第202話 あおさ配布 ~湯の山温泉駅17時17分発~
「あおさ配布中ね」
それがなんだって?いや、今目の前で行われていることを俺は言っただけである。ホント謎な光景。
「ホントごめんね。急に行けなくなっちゃって」
「ごめんごめん」
「うん。お土産だよ。お詫びのね」
俺の少し前で海織は……うん、ホントあおさの配布をしている。その海織の横にはお手伝いとして斎宮さんが立っている。ちなみに斎宮さんもあおさが好きだったらしく。海織に頼み先ほど1袋ゲットしている。うん。っか海織30袋くらい持って来ていた。
まあ軽いから――運んでくるのは問題なかったようだが……そんなに安いものではないと思ったのだが。とか俺が思っていたらだ。
「楓君のおばさんにちゃんと払う。って言ったんだけど、大丈夫だって。全部タダでもらっちゃった」
とかお昼休みにいつものベンチで海織から聞いたと同時くらいに……俺のスマホが鳴り……。
「あんた。海織ちゃんに渡したあおさ代あんたの口座から抜いといたからね。迷惑かけるんじゃないよ」
そんなメッセージが――。
いやいや、なんで?っか何故に俺の口座そっちからいじれる?とかいろいろ言いたいことはあったが……うん、今月はやっぱり節約生活かな?とか。
だって……帰りの電車も俺の支払いでしたからね。行きも帰りもしっかり俺が女の子2人分払いました。うん。なんかそういう約束でしたからね。
とほほ――ですよ。ホント。
そうそうそこでだ。俺ががっくりしていると――。
やつれていると言えばいいのかな?うん。とっても疲れている柊がやって来たんだったな。なんかいろいろ言われそうだったが……柊は柊でいろいろあったらしく、かなりお疲れ気味だった。
俺がそんなことを思っていると。
「あっ、白塚君。土曜日はごめんねー、でね――」
とかなんか言いながら海織が柊のところへ駆け寄り話していた……。
「何話してるんだろうね?2人で」
「さあ」
「これは事件のニオイがするね」
「事件って……」
残された俺と斎宮さんはおにぎりを食べながら2人を見ていると……うん、柊の顔がどんどん元気になっていき……なにあれ。イケメン君はいい事があると一気に復活できるのかな?まさかの特殊メイクとか使ってた?っか、その復活方法教えてもらいたいものですよ。ホント。
とか俺が思っていると。先ほど来た時に見た表情とは全く違い。ご機嫌になった柊が俺と斎宮さんの方に海織とともにやって来た。
そして――。
「さすが楓!」
「—―はぃ?」
うん。何だろう。イケメン君が……。
うん。キラキラしている状態でした……そんなにうれしいことがあったのかな?全くわかんない。っか俺は連絡スルーとかの事を謝ろうかと思っていたが。それはなんかもういい感じみたいだったので。うん。またそのうちなんかご飯でも奢ろうと思ったのでした……はい。
でだ。
その日の夕方。
「ごめんね。急に行けなくなっちゃって」
ここにだどり着く。
俺は先ほども言ったが少し離れたところで女の子2人を見ている。ちなみにここは……空き教室というか。なんていえばいいのだろうか。サークルの部屋?うん。柊が顔を出しているサークルの人が使っている部屋らしいのだが……何故かそこであおさの配布会。謎だ。めっちゃ謎。何故にあおさの配布会?
先ほどから何人かの男子。うん。ほぼ男子が海織からあおさを渡されて……一言二言話して……嬉しそうにしているのだが――何だろう。アイドルの握手会みたいなこと?うーん。謎。
まあとりあえず……喜ばれている?みたいだからいいか。とか思いつつ見ている。ちなみに俺はすることが無いのでただ待機している。ここに来る前に海織から一緒に帰るからちゃんと待っていること。と、2回ほど言われたのでね。隅っこに居る。俺、そんなに帰りたそうな顔していたかな?
「いやー、楓。これいいアイデアだな」
「—―うん?」
すると隣にご機嫌の柊が来た。
「これ楓のアイデア何だろ?宮町さんが言っていたぞ?」
「……ほっ?」
「ほ?」
「いや、俺全く知らないんだけど……なんであおさ配布会が行われているかも未だに理解してないんだが……」
「えっ、でも、宮町さんがドタキャンしちゃったから。お詫びに……で、伊勢志摩方面行ってたからそっちのものであまりみんなが買わなさそうなお土産を渡してみたら?ってことを楓が提案してくれたからって」
「うん、全く俺は知りませんね」
「そうなのか?」
「うん。俺何も知らない子」
「まあ、でもドタキャンがバレたときは殺されかけたが――」
「どんな呼びかけで集めたんだよ」
「まあ、いろいろと」
「はぁ――」
「でも、すぐにこんな場が出来たから俺セーフ。っか楓いいのか?あれ宮町さん奪うやつ出てくるんじゃね?なんやかんやで連絡先交換している人もいたぞ?」
「……さあ」
うん。確かに今の状況を見ていると、ホント男性の方々海織と話すと嬉しそうですね。ちなみにちゃっかり斎宮さんに話しかけている人もちらほら居ますよ?って稀に女性の方も居るというね。海織の人気がヤバイ。斎宮さんの人気もやばいと思うが……ちなみに柊曰くほとんどが同級生か後輩らしい。先輩の人も数人いたらしいが……うん、混ざったらわからないというね。
「で、先週は喧嘩してみたー。の期間だったのか?」
「それもわからん」
ホント先週の海織はわからなかった。ちなみに言うと……わからないことが多すぎたり。謎な行動が多すぎたため……俺はホント一度セーブがしたいとか思っている。
「っかさ、宮町さんさらに綺麗にならなかった?」
「へ?」
「いやいや、先週と比べてもさ。何かいい事でもあったのか?」
「……さあ、わかりませんね」
「なんか知ってるだろ?」
男2人でそんな会話をしていると海織と斎宮さん。2人がしていたあおさ配布会は終了し……雑談も終了したらしく。こちらにやって来た。で、海織が柊に一言二言声をかけて、バトンタッチ。これで海織たちの出番は終了らしい。
「じゃ、楓君帰ろうか」
「う、うん」
「私も一緒に帰るー」
ということで空き教室を後にした俺たち3人。なんかいろいろありました。はい。
ちなみに俺は特に何もしてない月曜日なのに疲れた気がします。わからないところというか。普段と違う空間に居ると待機しているだけでも疲れますね。はい。
前では女の子2人が楽しそうに話しながら歩いています。俺が入るような会話ではなかったので俺は2人の後ろを付いていくだけ。そして湯の山温泉駅までやって来た。
駅に着くとちょうど17時17分の近鉄四日市行きの普通電車が止まっていたので3人はちょっと駆け足で乗り込んだ。
その後すぐに電車が駅を出発。そして座席に座り一息。と思った時。
「これでとりあえずOKかな?」
「うん?」
急に海織から話しかけられた。ちょっと油断していたというか。斎宮さんと話しているとばかり思っていたからちゃんと話を聞いていなかった。
「だからって。まあいいか終わったことだもんねー。とりあえず楓君。今日からまた住み着くからねー。今日の晩御飯は何にしようか?って楓君ちゃんと買い物してる?」
「あー、暑い暑い。もう2人とも車内でイチャイチャはやめてよー。部屋に籠ってからいろいろやっちゃってよー。で、たまに私がスクープ撮りに行くから」
「斎宮さん、ここ、車内。お静かに。あと隠し撮りはしないように」
「えー」
ホントもう。ここの女の子2人と居ると――いろいろ大変です。はい。俺の隣で海織はめっちゃ笑っていますが……「海織。2回目だけどここ車内。お静かに」と俺が言ったが……しばらく周りにご迷惑をかけることとなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます