第139話 悲鳴 ~川島駅12時10分発~

七夕祭翌日—―。

うん。翌日というか日付が変わってから朝までずっと動いていた俺。起きたのは夕方だった。1日って早い……。


目が覚めると――。


「おはよう、楓君。もうおはようの時間じゃないけどね。帰ってきてそのまま寝ちゃったんだね。お疲れ様。あっ、お風呂準備してあるから、さっぱりしてきたらどうかな?」

「うん?」

「はい。起きましょう。起きましょう」

「……はい」


寝起きだからか頭がまだ回らないが……うん。いつものように海織が居るのは理解した。


そして、ほぼ強制的に海織に風呂場に押されていった俺だった。まあ綺麗になってこい。という事ですね。はい。大丈夫です。もう起きました。自分で行けます。大丈夫です。


しばらくして、風呂でさっぱりし部屋に行くと……海織が片付けをしてくれていた。


「あっ、海織。ごめん。何か昨日?今日か。結局朝まで柊たち……まあ酔っ払いさんの相手をしてたから。そう言えば、あれから連絡もしてなかったよね。ごめん」

「いいよいいよ、楓君の様子見に来たら、爆睡だったからね。お疲れ様ー」

「ははは……そう言えば斎宮さんは大丈夫だった?」

「うん。朝起きたらすっごく恥ずかしがってたよ?私が撮った写真見て。ちなみにこれは沙夜ちゃんの服でーす」


そう言いつつ立ち上がって、ポーズをしてくれた海織。確かに、前にも一度くらい見た気がするが。斎宮さんが普段来ていそうな服を今は海織が着ている。うん。まあ何かいろいろあちらもあったみたいだが、なんやかんやであのお2人は仲が良いので、楽しかったみたいです。海織は話しながらニコニコしているので。斎宮さんは……ニコニコではなかったかもしれないが。今は不明です。


「……あまりいじめないように」

「ふふふ。そうだ。楓君お腹空いた?」

「あー、うん。空いたかな?寝てただけだけど」

「じゃ、ちょっと変な時間だけど。軽くご飯準備したよ」

「ホント助かります」


17時過ぎ。朝食なのか昼食なのか夕食なのかわからないが。海織はちゃんとご飯を準備をしていてくれたらしく。すぐにおにぎりなどが出てきました。こんなに幸せで俺大丈夫でしょうか。


その後は――海織に「規則正しく生活しましょうねー」みたいな感じで……ご指導を受けまして……翌日の朝にはいつも通りの生活サイクルに戻っていました。はい、いろいろありましたが。それは割愛です。いろいろあったので。規則正しい生活は大切ですね。知ってましたが。海織さんはスパルタです。はい。スパルタです。間違いなく。海織が超笑顔の時は危険です。


そして数日後。本日はゼミの日。ほっほっほー先生登場です。前のゼミはラストラン?見に行くとかでお休みにしていた、俺たちのゼミの先生です。

そして、開始も遅かった俺たちのゼミ。何と、もう前期最後のゼミです。


ゼミに行くときは、基本昼からなのでこの電車ばかり。伊勢川島駅12時10分発の湯の山温泉行きの電車に乗っている俺と海織。


今日はちょっと乗っている人が多かったので、ドア付近で立っている。ぼーっと外を見つつ――今週の事を少し。


休み明け。斎宮さんがペコペコ謝罪してきました。お酒は飲んだ覚えがないが。雰囲気でちょっと甘えちゃいました。みたいなことを言っていました。

はい。甘えるのは柊にお願いします。周りからの俺の評価がおかしなことになりそうなので。そしてそれを聞いて笑っていた柊。うん。ちゃんとお相手をしなさい。そう言えばその後、海織が柊と話していて……何か柊が海織にペコペコしていたが……気のせいだな。うん。気のせいのはず「あれ、怒られてるね。間違いなく」とか、斎宮さんがニヤニヤしつつ言ってましたが――どうなんでしょうか。


そんな感じに今週の事を思い返していると、菰野駅から柊と斎宮さんが乗ってきていつものように話しながら大学へ。この時はまだいつも通り平和な雰囲気でした。この時は……。


定刻通り12時28分に湯の山温泉駅に着いて、4人でゼミの部屋へと歩いて行く。


「ほっほっほー。前はすまんの。おかげで楽しめたわい」


ゼミの時間が始まってすぐは、藤井寺先生の先週などの思い出話と、奈良に行っていたのか。奈良のお土産を出してくれ。みんなで食べつつ和やかに過ごしていたのだが……。


はい。その後は、赤ペン先生が本気モードに入りました。


俺と海織、斎宮さんは七夕祭前に集まり卒業論文の構成作りをしていたので多分大丈夫だろう見たいな感じで、まとめてきたものを藤井寺先生の前に出したら……うん。予想はしていたが……すごい勢いで藤井寺先生の赤ペンが動いている。今日は海織の紙からチェックしていたが……うん。海織ですらいろいろ書かれているみたいなので……まだ俺の用紙にはチェックが入ってないがすでに俺は胃が痛い。


「ほっほっほー。宮町さん。あとは、ここじゃの。ちょっと曖昧になっとる」


海織のチェックの後は、斎宮さん、俺、柊と続く。斎宮さんと俺は、動機が……現状の問題は?みたいな感じにいろいろ赤ペンを書かれていたが。前回よりは……うん。マシかと。なお七夕祭を大変頑張っていたお方は――。


「白塚君。文献からの丸写しはするんじゃないぞ?」

「—―すみません……」


うん。赤ペンが動く前に返されていた。


藤井寺先生のチェックが終わったら解散。ということはもちろんなく。本日は夏休み前最後のゼミの時間。夏休み中にさらに個々で詳しく調べる。文献を読んでほしいやら藤井寺先生が言っていたので……はい。その日はずっと藤井寺先生が付きっきりで作業。今までの休みだった講義分を詰め込まれた感じで、卒論作りが行われていた。途中で先生がパソコンのある部屋をおさえてくれたの5人で移動。

今日は藤井寺先生もこの後は講義も何もないからと――延々というか4人がある程度構成。卒論の流れが完成するまでご指導してくれました。はい。めっちゃ……集中力を使った。大学に来て、試験以上に集中力を今使った気がする。藤井寺先生はめっちゃチェックが厳しい「ほっほっほー」と顔はめっちゃ笑顔。優しいおじいちゃんなんだが……指導は厳しかったです。


結局その日は、6限と同じくらいまで大学に居た。パソコン室の使用可能時間ギリギリまで。なので外は真っ暗。


「ほっほっほー、じゃ、後期も頑張るんじゃぞ、ここからがスタートじゃからの。ほっほっほー。あっ、あと本読むんじゃぞ?」


そんな感じで藤井寺先生退室。


「「「「—―疲れたー」」」」


俺たちの4人の感想でした。でも、うん。なんか形は見えた気がする。


それからしばらく4人とも椅子にだらーん。としていたら。戸締り担当の方に早く出るようにと言われ。慌てて片付けて退室しましたとさ。


「やばーい。私明日寝込むかも」

「楓君。疲れたから今日も泊まるね」

「海織はいつもだよね。最近は」

「っかさ。俺、こんなに頑張れる子だったんだな。良く投げださなかった。って今自分褒めてる」

「柊は丸写しがスタートだったから藤井寺先生ずっと付いてたからね」

「眠気とか一切来なかったな。横からの視線がすごかったから」


そんな話をしながら俺たちはとりあえず飲み物。ということで。もう売店などは閉まっているが自動販売機がいくつかあるところにやって来た。そして飲み物を買ってから駅へと歩いて行く。


「ねえねえ。この後ご飯食べに行こうよ?今日私頑張ったからー。美味しいもの食べたい」

「あー、いいねいいね。これから帰っても作る元気ないからね」


女の子2人がそんな会話を初めて……はい。もちろん男性陣はお供することとなりました「どこに行こうか?」ということになり。今から遠出は――選択肢になかったため。斎宮さんと海織がスマホで見つけたお店に行くことに。


駅に行くとちょうど電車が発車寸前だったため電車に飛び乗り。今日は桜駅で下車。そして駅から歩きました。地図で見ていると、線路沿いで近そうに見えるが……実は歩くと結構あるというあれだった。でも4人で話しながら歩いているとあっという間だったかと。うん。なんか距離は歩いた気がするけど――今はいい香りがしている。  

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