふふふー」


――とりあえず。無事に開いていた図書館に入った俺と海織です。はい。図書館内はお静かにですね。お隣の方を静かにさせます。はい。


まあ海織もさすがに図書館で騒ぐとか何かしてくるとかそういうことはなく。それぞれが必要な本を探して読んだりした。


「……」

「……」

「……」


やっぱり図書館は静かですね。とか思っていたら。前から視線が――。


「……海織さん何見てるの?」

「えっ?真面目な楓君の顔?」


訂正。この子真面目にしているかと思ったらなんかニヤニヤしていました。


今日は海織と来たということもあり。長机のところに座っていたのだが。

俺の正面に座った海織も真面目に本を読んでいるのかな――とか思っていたのだが……ふと俺が顔をあげたら何故か本ではなく。こちらの顔を見てニヤニヤしている余裕な子がいました。


「図書館ではお静かに」

「でも楓君そろそろお昼だよ?結構集中してたからね。私がせっかく見ていたのにしばらく気が付かないくらいに」

「えっ、もう?」


まさか。と時間を確認する俺—―マジだもう11時56分だった。俺そんなに集中していたのだろうか……あれ?1時間くらいの記憶がないのだが……う。うん。本の内容は……なんとなくわかってますよ?はい。


「そろそろお昼探しに行かないと土曜日は売店とか閉まるの早いよね?」

「確かそうだね。じゃお昼にしようか」

「うん。今日は食堂も入れるかもねー」

「あっ、確かにたまには食堂もありか」


はい。一度図書館を出ることになりました。平日とかならあまり時間を気にしなくていいのだが。休みとかはね。売店も食堂も営業時間が短いので。


俺と海織は一度片付けて図書館を出た。そして売店や食堂があるところまでキャンパス内を歩いて行って――途中で思い出した。


「あー、そっか今日オープンキャンパスしてたんだよね」

「うん。忘れてた」

「ダメだね。私たち忘れるの早すぎだね」

「まあ……。関係ないことだから……そこまで気にしないからね」


はい。食堂が何故か超満員。あふれていました。行列です。あれですね。この大学オープンキャンパスに来た学生は無料でランチが食べれるので……あふれています。これは……食堂は無理ですね。はい。諦めましょう。


「売店は――大丈夫かな」

「あっちは無料のものないからね」

「だといいけど」


結局よく使う売店の方に進路変更し。無事に売店でお昼ご飯をゲットした俺と海織はいつものベンチへと移動したのだった。

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