第142話 快晴 ~近鉄四日市駅07時19分発~
突然やってきた試験前のバタバタ騒動に巻き込まれてから数日。あれは柊が原因であるが。とりあえず無事にバタバタ騒動を乗り越えて、その後は特にトラブルなく。3回目の前期末試験が終了した。途中にあったレポート提出も無事終わった。
現在は試験というものから解放された。うん。終わった。
ちなみに柊のノート写しのお手伝いが復習?になったのかはわからないが。今回の試験はなかなかいい感じだったと個人的には思っている。うん。大丈夫。結構余裕があった。これはあれか。などとスラスラ書いていけるところが多かったかと思う。
そして、俺がお手伝いした柊は――。
「助かったー、また何かあったら頼むわー」
何とかなったらしい。すごくいい顔をしていた。うん。
「……次は1人で頑張ってください」
「いやいやいやいや。お礼するから、ちゃんとお礼しますから!楓様!次の緊急時も」
とかなんかあった後に――。
「そうだ。楓。4人で海行かないか?」
「え?」
はい。これが今回の始まり。新しいことの始まりはいつも唐突にやってくる。試験終わったばっかりなんだが……みんないろいろ試験後の事考えていたのかな?とか思っている俺だった。ちなみに俺は試験後とかの事は……うん。何も考えてなかった。まあとりあえず試験頑張ったし。ゆっくりしたいなー。くらいは考えていたが。
「試験終わったし。パーッと海行こう!」
「……」
少し前まで試験がヤバイ。やら言っていたはずの方なんだが――切り替えが早いというのか。うん。するとその声を聞いたのか。斎宮さんと海織がすぐに寄ってきて――。
――翌週。
「……早い」
「だね。でも日帰りだと、早く行かないと楽しめないからね」
「まあそれはそうだけど……休みなのにこの早さは」
「ほらほら、楓君。電車乗り遅れちゃうよ?」
「はい」
当たり前だから説明はいらない気もするのだが。もしかしたらわからない人も居ると思うので。現状説明。
現在は夏休み中。そして、本日は4人で海に行くことになっている日。メンバーは俺、柊。海織。斎宮さん。はい。いつも通りのメンバーです。
そして、海織はというと。確か数日前から自分の家にちゃんと帰っていたが、昨日の午後に「準備できたよ!」みたいな感じで俺の家にやってきて……そのままいつものように泊まって、現在当たり前のように一緒に俺の家を出たところ。
そして、俺がちょっとぼーっとしていたからか。海織に手を握られて引っ張られて歩き出したところ。いや、朝がね。早いので。まだ朝の6時台ですから。日差しがまぶしいです。夏休み中にこんな早起きをすることになるとは。
柊と斎宮さんが菰野駅06時42分の電車に乗ってくるので、俺と海織は伊勢川島駅に06時45分頃に到着し。電車を待った。
そして定刻通り。伊勢川島駅06時52分発近鉄四日市行きの普通電車に乗る。事前に海織と斎宮さんがメッセージでやり取りをしていたみたいで――。
「楓君楓君。沙夜ちゃんたち先頭車両だって」
電車が伊勢川島駅に入ってくる前に、俺は海織に引っ張られる感じでホームの先頭部に移動した。
海織はとても楽しそうです。朝からもう元気。あっ、いつも通りか。そして電車が駅に入ってきて、先頭車両に乗り込むとすぐに柊と斎宮さんと合流。
「おはよー、海織ちゃん。楓くん。今日も朝から一緒ってラブラブですねー」
「おはよー。でしょ?」
女の子は2人ともテンション高め。男性陣は――。
「眠いな。っか。本当に同棲だな」
「……まあ、そこは何も言わないが。っか、早くなったのは柊が言いだしたからなんだが……」
「いや、せっかくなら早く行って楽しみたいからな。でも……眠いわ。昨日沙夜がずっと準備でバタバタしてたし」
「今もテンション高いから……楽しみなんだよ。2人とも」
こちら2人は、ちょっとまだエンジンがかかっていません。何度も言うが朝が早いからね。はい。
それから4人を乗せた電車は。定刻通り走る。
近鉄四日市駅に07時01分着。そしてここからの電車は、昨日の時点で海織が俺の家に来るときに予約しておいてくれたので――。
「はい、特急券でーす」
そう言いながら海織はカバンから特急券を出してみんなに配る。
「宮町さん。わざわざありがとう」
「いえいえ。よくここは通るからね。問題ないよ」
「ありがと。海織ちゃん。あっ、一緒に座れる?」
「うん、空きもあったし。通路挟んで2人ずつだからね」
「じゃ、行きは男女で座ろっか」
「だね」
と言うことになりました。いつも通り男性陣は会話に入っていません。はい。いつも通りですね。
その間に俺と柊はコンビニに向かい。飲み物と朝ご飯を調達。そして駅のホームに戻る。
そうそう、行先を言ってなかったか。今日は、いろいろ4人で悩んだ結果……というか。発起人は柊だが。主に行先を考えたのは女の子2人です。
そして、
なんでここの海水浴場になったかというと――。
「楓くんの実家行きたい!楓くんは私の実家知ってるんじゃん」
ということを斎宮さんが何度か言いまして……はい。こうなりました。
なので乗る電車は、伊勢志摩方面に向かう――。
近鉄四日市駅07時19分発の賢島行き特急。電車に乗り込んだ後は、通路を挟んでの4席なので、進行方向左側に俺と柊。右側に海織と斎宮さんが座って、先ほど俺と柊が調達してきた飲み物やパンなどを配り朝ご飯。
なお、発車してしばらくは物を配ったりでバタバタしていたから。今回は大楠を見るのを忘れていた俺でした。よくあるんだよな。気が付いたらもう伊勢若松駅通過中とか。うん。
車内は観光客も乗っているのか。そこそこの乗車率。
「でも、快晴で良かったね」
「うんうん。楓君が晴れ男だからね」
「確かに!楓くんが居るといつも晴れてるかも。楓くんありがとう」
通路を挟んでお隣からは楽しそうな会話が聞こえてきます。なんかお礼が飛んできたりしました。うん。俺晴れ男は確定らしい。
「そう言えば、1年生の時にも海行ったけど、その時も晴れてたな」
「その他も結構晴れているんだよねー。うん。晴れ過ぎないことを祈るよ。暑くなるとだから」
「でも、海なら暑いくらいの方がいいだろ?」
「まあ、そうか」
柊ともそんな話をしていた。そのあとは、朝が早いのと、これから遊ぶからか……気が付いたら女の子側が静かになり。柊も静かになり――。
だったので。俺も休憩タイムへ。しばらく4人はおやすみタイムになりました。
次俺が起きたのは――車窓から海が見えたころでした。
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