第137話 七夕祭6 ~終了~

少し前に規模はそれほど大きくないが、数十発の花火が上がった。俺は1人で受付のところに居たが……逆に打ち上げ場所に近いところに居たらしく。結構綺麗な花火が見れた。写真撮れたかも。とちょっとスマホを準備していなかったことを後悔していた。そしてその後は花火の余韻に――とかいうのは全くなく。というか、うん。無理。すぐに人の波だった。

駅に向かっての人の波。まあ俺は一応こうなることも予想していたので、受付前、出口の両側に段ボールをセットして、ゴミを回収中。ちょっと人の波の切れ間があったら反対側に行き。ゴミをまとめる。という繰り返しをして……短時間の波だったが。まあそれはそれはすごい量のゴミ袋の数になっていた。皆さんたくさん屋台で買い物をしてくれたみたいです。


人の波が落ち着くと。柊がやって来た。


「お疲れー。って。やべー、何だこのゴミ袋の山」

「それだけ、物が売れたってことかと」

「っか、楓がすごいわ。1人でしてたのか?」

「そう、ゴミが溜まったら袋を交換。をしばらく連続でしてたかな?」

「すげー、って、これ運ばないとだろ?先輩にゴミを運ぶの手伝ってこい。って、言われたからな」

「じゃ、テントにあるの全部ゴミだな」


俺が指さすと柊の顔が――「マジかよ。多すぎるよ」と語っていた。まあ、本当に多いんだよ。どうやら、会場内のゴミ捨て場が少し少なかった可能性。うん。俺はそう思っている。


「……どんだけごみゴミ出るんだよ。これ」

「仕方ない。あれだけ人が居たら、こうなるかと」

「だよな。じゃ、ゴミ運ぶか」

「俺はまだ帰る人が居るみたいだから。ここでゴミまとめてくよ」

「了解、あー。俺もゴム手袋ー。楓どこでもらった?あそこか。本部か」

「そう。難波先輩から」


柊はそう言いながら一度食堂に向かい。10分ほどして戻って来た。その後はゴミ袋を持って、ゴミ捨て場と大学の入り口を往復をしている。


七夕祭が終わって1時間ほど――。


もうお客さんは、ほぼ居なくなったみたいで。受付前のゴミも増えなくなったため。柊とともにゴミを集めている場所にゴミ袋を運んでいる。にしてもすごいゴミの量。


ちなみに、海織と斎宮さんはまだ会場内に残っているとか。先ほど柊から聞いた。うん。帰ってはないと思っていた。受付の前通らないと駅に行けないし。俺に気が付かれることなく帰るは難しい。そもそも海織や斎宮さんが先に帰るということはないだろうと思っていたので、今までの行動からみても。なので会場内のどこかで待ってるんだろうな。とは俺は思っていた。


しばらく柊とゴミを運んでから、受付に戻ると他の人がテントの片付けをしていたのでそれを手伝い。その後に会場の方に行くと。すでに飾りなどは外されていた。片付けも早い。そして食堂の方に歩いていると。声をかけられた。


「あ、楓君お疲れ様ー!」


海織だった。どうやら海織と斎宮さんは会場の中心というのか。いろいろ展示。柊が言っていた笹が飾ってあるところのにあるベンチに座っていた。


「楓君楓君。楓君も短冊書いたら?今ならまだ笹あるよ?せっかく七夕祭来たんだから」

「えっ?」

「ほらほら」

「ちょちょ」


海織と会うなり俺はなぜか短冊を持たされた……えっとまだ片付け中なんですが……すると斎宮さんも来て。


「柊もさっき書いてたよ?「宝くじ当てる」って」

「……柊らしいというのか。にしても短冊って久しぶりだな。書くの」

「でしょ、だからまだそこに笹はあるから楓君も書いて飾ろうよ」

「って急に言われてもな……」


まあ、結局俺が書いたのは。無病息災。元気が一番だと思うので……はい。思いつかないのよ。急に書いてとか言われても。はい。


「うん、何か楓君らしい」

「だねー、私、楓くんは健康第一とか書くと思ってたよ?」


どうやら海織と斎宮さんの予想通りの事を俺は書いたみたいです。


「えっと、ちなみに海織はなんて書いた?」


海織に聞いたはずなのだが。先に答えたのはお隣さんだった。


「私はダイエット!」

「斎宮さん。今でも十分スタイル良いかと」

「ダメダメ。すぐ丸くなるから」


そう言いつつお腹を触っている斎宮さん。いやいや、海織もだが……最近の女の子は細すぎると思いますよ?俺は。


「……って海織は?」

「楓君とずっと一緒?かな」


そんなことをさらっと言うお方が居るとは……うん。ここに居ました。


「……本当に書いたの?」

「さあ?どうでしょう」

「……斎宮さん海織が何書いたか知ってる?」

「それがねー、海織ちゃんとっとと書いちゃって、どこかに引っ掛けて来たみたいだからわからないんだよー」

「……なんとまあ。っか、せっかく書いたから俺も飾るか」

「うんうん。こっちこっち」


それから俺は、海織に引っ張られつつ。数本ある笹の一番隅っこのところに短冊をかけておいた。ちなみにこれは後から聞いたことだが。短冊やらがかけられた笹はこの後神社に運ばれて、ちゃんといろいろな手続き?というのか供養?をしたみたいです。はい。


海織と斎宮さんに捕まりちょっと寄り道はあったが。俺は笹に短冊をかけると、一度、難波先輩のところへ向かった。


片付けは地区の人も、全員参加でしていたみたいで、すでにほぼ終わっていた。なので――食堂に着いた頃には。


「よっしゃ!この後はみんなでお疲れ会だ!」


はい、難波先輩地区の方々と盛り上がっていました。あれですね。仕事終わりの美味いやつのために頑張っていたのだと思います。はい。にしても――何か皆さん今の方が元気じゃないか?柊もちゃっかりその輪に入ってたし。


そう言えば、1回食堂に来た時に、この後に何かあると。難波先輩言ってたか。そんなことを思いつつ……まあ、皆さんの流れに俺は飲まれていき――それから半時間後……。


「……何か今が一番盛り上がっているような――」


片付けは順調にそしてなかなかのスピードで行われたので、あっという間に全部終わり。そして挨拶があり。解散。ではなく。先ほど難波先輩が言っていたように。解散の後。みんなで食事会。ということに前からなっていたらしく。現在地区の人が良く利用するという。居酒屋を貸し切り。皆さんわいわいしています。少し前まで俺のところには難波先輩が来て話していた。


「じゃ、彼女さんたちに悪いから。俺はそろそろ離れるよ。がはは。楽しんでくれよー」


そんな感じで難波先輩は地区の人たちと今は騒いでいます。皆さん……元気です。時間は……もう23時過ぎてます。もうすぐ0時ですね。皆さん元気元気。柊もその輪に巻き込まれているが。楽しそうだからいいのだろう。


ちなみに、先ほどの難波先輩の彼女さんたち。というのは――。


「これ美味しい!居酒屋ってあまり来ないけど、こういう店私好きかも」

「うん。だし巻き卵もめっちゃ美味しいよ。楓君今度他の居酒屋さんも行こうね?」

「……はい」

「幸せー、でも、私たち混ざっちゃってよかったのかな?」

「楓君と白塚君のセットだからかな?」

「なるほど!じゃ、これもいただきまーす!」


浴衣美女2人もそのまま参加しています。現在俺の両サイドで2人が楽しそうに料理を食べています。まあ、隅っこに居るから目立たない……ということはなく。この2人が目立たないわけがない。先ほどまでは、難波先輩の他にもこの2人にいろいろと学生やらが声をかけてきていた。が、そのたびに――。


「私彼氏いるんだー。ここに」


海織がそう言いながらもたれてきて……。


「私もー」


何故か俺の服の袖を持つ斎宮さん。待て待て、斎宮さん、柊は向こう。先輩たちに絡まれているから。何か俺が……周りからの評価がおかしくなるから!って海織もなんで楽しそうに見てるのかな?って……この2人酔ってる?


周りの雰囲気で盛り上がっているというのか。テンション高めな方が多いです。この後—―大丈夫だろうか。

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