第70話  お買い物 ~10時29分発平田町行き普通~

柊と斎宮さんの揉め事は続いている。ほんと、どうなることか。と先が見えていない中。さすがに休日までは、揉め事は飛んでこないので、のんびりと自分の時間。


なのだが……最近柊と斎宮さんの相手というか。主に、柊を見ると暴れそうな斎宮さん抑える事ばかりだったからか。昨日の夜。


♪♪


寝る前にメッセージが来た。もしかしたら、これは、また、斎宮さんの愚痴の嵐か。と思ったが……いや、数日前に斎宮さんから超連続メッセージの嵐にあったので……ほぼ一方的にメッセージが来るだったので、これはどう返事をすれば、と、悩んだ思い出が。でも、今回は斎宮さんではなかった。


「こんばんはー。今大丈夫かな?」


宮町さんからだった。


「大丈夫だけど、どうしたの?」

「楓君明日時間あるかな?」

「えっと、特に予定ないけど」

「じゃ、どこか行こうよ。せっかくの平日休みだから」


と、メッセージが来たのが始まり。月曜日が休みのため、土日に出かけるよりは空いている。ということで、宮町さんにお出かけに誘われました。


当日。雲一つない晴天。もう9月も後半になるはずなのに、これは今日も暑くなるかも。と、思いつつ。駅に向かう。伊勢川島駅09時21分発の近鉄四日市行き普通に乗り。近鉄四日市駅09時41分発の津新町駅行きの普通に乗り換えた。宮町さんとは、どこに行くとか決めてないのだが。とりあえず、近鉄四日市駅出る時に連絡してくれたらいいと。言われたので、家を出た時と近鉄四日市駅を出る時間を送った。


「りょうかーい。そのまま楠まで来てね」


と返事があったので、電車に揺られていく。09時52分楠駅到着。と、思ったら……毎回大学行くときも思うのだが。どうやって、俺が乗っている車両をドンピシャで当ててくるのだろうか。勘?俺、結構適当に乗っているのだが。楠駅で降りようとしていたら、ちょうど俺のいるドア付近に、宮町さんが立っていた。


「おはよー。ピッタリ」

「おはようって。このまま乗ってく感じ?」

「かな」


ということで、そのまま乗車することに。


「で、どちらへ?」

「買い物でもいいかな?」

「俺はどこでもいいけど。まあ、涼しいところ希望かな?」

「じゃ、ショッピングモール行こうか」


その場で、決定というのか。会って1分ほどで、目的地決まりました。そのまま電車で、伊勢若松駅まで乗る。

伊勢若松駅には――09時58分着。そこで、鈴鹿線に乗り換えて、10時29分発の平田町行きの普通に乗った。乗り換えに少し時間があったが、話していたらあっという間だった。


10時31分平田町駅到着。

ここからは、バスで、ショッピングモールのところまで行けるのだが……。


「遠くないし。ちょっと、運動がてら歩こうか。楓君」

「いいけど。暑くないかな?」

「バス待っているのも暑いと思うよ?」

「まあ、確かにそうか」

「じゃ、行こうか」


宮町さんの提案により。ショッピングモールまで歩くことに。そういえば、平田町は、去年の年末に宮町さんと来たな。と、思いつつ。歩き出すと。スッと。というのか。自然に宮町さんが手を握ってきました。そういえば、最近はこういうの無かったな。と、宮町さんの言う試用期間?設定?を思い出した。

いや、ほんと、忘れてはないんだけど、なんかね。一瞬気を抜いたところ?みたいなときに、宮町さんは行動してくるので、毎回ドキッとする。っか、手繋いで暑くないかな?とか思ったのだが。


「……あの?暑くないですかね?」

「大丈夫大丈夫。最近の楓君は私の相手より、沙夜ちゃんと白塚君の相手ばかりだったからね」

「……えっと、まあ、そうですが」

「ほらほら、止まってると暑いから早く行こう」


俺は宮町さん引っ張られる形で歩いて行きます。

どうやら、俺は、柊と斎宮さんのことを何とか。と思うのと、宮町さんのお相手もちゃんとしないと。宮町さんが不機嫌になるのかもしれないです。これは――大変。


その後は、もちろんだがそのまま歩く。のんびりと。というのか。手を繋いで。これ、どうなんでしょうか。隣を歩く宮町さんは……楽しそうです。


「うん?どうしたの楓君。私の顔何かついてる?」

「いやいや、その――まあ、久しぶりで、ちょっと」

「あー、なるほどなるほど。楓君せっかく慣れてきていたのに、夏休みと最近私がくっつかないから。寂しかったと。ニヤニヤ」

「……久しぶりに効果音?聞いたけど……いや、寂しいとかでは――」

「えー、寂しくなかったの?」


急に残念そうな顔をする宮町さん。これはこれで、なんというのが正解なのだろうか……。


「いや、なかったわけでは……うん。そういうわけでは」


ちょっと俺が慌てて訂正をすると――宮町さんはコロッと表情を変えて……。


「うんうん。楓君が慌ててる慌ててる」

「—―なんか遊ばれてる?」

「そんなことないよ?でも、久しぶりだからうれしいよ――?かなりね」

「……はい」


宮町さん。めっちゃいい笑顔してました。


「そういえば、試用期間はいつまでにしようかなー」

「なんか……急に試験中みたいになった」

「言い方考えなかったからねー。練習?設定?なんかハマらないんだよね。体験期間的な?」

「—―う、うーん。なんというのか」

「まあまあ、いきなりよりいいと思うよ?いきなりだと楓君が引きこもりになるかもしれないからね」

「……ちょっとその未来は見えたかもしれない」

「でしょ?だから慣れだよ慣れ」


今の謎な関係はまだ、継続するみたいです。というか、これもこの先どうなるのでしょうか?そんな話をしていたら、ショッピングモールに到着。


「楓君、服が見たいんだけど、いいかな?」

「あ、うん。いいよ」

「じゃ、こっち」


店内入っても、宮町さんにしばらく引っ張られている俺でした。


しばらく宮町さんの行きたいところに付いていくという感じで時間が流れる。途中で、カフェで休憩したりと。のんびりと過ごしています。


「外は、暑いけど、中は快適だからいいね」

「だね。ってか、店内でも引っ張られている俺が周りからどう見られているのか気になりますが……」

「気にしている人は居ないと思うけどね」

「宮町さんはその場にいるだけでも、目立つと思うけどね」

「そう?」

「うん。それは間違いないかと」

「じゃ、一緒にいる楓君も目立つね」

「目立ちたくはないんだけど――」


数店舗店を見て、休憩を挟んだのち。次はどこ行こうか。と、話しつつ店内を歩いている。俺の片手には宮町さんの購入した服の袋持って、反対側は――相変わらず宮町さんに確保されています。


「あっ、かわいいぬいぐるみ」


すると急に引っ張られました。

宮町さん何かを発見した様子。そこは、ぬいぐるみや雑貨?かな。キャラクターものを扱っているお店。引き寄せられるように宮町さん入場。俺も引っ張られて入場。


「見てみて、これ、かわいい」


それからしばらく宮町さんがぬいぐるみに夢中でした。すると。


「あっ、楓君楓君抱き枕あるよ」

「なにの?」


宮町さんに引っ張られて、俺がそちらを見ると。

棚のところに、カピバラのぬいぐるみ。あれは、抱き枕タイプだろうか。なかなかいい大きさの、もふもふが置かれていた。


「あれは……なかなかいい商品」

「おっ、楓君が反応した。かわいいね。リラックス効果ありそう」

「冬とかにあると何か暖かそうかな」

「—―ほしいのかな?」

「へっ?」

「楓君の目がキラキラしてるからね」

「キラキラはないと思うけど、まあ、ちょっと、ひかれたけど、いい値段してるからね」

「そう?ああいうの部屋にあると、疲れた時のいい癒しになると思うよ?」

「それは、まあ、うん。なんかわかるけど、まあ今はいいかな。あると逆に暑そうだから」

「ふーん、あっ。そうだ。ちょっと待ってて」


宮町さんが言うと、カフェぶりに手が解放された。

何かカピバラの抱き枕?をチェックしだした。

少しして――。


「OK。お待たせー」

「何してたの?」

「ちょっとチェック」

「チェック?」

「そう。じゃ次は、楓君の行きたいところ行こう」


また俺は手を引っ張られる。って、俺の行きたいところと、宮町さんは言ってますが……今のも俺引っ張られているのですが――。

と、それから、まだ数時間。主に、宮町さんの行きたいところに行きました。いや、俺が特になかったというのもあるのだが。歩いていると、宮町さんが、ここ見たい。と、すぐに引き込まれていくので。

結局帰路についたのは、外が真っ暗になった頃でした。


まあ、のんびりとした。買い物の休日となりました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る